「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」行動宣言

地域シンポジウム(宮崎県)を開催しました!

  令和6年1月、「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会(以下、「男性リーダーの会」)地域シンポジウムを宮崎県・日向市と共催で開催しました。基調講演では、本会に参加いただいている味の素株式会社の藤江社長から、女性活躍推進に関する想いと取組事例をご紹介いただきました。また、同じく「男性リーダーの会」に参加いただいている宮崎県の河野知事と、県内男性リーダーであるえびの電子工業株式会社の津曲社長、そして、県内女性リーダーとして宮崎交通株式会社の久富人事総務部担当部長に登壇いただき、女性活躍推進における組織トップのコミットメントの重要性についてパネルディスカッションを行いました。当日は宮崎県内外の企業の代表や社長等、約200名の方にご参加いただきました。

「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」地域シンポジウム(宮崎開催)開催報告

日時:
令和6年1月31日(水) 13:30~15:00
場所:
ハイブリッド形式(宮日会館11階宮日ホール/ZOOMウェビナー)
主催:
内閣府 男女共同参画局 輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会
共催:
宮崎県・日向市
後援:
みやざき女性の活躍推進会議
チラシ:
こちら[PDF形式:1,037KB]

プログラム

1.開会挨拶

・女性活躍担当大臣・内閣府特命担当大臣(男女共同参画) 加藤 鮎子
 加藤大臣は、開会挨拶の中で、女性役員比率の高い企業の方が企業としてのパフォーマンスが高いことについて触れるとともに、多様性の確保が企業の成長だけでなく魅力的な地域の実現、日本経済の発展につながるものであるとして、シンポジウムの参加者に女性活躍の重要性を訴えました。
 また、シンポジウムで得られた学びをそれぞれの組織に持ち帰り、トップ主導の下、組織内及び地域の女性活躍を加速してほしいと呼びかけました。

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  • ・宮崎県知事 河野 俊嗣
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 宮崎県の河野知事は、人手不足が深刻化する地域社会においては、女性も男性もこれまで以上に活躍できるような環境を実現することが極めて重要であり、九州で初めての地域シンポジウムを宮崎で開催できることを誇りに思うと述べました。
 また、市町村や民間事業者から「組織トップのコミットメントが重要」との意見を聞くことも多く、自身も令和5年9月に男性リーダーの会に参加したことを紹介しました。
 最後に、本日のシンポジウムを通じて男女共同参画及び女性活躍推進について考えを深め、今後の県庁内と県民に向けた取組に活かしたい旨、表明しました。

・日向市長 十屋 幸平
 日向市の十屋市長は、まず第2次日向市総合計画における重点戦略のテーマを「若者と女性に選ばれるまち“日向”未来づくり戦略」とし、この戦略の促進のために令和3年10月に宮崎県の男性リーダーとしてはじめて本会に入会したことを紹介しました。
 また、現在は令和4年3月に策定した「第6次日向市男女共同参画プラン」に基づき、市内事業者への女性活躍推進アドバイザーの派遣やえるぼし認定及びくるみん認定の取得を目指す企業への取組費用の助成など様々な取組を行っていることを説明しました。
 加えて今後も市長自らが先頭に立って日向市におけるジェンダー平等及び女性活躍促進に尽力する旨、表明しました。

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2.基調講演
味の素株式会社 取締役 代表執行役社長 最高経営責任者  藤江 太郎氏

