平成19年版男女共同参画白書

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第4章 女性に対する暴力

(潜在する被害)

内閣府「男女間における暴力に関する調査」(平成17年)によると,これまでに結婚したことのある人(2,328人)のうち,配偶者(事実婚や別居中の夫婦,元配偶者も含む)から“身体に対する暴行”“精神的な嫌がらせや恐怖を感じるような脅迫”“性的な行為の強要”のいずれかについて「何度もあった」という人は,女性10.6%,男性2.6%,「1,2度あった」という人は,女性22.6%,男性14.8%,1度でも受けたことがある人は,女性33.2%,男性17.4%となっている(第26図)。

第26図 配偶者からの被害経験別ウインドウで開きます
第26図 配偶者からの被害経験


(増加傾向にある夫から妻への暴力の検挙件数)

配偶者間における犯罪のうち女性が被害者である場合の検挙件数の推移を罪種別にみると,暴行,傷害はそれぞれ平成12年以降,増加し,16年に傷害が前年比で減少したが,18年においては,暴行が671件で前年よりも312件(86.9%)の増加,傷害も1,294件で30件(2.4%)の増加となっている(第27図)。

第27図 夫から妻への犯罪の検挙状況別ウインドウで開きます
第27図 夫から妻への犯罪の検挙状況


(性犯罪の実態)

警察庁の統計によると,強姦の認知件数は,平成12年以降6年連続で2,000件を超えていたが,16年から減少傾向に転じ,18年は1,948件であり,前年に比べ128件(6.2%)減少した。

強制わいせつの認知件数は,平成11年以降毎年増加していたが,16年から減少し,18年では8,326件と,前年に比べ425件(4.9%)減少している。なお,警察では,女性警察官による事情聴取の拡大,相談電話の設置等,被害申告を促進するための施策を中心とした性犯罪被害者対策を推進している。

(売買春の実態)

平成18年の売春関係事犯送致件数は3,004件となり,前年に比べ増加した。また,要保護女子総数は2,223人で前年に比べ減少したが,未成年者が占める割合は42.9%で,前年に比べ14.0ポイント増加している。

(人身取引の実態)

警察庁の統計によると,平成18年における人身取引事犯の検挙件数は72件,検挙人員は78人であり,検挙人員のうちブローカーが24人となっている。また,警察において確認した被害者の総数は58人と,前年に比べ59人(50.4%)減少している。

(セクシュアル・ハラスメントの実態)

平成17年度に都道府県労働局雇用均等室に寄せられたセクシュアル・ハラスメントの相談件数は7,894件で,前年度に比べ188件(2.4%)増加しており,そのうち,女性労働者等からの相談件数は6,505件(82.4%)で,前年度に比べ214件(3.4%)増加している。

(ストーカー行為の実態)

平成18年中に警察庁に報告のあったストーカー事案の認知件数は,1万2,501件で,前年と比べ281件(2.3%)増加している。また,被害者の90.4%が女性で行為者の89.7%が男性となっている。