「共同参画」2024年12月号

特集1

第8回理工系女子応援ネットワーク会議を開催

内閣府男女共同参画局推進課

女子生徒等の理工系分野への進路選択に向けた支援策を、主体的かつ積極的に進めている団体相互の情報交換など協力体制等の強化を図るため、内閣府は令和6年10月23日(水)に「第8回理工系女子応援ネットワーク会議」を開催しました。

科学技術・学術分野は、我が国及び人類社会の将来にわたる持続可能な発展のための基盤です。近年活発になっている IoT やビッグデータ、AI 等の最先端の技術開発及びその技術を活用した製品やサービス提供等においても、男女が共に参画し、その恩恵を享受できることが重要です。現在、研究職・技術職に占める女性の割合については、日本は諸外国と比較して低水準に留まっており、女性の更なる参画拡大が望まれます。計画的・長期的に研究職・技術職に進む女性を増やすべく、女子中高生、保護者、教員等における科学技術系の進路への興味関心や理解を全国的に向上させるための取組により女性の理工系進路選択を促進し、次代を担う女性の科学技術人材を育成することが重要です。

こうした意識のもと、女子生徒等の理工系分野への進路選択に向けた支援策を、主体的かつ積極的に進めている団体相互の情報交換など協力体制等の強化を図るため、内閣府は令和6年10月23日(水)に「第8回理工系女子応援ネットワーク会議」を開催しました。オンラインで開催し、全国から110団体・145名に出席いただきました。

1.理工系女性人材の育成に係る取組説明、夏のリコチャレ2024報告

内閣府・文部科学省より、科学技術・学術分野における現状と課題、理工系女性人材の育成のため取り組んでいる施策について説明しました。その後、「夏のリコチャレ2024」イベント実施団体へのアンケート結果を踏まえて、今年度の振り返りを行いました。「夏のリコチャレ2024」では、119団体により、228のイベントが行われ、約6,900名以上の方が参加しました。

2.夏のリコチャレ取組事例発表

<地方公共団体の事例>

和歌山県庁より発表いただきました。和歌山県庁は、県内の企業・大学と協力し、見学バスツアーを企画・実施されました。今年で2回目の取組となるバスツアーの内容をご紹介いただき、地方自治体と企業・大学等が連携して行う産学官連携イベントの実例を示していただきました。また、バスツアーでご活用いただいた、STEM Girls Ambassadors事業の紹介もしていただきました。

<大学の事例>

大阪大学部局横断型女性技術職員ネットワーク(以下、「大阪大学」といいます。)より発表いただきました。大阪大学は、複数の大学や高等専門学校と連携し、リモートと実地のハイブリッド開催で実施するとともに、参加申し込み数が、340件を超えるなど、多くの参加者の確保に成功しておられます。実施したプログラムの構成や、保護者への働きかけの重要性についてご紹介いただきました。

<企業の事例>

株式会社フジタ(以下、「フジタ」といいます。)より発表いただきました。フジタでは、今年で8年目となる経験を踏まえ、イベントの実施に当たり、工夫していることをご紹介いただきました。早い段階でプログラムを決定し、チラシに反映させること、参加者の年齢層が幅広い場合はグループ分けを行うこと、体験のみでなく参加者が将来を考える時間を設けること等、具体的な工夫点をご紹介いただきました。


(事例発表の様子)左:和歌山県庁、中:大阪大学、右:フジタ
(事例発表の様子)左:和歌山県庁、中:大阪大学、右:フジタ


3.グループディスカッション

グループディスカッションでは、イベントを実施した団体が工夫点やノウハウを発表し、イベントの実施を検討している団体からは積極的な質問がなされるなど、参加者の間で活発な意見交換がなされました。


「理工系女子応援ネットワーク会議」の詳細は下記リンクをご覧ください。
https://www.gender.go.jp/c-challenge/dantai.html


Special introduction

「第8回理工系女子応援ネットワーク会議」で事例発表をいただいた団体の取組について、さらにご紹介するとともに、理工系を目指す女子中高生へのメッセージをいただきました。

内閣府男女共同参画局総務課

親子で遊ぼう!女性技術職員の夏休み子どもサイエンス

大阪大学部局横断型女性技術職員ネットワーク
代表 特任准教授 中本 有紀

大阪大学女性技術職員ネットワークは、全国の大学や工業高等専門学校の女性技術職員と連携し、2022年から理工チャレンジに参加しています。現地開催に加え、地方で現地に出向くことができない参加者のためにオンライン形式も取り入れ、テレビ中継をイメージしたハイブリッドスタイルで実施しました。この取組により普段訪れることが難しい遠方の方々との交流も楽しむことができたと思います。参加される方は北海道から沖縄まで様々な地域から、昨年は海外からも繋いでくれました。対象は好奇心旺盛な小学3、4年生で、保護者とペアでの参加を条件としています。

子どもたちに科学への興味を促すのはもちろん、女性技術職員が講師を務めることで、理工系分野で活躍する女性技術者を若い世代の保護者にも身近に感じてもらえる機会を提供しています。今年は、SDGsの観点から高吸水性ポリマーを題材にして “研究者になろう!”をテーマに、観察、結果を予想、実験、考察、レポート作成、そして発表までの一連のプロセスを体験してもらいました。また技術職員の業務紹介には子どもたちからのインタビュー形式を取り入れました。実験題材に関連した最先端研究の紹介は、大学ならではの特徴です。将来、保護者が女子学生の理工系進路選択を具体的にイメージできるよう、この取組が意識の変革に寄与することを期待しています。


