「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」行動宣言

地域シンポジウム(福井県)を開催しました!

 令和7年2月、「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」(以下、「男性リーダーの会」)地域シンポジウムを福井県と共催で開催しました。基調講演では、本会に参加している帝人株式会社の内川社長から、女性活躍推進に関する想いと取組事例をご紹介いただきました。また、県内男性リーダーである福井県の杉本知事、株式会社福井銀行の長谷川頭取、県内女性リーダーである株式会社アタゴの笹岡社長に登壇いただき、女性活躍推進における組織トップの役割と題してパネルディスカッションを行いました。当日は約180名の方にご参加、ご視聴いただきました。

「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」地域シンポジウム(福井県)開催報告

日時:
令和7年2月6日(木)13:30~15:00
場所:
ハイブリッド形式(福井県国際交流会館 B1 多目的ホール/ZOOMウェビナー)
主催:
輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会(事務局:内閣府 男女共同参画局)
共催:
福井県
後援:
福井県商工会議所連合会、福井県商工会連合会、 福井県中小企業団体中央会、福井経済同友会、
福井県経営者協会、福井県銀行協会、福井県信用金庫協会、日本労働組合総連合会福井県連合会、
福井県社会保険労務士会、福井県中小企業診断士協会、 福井県農業協同組合中央会、
福井労働局、北陸経済連合会、ふくい女性財団、福井県市長会、福井県町村会
近畿経済産業局
チラシ:
こちら[PDF形式:5.7MB]

プログラム

1.開会挨拶
三原 じゅん子 女性活躍担当大臣・内閣府特命担当大臣(男女共同参画)

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 三原大臣は、開会挨拶の中で、女性役員比率の高い企業の方が企業としてのパフォーマンスが高いことについて触れるとともに、多様性の確保が企業の成長だけでなく魅力的な地域の実現、日本経済の発展につながるものであるとして、シンポジウムの参加者に女性活躍の重要性を訴えました。
 また、シンポジウムで得られた学びをそれぞれの組織に持ち帰り、トップ主導の下、組織内及び地域の女性活躍を加速してほしいと呼びかけました。


杉本 達治 福井県知事

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 福井県は共働き率が全国1位、女性就業率が全国2位であり、多くの女性が働いている。仕事でも家庭でもがんばっているため、ゆとり時間が少ない状況にも触れ、今後女性が自分らしく活躍していくためには、今の在り方を社会全体で大きく見直していく必要があると述べました。
 また、県の取組として、ふくい女性活躍推進企業登録制度・女性登用アワードの創設や、夫婦・家族で家事をシェアすることで女性のゆとり時間を確保できるような共家事(トモカジ)の取組を進めていることを紹介しました。
 「女性活躍社会」は、周りにいる男性も一緒になって支え合い活躍する「男性活躍社会」であり、さらには組織トップがリーダーシップを発揮して女性が活躍しやすい職場づくりを進める「社長活躍社会」でもあり、それぞれの活躍が結果的に組織の成長や社会の発展に繋がるとし、参加者に対して女性活躍推進への協力を呼びかけました。


2.基調講演
テーマ「女性活躍推進に関する想いと取組み」

内川 哲茂 氏(帝人株式会社 代表取締役社長執行役員 CEO)

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 社会が多様化する状況において、これまでと同じような価値観や経営感覚だけでは、企業を存続・成長させていくことが難しい時代となっているとし、多様な人財が能力を最大限発揮できるような組織をつくることで、様々な知恵を集めイノベーションを起こしたい、そしてその第一歩は女性がイキイキと働く職場を作ることであり、それは経営者の責務である、と自身の女性活躍推進への想いを語りました。
 女性活躍は将来の自社の成長の礎になると考え、帝人グループでは1999年から現在に至るまで20年以上、女性活躍推進について様々な取組を実施してきており、さらに多様な人財が活躍できるよう、現在ではグローバルでのDE&Iに取り組んでいるとし、これまでは社員教育・配置を全て会社が提示していたところ、現在は会社がポジションや必要なスキルを提示し、社員は自ら手を挙げ、誰でもそのポジションにチャレンジできる仕組みを整えたことで、自律的なキャリア形成を促していることを紹介しました。
 また、女性活躍支援の具体的な取組みとしては、キャリア面談や研修、全国各地の営業所の女性営業たちの交流を図る女性営業の会や、理工系女性のキャリア支援等を行っており、中でも、他社を交えて役員が自社以外の女性管理職のメンティとしてメンタリングを実施した「4社クロスメンタリング」は、女性管理職だけでなく男性役員にとっても新たに気付きを得るきっかけにもなり、両者、各社ともに良い経験となったと紹介しました。
 今後は、タウンホール等を通して社員との対話を大切にすることで、多様な人財が働きやすく、活躍できる職場作りをさらに加速していきたいと意気込みを語りました。


