トピックス1
令和6年度 性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)及び「オールド・ボーイズ・ネットワーク」に関するワークショップ開催報告
内閣府では、性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)の解消に向けた取組の一環として、「性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関するワークショップ」を令和4年度から開催しています。
令和6年度は、令和6年10月から令和7年1月にかけて計5回開催しました。
内閣府男女共同参画局総務課
開催の目的
男女共同参画の取組の進展が未だ十分でない要因の一つとして、社会全体において固定的な性別役割分担意識や無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)が存在していることが挙げられます。
アンコンシャス・バイアス※とは、日本語で「無意識の思い込み」などと表現され、誰にでもありうるものです。
男女共同参画局では、性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)の解消に向けた取組の一環として、自身のもつ性別役割意識をはじめとするアンコンシャス・バイアスについて認識するとともに、理解を深めることなどを目的に、令和3年度、令和4年度に実施した性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究の結果等を踏まえ、令和4年度からワークショップを開催しています。
令和6年度は、令和6年10月から令和7年1月にかけて計5回開催しました(地方公共団体向け2回、企業向け3回)。
また、「女性活躍・男女共同参画の重点方針2024(女性版骨太の方針2024)」において、「『オールド・ボーイズ・ネットワーク』の存在についてのホームページ・SNS等の様々なコンテンツを活用した情報発信、地方公共団体や経済団体等を対象としたワークショップの開催等の啓発活動を実施する。」とされたことを受け、新たな課題として「オールド・ボーイズ・ネットワーク」についてもワークショップの中で取り扱いました。
ワークショップの内容について
開催概要
▶対象
【地方公共団体向け】
男女共同参画関連施策、広報、人事業務に従事する担当者
【企業向け】
経済団体やメディア分野関連団体などに加盟する企業
▶内容
◦主催者挨拶
◦全体向け講義
◦グループディスカッション
◦発表・意見交換
▶開催形式
オンライン開催
全体向け講義
主催者(内閣府男女共同参画局総務課)からの挨拶の後、全体向け講義として、講師の大阪大学家島明彦准教授から、「心理学者と学ぶ「バイアス」の予防と対処」と題して心理学に基づき、「錯視」や「ステレオタイプ」により、人間の直感が時に間違うことがあるということを導入として、「アンコンシャス・バイアス」や「オールド・ボーイズ・ネットワーク」について知り、予防法と対処法として、「知識・技能・態度」と「環境・制度」が重要であるとの説明がありました。
講師の家島明彦准教授
大阪大学キャリアセンター准教授(副センター長)、大阪大学ダイバーシティ&インクルージョンセンター兼任
講義資料の一部抜粋
無意識の思い込みに関する心理学の話では、
・我々は、ステレオタイプ・確証バイアス・観察学習(モデリング)・条件づけなどによって、知らず知らずのうちに思考や行動に影響を受けているということ。
・そして、少数であっても即「異常」ではないことや、男性的、女性的という要素は、人によってそれぞれの度合いが異なることに留意する必要がある。
・ただし、心理学の知識があればある程度の予防はできるが、完全に解消することはできないため、相手を傷つけた、もしくは自分が不快な思いをした場合には、素直に謝罪したり、お互いに指摘し改善したりすることが重要である。
という趣旨の話があり、また、メディアや情報を評価・識別する能力=メディア・リテラシー(情報リテラシー)を身に着けることも重要であるという説明がありました。
グループディスカッション、発表・意見交換
全体向け講義の後、参加者がグループに分かれ、
・個人の対策(自分がすること、できること)
・組織の対策(自組織ですること、できること)
について、自組織の取組事例の紹介、現状と課題の共有などを行い、グループとしてのとりまとめを発表しました。
グループのとりまとめ事例
参加者の感想(一部)
・同じような悩みを抱えていると感じた。
・オールド・ボーイズ・ネットワークという言葉を始めて知りました。
・アンコンシャスバイアスは人間が生活していく上で本能的な獲得してきた機能であるが、悪い側面もあるということ。良い部分と悪い部分があるため、非常に啓発することが難しいと感じた。
男女共同参画局による制作物のご紹介
男女共同参画局では、令和3年度、令和4年度に実施した性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究に基づき、事例集、チェックシート、普及啓発動画を制作しています。また、オールド・ボーイズ・ネットワークについては、2024年10月号~12月号でも特集していますので、ぜひ、ご覧ください。
※心理学の学術上、アンコンシャス・バイアスは、潜在的バイアス(Implicit bias)とも呼ばれています。内閣府が調査などで使用している「無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)」は、学術上用いられるものとは異なることに、念のため御留意ください。
ワークショップの全体向け講義資料(一部抜粋)や性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究や調査研究に基づき作成した、事例集、チェックシート、普及啓発動画は、こちらからご覧ください。
https://www.gender.go.jp/public/event/2024/zenkoku/ub_workshop.html
広報誌「共同参画」のバックナンバーについては、こちらからご覧ください。
https://www.gender.go.jp/public/kyodosankaku/index.html