地域シンポジウム(岩手県)を開催しました!
令和6年2月、「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会(以下、「男性リーダーの会」)」地域シンポジウムを岩手県後援のもと、国立大学法人岩手大学と共催で開催しました。基調講演では、本会に参加いただいているアフラック生命保険株式会社の古出社長から、女性活躍推進に関する想いと取組事例をご紹介いただきました。また、同じく「男性リーダーの会」に参加いただいている岩手大学の小川学長と、県内男性リーダーである株式会社吉田測量設計の吉田社長、そして、県内女性リーダーとして信幸プロテック株式会社の村松専務に登壇いただき、女性活躍推進における組織トップのコミットメントの重要性についてパネルディスカッションを行いました。当日は岩手県内外の企業の代表や社長等、約100名の方にご参加いただきました。
「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」地域シンポジウム(岩手開催)開催報告
- 日時:
- 令和6年2月16日(金) 13:30~15:00
- 場所:
- ハイブリッド形式(いわて県民情報交流センター(アイーナ)804B会議室/ZOOMウェビナー)
- 主催:
- 内閣府 男女共同参画局 輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会
- 共催:
- 国立大学法人岩手大学
- 後援:
- 岩手県
- チラシ:
- こちら[PDF形式:1,026KB]
プログラム
1.開会挨拶
・女性活躍担当大臣・内閣府特命担当大臣(男女共同参画) 加藤 鮎子
加藤大臣は、開会挨拶の中で、女性役員比率の高い企業の方が企業としてのパフォーマンスが高いことについて触れるとともに、多様性の確保が企業の成長だけでなく魅力的な地域の実現、日本経済の発展につながるものであるとして、シンポジウムの参加者に女性活躍の重要性を訴えました。
また、シンポジウムで得られた学びをそれぞれの組織に持ち帰り、トップ主導の下、組織内及び地域の女性活躍を加速してほしいと呼びかけました。
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・岩手県知事 達増 拓也
達増知事は、女性活躍の推進は、憲法が定める基本的人権の尊重の一環であり、法律以前に人道的に当然のことであると述べました。同時に、人口減少に歯止めをかけ地域社会が持続的に発展していくためには、女性があらゆる分野に参画し、みんながワクワクした気持ちで協力し合い、地域をキラキラ輝く社会にしていくことが求められているとの考えを示しました。
また、県内における子育て世代の女性の就業率は8割を超えるなど、そのポテンシャルは高く、女性が働きやすく活躍できる環境作りに向けた「いわて女性活躍企業等認定制度」や、国のえるぼし認定企業数も着実に伸びてきていることを紹介しました。最後に、仕事と子育ての両立の困難さなど、さまざまな生きにくさを生きやすさに変え、女性が自ら希望する生き方・働き方を実現していくために多くの企業での継続した実践が不可欠であり、組織のトップの役割が決定的に重要であるとし、今回のシンポジウムをきっかけに、女性活躍の促進がさらに進むことを期待すると述べました。
2.基調講演
アフラック生命保険株式会社 代表取締役社長 古出 眞敏氏
テーマ:「男性リーダーによる女性活躍推進への想いと取組」
アフラック生命保険株式会社の古出社長からは、女性活躍推進を非常に激しい変化の時代の中で持続的に成長するために必要な経営戦略と位置付けたうえで、経営トップの強い意志の下、管理職向けの研修、女性社員の育成、環境整備などに取り組んでいらっしゃることをご紹介いただきました。
古出社長によれば、中でも経営トップが本気で女性活躍促進に取り組み、またそのことを社員の皆さんに示すことが最も重要であり、ご自身も折に触れ社員の皆さんに女性活躍推進への想いを伝えていらっしゃるとのことです。特に、社員の皆さんの前で女性活躍をテーマに社外有識者と議論した際には、大変好評だったとのことで、決められた原稿を読み上げるのではなく、自分の言葉で語ることの有効性に気づかされたといったエピソードもご紹介いただきました。
また、管理職に対する研修では、育成能力を身につけてもらうと同時に、意識改革も重視しており、特にオールド・ボーイズ・ネットワーク(男性中心の組織で培われてきた独特の文化や仕事の進め方、人間関係)への気づきを促し、性別を問わず働きやすく、自由で闊達な企業風土と、透明性の高い業務運営の実現を目指しているとのことでした。さらに女性社員については様々な研修のほかにも、一人一人個別に育成計画を立案したり、部門の異なる役員や部長がメンターとなってキャリア形成のサポートを行ったりと、会社全体として社員の育成にあたっていらっしゃいます。加えて、家庭と仕事を両立できる職場環境や、KPIの設定・進捗管理といった組織体制を整備することの重要性についてもお話しいただきました。
