平成22年版男女共同参画白書

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第3章 男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し,意識の改革

(1) 男女の社会における活動の選択に中立的な社会制度・慣行の検討

男女共同参画会議監視・影響調査専門調査会は,平成21年11月に「新たな経済社会の潮流の中で生活困難を抱える男女に関する監視・影響調査報告書」を取りまとめた。報告書では,経済社会の変化の下での生活困難者について,「女性の生活困難リスクの顕在化」と「生活困難層の多様化一般化とそこに潜む男女共同参画をめぐる問題」という二つの視点を明らかにした上で生活困難の防止に向けた男女共同参画の効果的な取組の在り方について提言を行った。具体的には,生活困難が幅広い層に広がる中,特に女性が貧困に陥りやすい背景の一つには,税制・社会保障制度がもたらす女性の就業調整などの影響や,現状では女性の雇用が非正規雇用に集中し,相対的に低収入で不安定な雇用に就きやすい就業構造があることを指摘している。税制・社会保障に対する提言としては,女性の就業等の活動に対して及ぼす影響をできる限り中立的なものとすること,また,非正規雇用労働者に対する恒久的なセーフティネット再構築の必要性についても言及している。

また,男女共同参画会議はこの報告書をもとに,生活困難を抱える人々を支援するため政府に取組を求める意見決定を行った。


(2) 家族に関する法制の整備

法務省では,平成8年2月の法制審議会答申(「民法の一部を改正する法律案要綱」)を踏まえ,選択的夫婦別氏制度の導入等を内容とする民法改正について検討を行った。また,同答申及びそのうちの選択的夫婦別氏制度の概要について,ホームページへの掲載等を通じ,広く国民にその内容を公開している。