大阪大学メイン会場の様子
大阪大学メイン会場の様子


最先端の研究を紹介、施設見学の様子
最先端の研究を紹介、施設見学の様子


大阪大学女性技術職員ネットワークについては、こちらをご覧ください。
https://ou-jogi.sanken.osaka-u.ac.jp/


~ 理工系を目指す女子中高生へのメッセージ ~

大学や高等専門学校の理工系分野で活躍する女性技術職員の業務は多岐にわたります。理工系分野は幅広い選択肢がありますが、選んだ道が狭まることはありません。さまざまな分野とつながり、その先には無限の可能性が広がっています。みなさんの「好き」という気持ちを大切にし、興味を持ったことにはぜひ挑戦してみてください。


2024年度夏のリコチャレについて

株式会社フジタ
ダイバーシティ推進部 鷲頭 直子

株式会社フジタでは2024年7月24日(水)に、「フジタで“見て触れて”楽しく学ぼう 建設」をテーマに、神奈川県厚木市にある弊社の技術センターにて 夏のリコチャレを実施しました。

弊社の夏のリコチャレは、技術センター見学と女性技術者とのコミュニケーションの2部で構成しています。

第1部は、7~8名程度の班に分かれて技術センター内を見学。建築、土木、環境やARなどの最先端の技術を、時に体験を交えながら学んでいただきました。

第2部は、説明を担当した女性技術者と参加者とのコミュニケーションの時間。理工系の仕事に就いたきっかけや、現在の仕事内容の話のあと、「今までで一番印象に残った仕事は?」「大学でどんな勉強をしましたか?」など、皆さんからの質問にひとつひとつお答えしました。

当日は小中高生と保護者の方あわせて33名の方にご参加いただき、「身近なところに最新技術が使われていることが分かった」「楽しかった」「土木がダイナミックでかっこよかった」などさまざまな感想を伺うことができました。建設業を少し身近に感じていただけたのではと思っています。

弊社ではこれからも建設業の魅力やものづくりの楽しさを伝え、理工系の仕事への興味関心を高めることができる場を提供していきます。


技術センター内を見学
技術センター内を見学
大きな模型に興味津々


女性技術者とのコミュニケーション
女性技術者とのコミュニケーション
皆さんの質問にお答えします


フジタのダイバーシティに関する取組(次世代育成など)はこちらをご覧ください。
https://www.fujita.co.jp/sustainability/diversity/


~ 理工系を目指す女子中高生へのメッセージ ~

「文系」か?「理系」か?と初めから構えずに、いろいろなものを見て、沢山の人の話を聞いて、自分の興味の幅を広げましょう。そして、皆さんの勉強したいことや将来やりたい仕事が理工系であったなら、私たちはとても嬉しく思います。

興味の幅を広げる機会のひとつとして、フジタの「夏のリコチャレ」に参加してみませんか。技術センターでお待ちしております。


和歌山県理工系企業見学バスツアーの取組について

和歌山県共生社会推進部こども家庭局多様な生き方支援課
主査 大野 佑真

和歌山県は、菱岡工業株式会社様と和歌山大学様協力のもと、主に女子中高生の皆さんを対象とした理工系企業見学バスツアーを開催しました。

企業見学では、実際の製造行程(板金加工や組立作業)を見せて頂くとともに、たくさんの女性が現場で活躍している様子から製造業に対するイメージが変わったのではないかと思われます。社長からは、何事にもチャレンジする姿勢が大切だという力強いメッセージを参加者に伝えて頂きました。

大学では、システム工学部教授から女子学生支援の取組紹介を、現役女子大学院生から理系分野を目指すきっかけや女性特有の課題について発表頂きました。身近なロールモデルとして、今後の進路選択に生かせるお話を伺った次第です。


製造行程見学の様子
製造行程見学の様子
(菱岡工業株式会社)


最後に、内閣府STEM Girls Ambassadorsの阿部玲子さんに「マダム、これが俺たちのメトロだ!」と題し、開発コンサルタントという職業の魅力や、海外で仕事するために学生のうちから取り組んでおくとよいことなど、将来のキャリアの幅を広げるご講演を頂きました。

参加者からは「普段聞くことができない人から人生や経験、アドバイスが聞けて良かった。」「大学で理系に進んだ際、就職先にどのようなものあるかは想像できなかったので、今回のツアーは自分の将来を考えるいい材料になった。」などの前向きな感想が寄せられました。


阿部玲子さんと参加者
阿部玲子さんと参加者
(和歌山大学システム工学部)


~ 理工系を目指す女子中高生へのメッセージ ~

学生さんの中には、高校や大学で学ぶ分野と実際の職業との繋がりが見えないまま、文理選択を行ったり、学部を選んでしまったりする事があるのではないでしょうか。今回のツアーは、数ある中の体験の一つではありますが、中学・高校の頃から、様々な体験を通じて、「具体的な仕事の内容」と「学問」との繋がりを知って頂いた上で、ぜひ将来をイメージしてみてください。その上で「本当に自分がやりたいこと」を基準に進路選択できるよう、和歌山県は皆さんを応援しています。

内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)
法人番号:2000012010019