これらの取組の結果、特に会社として力を入れている新規分野において女性役員の登用が進んだ」、「20代、30代の女性社員の離職率が低下した」といった女性活躍の視点での成果に加え、男女を問わず「性別を問わずに活躍できる」、「社員一人一人を大切にしている」と考える社員の割合が大幅に上昇するなど、全社的にも目に見える効果がでているそうです。
最後に、女性活躍推進は地域や業種を超えて協力しあえる取組であるとして、岩手県内の経営者の皆様に男性リーダーの会への参加を呼びかけていただきました。
・パネルディスカッション
株式会社吉田測量設計 代表取締役社長 吉田 直人氏
信幸プロテック株式会社 専務取締役 村松 直子氏
国立大学法人岩手大学 学長 小川 智
国立大学法人岩手大学 副学長・ダイバーシティ推進室 室長 海妻 径子(ファシリテーター)
テーマ:「女性活躍推進における組織トップのコミットメントの重要性」
パネルディスカッションの様子
岩手県内の男性リーダー、女性リーダーによるパネルディスカッションでは、女性活躍推進に対する組織トップとしてのリーダーシップや、自身が男性リーダーから受けた影響について発信いただくとともに、男女問わず多様な人材が輝ける、これからの経営・組織の在り方についてお話しいただきました。
<パネルディスカッション内容>
■女性活躍推進に対する組織トップのリーダーシップについて
- 女性が活躍できるようになることのベネフィットをトップが言語化するとともに、各種統計を活用しながらロードマップを作成、社内で共有するように心がけた。また、私1人が大きな声でメッセージを発信するというよりも、女性社員の声をたくさん拾って、それらを全社に共有するといったやり方を取っている。(吉田社長)
- 大学の意思決定機関に女性が0人、1人という時期が続いていたが、はじめて複数の女性を登用した。複数の女性がいることでお互いに相談し合あうことや、積極的に意見を出していただける機会も増えた。女性を孤立させないことが重要だ。(小川学長)
- 私が入社した当時、社内は性別に基づく役割分担がはっきりしており、女性の立場から新しい提案をすると反発を受けることもあった。そのような中、社長であった父が、経営者としての視点から「間違っていないからどんどんやりなさい。私が後ろから支える。」と言ってくれたのは心強かった。現在では会社として推進すべき取組は、部門長を中心に全員で推進できる体制となっている。また、女性社員といろいろと相談できるようになり、取り組みを進めやすく息がしやすくなった。(村松専務)
◆男女問わず多様な人材が輝ける、これからの経営・組織の在り方について
- ロールモデルは周りにいるとは限らない。性別を問わず、パッチワーク的に複数の人から学んでいくのがよいのではないか。社内外の様々な人と関わる機会を組織が提供することも重要。(村松専務)
- 大学において男女共同参画を推進するためには、組織体制をしっかりと構築する必要がある。学長就任後、男女共同参画室をダイバーシティ推進室へと組織改編し、学長・副学長が運営を担う全学的な体制を作った。同時に、学内アンケートからは「目立ちたくない」とも思っている女性の姿が見えてきた。「目立つかもしれないが活躍しよう」という雰囲気をつくるには男性リーダーが熱意をもって働きかけていくことが重要ではないか。トップが熱意を持って関わらない限り、枠組みや制度だけを作ってもうまくいかないと考えている。(小川学長)
- 変化の激しい現代はそれだけで人にとってストレスを感じるもの。その中であまりにドラスティックな変化を求めると社員に大きな負荷がかかってしまう。ロードマップを描き、その中で一つ一つマイルストーンを置くことで着地点を示しながら、ともに取組を展開してきたい。同時に、社会全体が男女平等に目を向け、課題としてしっかりと確立していくなかで、女性の役員数などわかりやすい数字にフォーカスが当たりすぎるきらいもあると思う。そこで、私たちの会社では単に人数を増やそうとするのではなく、チャンスや機会の数を増やしていく、といったことを考えている。(吉田社長)
参加者からの声
<基調講演>
- 取組の結果、20代、30代の女性社員の離職率の低下につながっているとのことであり説得力があった。
- 社員の皆さんと直接会ってお話しされることを大切にされている様子がよかった。
<パネルディスカッション>
- リーダーの声を社内に響かせることよりも、現場の小さな声を100倍にすることが大事、というお話に感銘を受けた。
- 女性の活躍のキーワードは「安心感と場数」というコメントが印象に残った。