3.パネルディスカッション
テーマ「女性活躍推進における組織トップの役割」
杉本 達治 氏(福井県知事)
笹岡 千晶 氏(株式会社アタゴ 代表取締役社長)
長谷川 英一 氏(株式会社福井銀行 取締役 兼 代表執行役頭取)
横田 響子 氏(株式会社コラボラボ (女性社長.net企画運営) 代表取締役)※ファシリテーター


 パネルディスカッションでは、女性活躍推進に対する組織トップのコミットメントや、女性活躍をさらに推進していくために今後取り組みたいこと、多様な人財が輝けるこれからの経営・組織の在り方についてお話しいただきました。

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          パネルディスカッションの様子           左上から時計回りに杉本知事、笹岡社長、長谷川頭取、横田氏

■女性の管理職・役員登用についてコミットしていること、組織トップのリーダーシップについて

・管理職登用がスムーズに進むよう、県庁においては、女性のグループリーダーや課長補佐の積極的な登用を進め、県内企業向けには、管理職育成コースやリーダー育成コースのように段階別に分けた女性のキャリアアップ研修を実施している。こうした取組から、管理職になる前段階として、まずは仕事への理解を深め、自分も管理職になりたいと思えることが女性活躍推進においては重要である。また、男女ともに働き方改革も重要である。県庁内各課をフリーアドレス化したところ各自が場所を固定せず仕事ができる環境を整えることとなり、結果としてテレワークが普及した。加えて、フレックスタイムを整備したことで、男女ともに育児・介護等の各家庭の事情に合わせて勤務ができるようになり、結果として女性も男性もそのパートナーも活躍しやすい環境が整ってきた。そして、男性部下の育休取得状況等も管理職の評価の1つとして取り入れることで、これらの取組が加速する仕組みづくりも行っている。(福井県・杉本知事)
・「トップが思わないことは実現しない」と考える。その上で自身の本気度が伝わるよう、あらゆる場面でダイバーシティ・女性活躍推進の重要性について発信をし、人事配置においてもこれまで男性が多かった部門や管理職へ女性を登用することも積極的に進めている。一方で、そういった人事配置をする際、不安を感じる女性が多いことも事実である。そこで、役員によるメンター制度の他、職員向けの「はせチャンネル モヤモヤ相談室」という番組を発信し、職員の悩みやモヤモヤに自ら回答し、不安を払拭できるよう努めている。コミットしていることについては、管理職の多様性比率をKPIとして掲げている。管理職の多様性実現が、結果として女性役員登用にも繋がる。(㈱福井銀行・長谷川頭取)
・自身は入社以来内勤の仕事をしていたが、「外部営業に出てほしい」と当時の上司から打診があった。子育てをしながら他の男性営業と同じ頻度での出張は難しいと相談したところ、「出張頻度ではなく、中身が重要。笹岡さんなら回数が少なくても効率よくできるでしょう。顔を出すだけであれば、僕らが行く。」と話があり、それなら自分にもできるかもと思いチャレンジできた。自身が不安に思っていたハードルを下げてくれたことでチャレンジができ、現在の自分が存在しているので、当時の上司の言葉に感謝している。身近にロールモデルがいない場合は、他の人と同じようにできるのか、迷惑をかけてしまわないかと不安に感じるため、新たな一歩を踏み出すことに躊躇してしまう。上司やリーダーの役割としては、そのような不安をくみ取り寄り添うこと、さらにその上のリーダーは不安を感じさせない仕組み、風土づくりが重要である。(㈱アタゴ・笹岡社長)