テーマ:「男性リーダーによる女性活躍推進への想いと取組」

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 基調講演では、味の素株式会社の藤江社長よりご講演いただきました。藤江社長によれば味の素グループが持つ最も重要な無形資産は人財であり、グループの持続的な成長と企業価値の向上には女性を含む多様な人財の活躍が必須との考えの下、取組を進めているとのことです。特に、必要な時に、必要な人財を獲得できる環境は、企業成長に欠かせず、そのため「働き続けたい」と選ばれる会社を目指し、様々な取組を展開しているとご説明いただきました。
 具体的な取組として経営層を含む全社員を対象としたアンコンシャス・バイアス研修、男性育休取得促進、女性のキャリアの育成・支援、事業所内保育所についてご紹介いただきました。ご自身もアンコンシャス・バイアス研修を受講され、「これまで男性が「えこひいき」されていた」という講師の一言にハッとされたということです。他にも、女性のキャリア育成・支援の取組では、女性社員とその上司がワークショップに同時に参加したうえで、その後の半年間で実践することを話し合ったり、その内容を社内SNSで共有したりといったように育成する側や周囲の人々も巻き込む仕掛けを施しているといったこともお話しいただきました。また、管理職手前の女性社員が参加する選抜型のリーダー研修では、2020年の第1回参加者のうち半数以上が管理職になられているそうです。
 最後に、女性活躍推進についての想いとして、社会において男性と女性が協力して活動していることが、一人一人の幸せにつながると述べられ、「男性自ら考えやふるまいを進化させていきましょう」と聴衆に呼びかけていただきました。

・パネルディスカッション
 えびの電子工業株式会社 代表取締役社長 津曲 慎哉氏
 宮崎交通株式会社 人事総務部担当部長 久富 美加子氏
 宮崎県知事 河野 俊嗣
 株式会社Will Lab 代表取締役 小安 美和氏(ファシリテーター)

テーマ:「女性活躍推進における組織トップのコミットメントの重要性」

 宮崎県内の男性リーダー、女性リーダーによるパネルディスカッションでは、女性活躍推進に対する組織トップとしてのコミットメントや、自身が男性リーダーから受けた影響について発信いただくとともに、性別を問わず多様な人材が輝けるこれからの経営・組織のあり方、男性リーダー同士で女性活躍について議論を行う意義などについてお話しいただきました。

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    小安代表

<パネルディスカッション内容>

■組織トップのコミットメント

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    河野知事

  • 藤江社長の講演もそうだが、トップが自らの言葉で女性活躍について語ることで組織内の雰囲気が変わる。県庁内では女性管理職比率の目標(副主幹ポスト職以上20%)を立てたが、ほぼ達成しており、より高い数値を目指して取組を進めている。また、県審議会委員に占める女性比率については43.9%と比較的高いが、市町村においてもこの比率を向上させることが課題。ただ、そもそも職員の性別・年齢構成比に大きな偏りがあり、特に管理職となる世代では圧倒的に男性が多い。このなかで取組を進めなければならないが、若い世代では女性が4割ほどとなっているので今後は状況が大きく変化していくと考えている。(河野知事)
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    津曲社長

  • 自社商品を持たない製造業として採用に苦労してきたことから、「地元で、家族と、自分らしく」をテーマに、ジェンダー平等の視点からの働き方改革に取り組んでいる。一定の有給取得を昇進条件にしたり、多能工化を進めたりしたことで管理職を含めた有給取得率は100%を超えている(前年繰り越し分を含む)。また、私自身が第三子の誕生の際に取得するなど男性の育児休業を奨励し、取得率100%を達成。他にも、みやざき女性の活躍推進会議による「みやざき女性リーダー育成塾」に社員を派遣したり、社内でコーチング研修を行ったりと人材育成にも力を入れている。管理課長を総合管理職と技能管理職に分けるなど職制の改革を通じて昇進への心理的ハードルを下げ、個人のペースに合わせたキャリア形成が可能となるよう努めている。(津曲社長)
  • トップ自らが女性活躍の推進の重要性を理解し、組織改革・風土改革にコミットしてくれると取組を推進しやすくなる。定期異動で人事課長を命じられた際は驚き、プレッシャーに押しつぶされそうになった。当初は、リーダーシップを発揮しなくてはと気負ったあまり、視線が部下にばかり向いてしまっていたように思う。そのような時に、「会社は仲良しクラブではないよ。どこを見て仕事をしているんですか」という上司の一言で目の覚める思いをした。その後、経営陣が講師を務める勉強会に参加するなどして、組織全体の経営についても視野を広げていった。しばらくして部長に昇進したが、今では「はじめは居心地が悪くても、しばらくすれば慣れる」というように考えられるようになった。そういった姿を後輩に見せていくことが自分の仕事だと思っている。(久富部長)
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    久富部長

