平成23年版男女共同参画白書

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第6章 女性に対する暴力

(配偶者からの暴力についての被害経験)

内閣府「男女間における暴力に関する調査」(平成20年)によると,女性の10.8%,男性の2.9%はこれまでに配偶者から身体的暴行,心理的攻撃,性的強要のいずれかを受けたことが「何度もあった」と答えている。

(配偶者間における暴力の被害者の多くは女性)

警察庁の統計によると,平成22年中に検挙した配偶者(内縁関係を含む。)間における殺人,傷害,暴行は3,159件,そのうち2,927件(92.7%)は女性が被害者となった事件である。

女性が被害者となった割合は,殺人は184件中114件(62.0%)と,やや低くなっているが,傷害は1,523件中1,437件(94.4%),暴行は1,452件中1,376件(94.8%),とそれぞれ高い割合になっており,配偶者間における暴力の被害者は多くの場合女性であることが明らかになっている(第30図)。

第30図 配偶者間(内縁を含む)における犯罪(殺人,傷害,暴行)の被害者(検挙件数の割合)(平成22年)
第30図 配偶者間(内縁を含む)における犯罪(殺人,傷害,暴行)の被害者(検挙件数の割合)(平成22年)

(性犯罪の実態)

警察庁の統計によると,強姦の認知件数は,平成12年以降6年連続で2,000件を超えていたが,16年から減少傾向に転じ,22年は1,289件であり,前年に比べ113件(8.1%)減少した。

強制わいせつの認知件数は,平成16年から減少していたが,22年では7,027件と,前年に比べ339件(5.1%)増加している。

(売買春の実態)

平成21年中の売春関係事犯検挙件数は1,973件となり,前年に比べ減少した。また,要保護女子総数は1,700人で前年に比べ減少し,未成年者が占める割合も21.9%で,前年に比べ2.2ポイント減少している。

(人身取引の実態)

警察庁の統計によると,平成22年中における人身取引事犯の検挙件数は19件,検挙人員は24人であり,検挙人員のうちブローカーが3人となっている。また,警察において確認した被害者の総数は37人と,前年に比べ20人(117.6%)増加している。

(雇用の場におけるセクシュアル・ハラスメントの実態)

平成22年度に都道府県労働局雇用均等室に寄せられたセクシュアル・ハラスメントの相談件数は1万1,749件で,前年に比べ減少しているものの,そのうち,女性労働者からの相談件数は7,361件(62.7%)で相談件数の6割を占めている。

(ストーカー行為の実態)

平成22年中に警察庁に報告のあったストーカー事案の認知件数は,1万6,176件で,前年に比べ1,353件(9.1%)増加している。また,被害者の89.8%が女性で,行為者の85.7%が男性となっている。