■これから女性活躍推進のために取り組みたいこと

・2022年にD&I推進宣言を行い、10年間のロードマップを作成し、その最初の3年間を「意識醸成期」と位置づけ、様々な研修や制度の充実を図り働きやすい職場づくりをメインに取り組んだ。これからは、働きやすさから、働きがいや成長を実感できるステージに持っていきたい。現在「仕事の意味づけ」というテーマでタウンホールミーティングを行っており、全職員が自分事としてとらえられるように役員と議論を重ねている。具体的には、目の前にある日々の仕事が、銀行の目指す方向性(組織のミッション)やどのような人生を送りたいのか(個人のミッション)ということに、どう結びついているのかを意識させるように取り組んでいる。また、ワークライフバランスというけれども、仕事を頑張るとプライベートの充実度が下がる、プライベートを充実させるために仕事をセーブする、という考えを持つ方がもおり、ワークとライフどちらも充実させることが可能であるという意識改革にも取り組んでいる。これからは制度の充実だけではなく、マインド面の底上げを行っていきたい。(㈱福井銀行・長谷川頭取)
・県庁及び県内企業へ取組を広めていくために、「隗よりはじめよ」の精神で、まずは自分自身が休暇取得や仕事を早く切り上げて率先して帰るようにしていきたい。そして、「なぜ登用されたか」「自信がない」など、女性管理職登用を唐突、不安に感じる女性へのフォローアップをさらに重視していく。副知事に女性を登用したことで身近にロールモデルができ、女性同士で相談しやすい雰囲気になっているが、今後もFikaなどを積極的に活用しながら、悩みを共有、孤独にならないようにしていきたい。県内企業に対しては、女性リーダー育成研修や男性育休促進企業奨励金などのように、企業の声をよく聞きながら、取組を充実させていきたい。また、意思決定層に女性が増えた結果の好事例として、審議会や防災会議が挙げられる。審議会等の女性委員割合が4割を超えてきて、これまで気付くことができなかった、卑近で具体的な意見が出てくるようになり会議が変わってきた。意思決定層に女性が増えることで、社会の実態に合い、今まで足りなかった部分に手が届くことを実感している。(福井県・杉本知事)
・社内において、無意識のうちに性別での役割分担をしてしまっている場面を見かけることもあり、そのことが女性活躍推進の弊害となっている場合もある。その部分を変えていくためにも、アンコンシャスバイアスへの周知を進めたい。また、女性社員だけでなく、男性社員のパートナーが仕事面で活躍できるよう、例えば男性社員の家事育児を当たり前にできるよう、家事育児で活躍できる男性社員を育てたい。(㈱アタゴ・笹岡社長)

■今後の意気込み・シンポジウム参加者へのメッセージ

・家庭と会社の両方で頑張り続けることは大変なので、全て完璧を目指さず、周りを頼ることで助け合いながら、自身のできることを少しずつ始めてほしいと、女性へエールを送りたい。女性活躍とは、前に出て目立つような活動をすることをだけを指しているのではないので、そういった意見も企業経営に反映させることができる仲間が増えてくれれば良いと思う。また、女性活躍推進は女性の意見を取り入れていくことは当然だが、男性の意見も同様に取り入れなければ、バランスがおかしくなる。女性だけでなく、社員皆が活躍できる体制をどう作るか、本気で考えて取り組むことを組織トップに期待したい。(㈱アタゴ・笹岡社長)
・福井県は有効求人倍率や幸福度において継続して日本一の評価をいただいているが、実感がともなわないとも言われている。行政の力だけではなく、我々経営者が自分の会社において、女性が活躍できる、若者が戻ってきたくなる福井県企業になることが極めて重要である。福井の企業や福井県の地域価値向上に向けて、共に歩んでいきましょう。(㈱福井銀行・長谷川頭取)
・福井県での男女共同参画計画では、基本理念の一つに「『がんばれ』から、『楽しもう』へ」を掲げており、女性は既に頑張っているのでこれからは楽しもうと呼びかけていきたい。そして、誰にとっても働きやすく、暮らしやすく、様々なことにチャレンジできる「安心の居場所」や「活躍の舞台」があり、若者や女性から「選ばれるふくい」となるよう、みなさんとともに進めていきたい。(福井県・杉本知事)

参加者からの声

■基調講演

  • 内川社長の強い想いが心に刺さった。組織トップの想いが大切であるということが分かった。
  • 20年前から女性活躍の取組に着手していることは素晴らしく、当社も早急に取り組む必要があると感じた。
  • 女性が活躍するためには、男性の協力も必要であり、両方の協力があって成り立つことが分かった。

■パネルディスカッション

  • 福井県企業における女性活躍推進の仕組みや苦労話が非常に参考になった。
  • 組織トップの皆さんの熱い想いを感じました。その想いを社内にどう浸透させていくかという取組も興味深かった。
  • 女性が役員や管理職につくことは、女性にとっても不安であり、その不安感の払拭に力を入れていきたいと思った。
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