■性別を問わず多様な人材が活躍できるこれからの経営・組織について

  • 一昔前は怒られることはあっても滅多に褒められることはなかったように思う。しかしながら、たまには「あなたのことはわかっているよ。よくわかっているね」ときちんと口に出して伝えることが重要だ。また、「この人には無理だよね」と決めず、リスクは承知の上で大小さまざまなチャンスを用意して、意外性の発見に努めて欲しい。女性活躍は「女性の男性化」ではないと考えている。これまでの組織のあり方をそのままに男性の代わりを女性が務めるのではなく、新しい組織のあり方が求められているのではないか。(久富部長)
  • 妊娠、出産といったライフイベントを経ながら女性が職場で活躍していくこと、夫婦が子育てに関する希望を叶えていくためには、女性に「がんばれ、がんばれ」と言うだけでなく、男女が支え合ってライフイベントを経験しながら、無理なくステップアップしていく仕組み作りを考えていきたい。(河野知事)
  • 一人一人の状況に応じて「納得と安心」を作り出していくことが課題だと考えている。そのためには、過去の経験からくる思い込みを排すことが重要だ。例えば、当社でも「女性に夜勤は危ないのではないか」といった思い込みがあったが、実際には手当てがつくこともあり夜勤を希望する女性社員もおり、夜勤中の管理職の体制などを見直すことで実現できた。さらに、上司や社長にはなかなか思いを伝えられないもの。特に、男性の「やせ我慢」についても考えないといけない。私自身、本当はもっと子育てに関わりたかったが我慢してしまった。誰かが我慢して成り立つ組織ではなく、皆が協力し合って誰もが助かる組織を作っていきたい。(津曲社長)

■男性リーダー同士が議論を行う意義

  • 普段は「みやざき女性の活躍推進会議」において活動しているが、男性リーダーの会を通じて全国の経営者とつながれるのは大変ありがたい。また、子育て中の身としてはオンラインで参加できることもありがたい。(津曲社長)
  • 「男性リーダーの会」という名称については、もちろん「なぜ男性に限るのか」「女性リーダーもいるじゃないか」と考えなくてはいけない。しかしながら、現実問題、組織トップは多くの場合、男性が担っており、そのような男性リーダーの意識を変えていく必要がある。宮崎県では市町村長と協力して「みやざきイクボス宣言」を行うなどトップとしての発信を行ってきたが、これからも女性活躍に取り組む男性リーダーの輪を拡げていきたい。(河野知事)

参加者からの声

<基調講演>

  • 必要なときに必要な人材の獲得ができる環境は企業成長に欠かせない、という言葉が印象に残っている。様々な取り組みを通して、男性も女性も公平に活躍できる職場環境ができるのだと感じた。
  • 海外での経験やアンコンシャスバイアス研修での言葉(「男性が「えこひいき」されてきた」)を重く受け止められ、改革に励んでおられること、素晴らしいと思いました。互いを認め合い、支え合い、違いから生まれる新しい価値を見出すことの大切さを学びました。
  • 講演をお聞きして、当社でも管理職は男性であり女性は管理職のサポートまでという意識が根強く残っていることに思い至った。ただ、全社員数に占める女性社員数の少なさから難しさもあるが、女性社員の意見を大事にしながら取組を進めていこうと思う。

<パネルディスカッション>

  • 各業種、色んな立場の方のパネルディスカッションを聞けて刺激になりました。えびの電子工業株式会社様の話は特に感銘を受けることが多く、本当に従業員の方に寄り添った会社だと思いました。育児休暇はもちろん有給休暇についても考えているということで社会全体がそのような環境になってほしいと思います。
  • とても熱意の感じられるパネルディスカッションでした。女性活躍にはトップのリーダーシップが必要だと改めて感じました。
  • 女性だけでなく、特に若い方は男性にも管理職になりたくないという人が増えていると感じています。男女ともに「やせがまん」せずに自分らしさを失わずに過ごせるように・・・というのは考えていかないといけないことだなと思いました。
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