令和4年10月18日 地域シンポジウム(石川県)を開催しました
令和4年10月、「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会(以下、「男性リーダーの会」)」地域シンポジウムを石川県と共催で開催しました。基調講演では、本会に参加いただいているアサヒグループホールディングス株式会社の勝木社長から、女性活躍推進に関する想いと取組事例をご紹介いただきました。また、県内男性リーダーとして株式会社北國フィナンシャルホールディングスの杖村社長、コマニー株式会社の塚本社長、そして県内女性リーダーとして株式会社小林製作所の黒川Cooに登壇いただき、女性活躍推進における組織トップのコミットメントの重要性についてパネルディスカッションを行いました。当日は石川県内外の企業の代表や社長等、約320名の方にご参加いただきました。
「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」地域シンポジウム(石川開催)開催報告
- 日時:
- 令和4年10月18日(火) 15:30ー17:00
- 場所:
- 石川県立音楽堂/Zoomウェビナーのハイブリッド形式
- 主催:
- 内閣府
- 共催:
- 石川県
- 後援:
- 石川県商工会議所連合会、石川県商工会連合会、(一社)石川県経営者協会、石川県中小企業団体中央会、石川県農業協同組合中央会、石川県信用保証協会、日本労働組合総連合会石川県連合会、石川労働局、(公財)いしかわ女性基金
- チラシ:
- こちら[PDF形式:978KB]
プログラム
1.開会挨拶
・小倉 將信 女性活躍担当大臣/内閣府特命担当大臣(男女共同参画)
小倉大臣は、開会挨拶の中で、女性役員の多い企業の方が株価や利益率等企業のパフォーマンスが高いことに触れ、多様性の確保は企業の成長、日本経済の発展につながるものであるとして、シンポジウムの参加者に女性活躍の重要性を訴えました。
また、シンポジウムで得られた学びをそれぞれの組織に持ち帰り、トップ主導の下、地域の女性活躍を加速してほしいと呼びかけました。
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・馳 浩 石川県知事
石川県の馳知事は、女性副知事として7月に登用した西垣淳子副知事を紹介し、女性も男性もやるべきことを一緒に進め、また物事を決める場に女性がいることの重要性を示したいと訴えました。
また、今回の地域シンポジウムを通じて、男性も女性も家事・育児・仕事において協働し、その中で女性の能力が大いに発揮される社会を作っていきたいと述べました。
2.基調講演
アサヒグループホールディングス株式会社 代表取締役社長兼CEO 勝木 敦志氏
テーマ :「男性リーダーによる女性活躍推進への想いと取組」
基調講演では、アサヒグループホールディングス株式会社の勝木社長よりご講演いただきました。多様性は国内外の最重要課題であるとして、2022年にはDE&I(ダイバーシティエクイティ&インクルージョン)カウンシルを経営組織の直下に置いてグローバル全体で取組を推進していく体制を整えたことや、グループ全社員に向けて月に1回程度ビデオメッセージを発信していること等、組織トップが率先して取り組むことの重要性についてお話しいただきました。
国内では、女性が働きやすい環境が整ってきた一方、ジェンダーギャップ指数が低い等、まだまだ課題が残っていることを指摘し、それに対してトップダウンで推進する委員会とボトムアップで推進する委員会の両輪体制を整えたことや、その他に具体的な事例を交えながら、組織の中核部門への女性登用は経営の優先事項であるとの力強いメッセージをいただきました。
3.パネルディスカッション
・株式会社北國フィナンシャルホールディングス 代表取締役社長 杖村 修司氏
・コマニー株式会社 代表取締役社長執行役員 塚本 健太氏
・株式会社小林製作所 業務改革最高責任者(Coo) 黒川 正枝氏
・石川県副知事 西垣 淳子(ファシリテーター)
テーマ:「女性活躍推進における組織トップのコミットメントの重要性」
石川県内の男性リーダー、女性リーダーによるパネルディスカッションでは、女性活躍推進に対するコミットメントや、自身が組織トップから受けた影響について発信いただくとともに、今後女性活躍をさらに推進していくために取り組んでいきたいこと、男性リーダー同士で女性活躍について議論を行う意義などについてお話しいただきました。
<パネルディスカッション内容>
■女性活躍推進に対する組織トップのリーダーシップについて
- 組織トップが推進してきた中で、取組の課題として“真に女性が働きやすい環境”が何かを考え、人事制度や評価の仕組にメスを入れ、女性役員を筆頭として委ね白紙から刷新した。
- トップダウンで進めることに加え、推進委員会を置いてボトムアップで進めることも重要。また、組織トップが発信し続けることも重要。
- 組織トップが「男女の差なく、優秀で人柄が良く適性があれば、役職に登用する」という考えが前提にあったことで、女性が活躍する企業になれた。
■男女問わず多様な人材が輝ける、これからの経営・組織の在り方について
- 全員参加型の経営を実践し、社員全員で会社を作り上げてきた。通常だと難しいことも、社員の皆で知恵を絞ることによって、不可能を可能にすることができた。
- 自分の考えを持ち、意見をきちんと伝えるためにも、リスキリングが重要。自分の会社だけではなく、様々な方々と議論を進めるような経験を積むことが重要。
- 一社だけが女性活躍を推進しても限界がある。地域全体、日本全体が制度や風土を作り上げていくことが重要。女性が働きやすい職場は男性にとっても働きやすい職場である。女性活躍は、企業の持続可能な発展に不可欠である。
■シンポジウム参加者へのメッセージ
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中小企業はなかなか余力が無く、女性活躍にどのように取り組んだら良いか?
- 始めは難しいと思うものの、トップが勇気を持ってやれば、やって良かったと思ってもらえる自信がある。大企業のみではない。人口が減っていく中で、新入社員が企業を選ぶ時代になるので、企業戦略として、D&Iや女性活躍が入っていない企業は生き残れないのでは。
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「男性リーダーの会」はどのようなメリットがあるか?
- (「男性リーダーの会」の)ミーティングは代理出席がきかないので、大小の企業規模を問わず男性リーダー同士で色々な取組や悩みを共有する場であり、学ぶことも多く、ここ以外でこのような議論をする場は無いと感じている。
- 男性リーダーの意識改革、女性自身の意識改革をどう進めたら良いか?
- 古い体質の企業であっても、トップだけでなく社員全員で、粘り強いコミュニケーション、粘り強い対話を重ねて、社員皆で議論してきたことで改革を進めることができた。
- 社内教育や研修で、度々重要性を説いてきた。危機感のある人が幹部になっており、幹部ともそういう共通認識が出来ている。
- 女性の場合、昇格するには、男性の2倍努力しないと認めてもらえないと思っている部分がある。「負けないぞ」という気持ちでは競争になってしまうので、上司含めコミュニケーションを積極的に取っていくことが大事。頑張っている女性はどこにいっても評価されるので、めげずに頑張ってほしい。
参加者からの声
<基調講演>
- 女性が活躍し輝く会社、社会づくりをしていくことは、これから大切になってくるだろうと感じた。これから中小企業も取り組む必要があると感じた。
- 業界をリードする会社のトップの方の意識を知り、とても頼もしく思った。企業に対する消費者としての期待感や印象もよい方に変わるし、そのことがまた企業風土を良い方向に変化させていくことと思う。
- DE&Iを意識された取組をやられていて、よく理解できた。やればできるというその言葉が良かった。その時代、その会社によって、環境も条件も違うので一概には言えないが、女性によっては、上に上がりたがらない人もいる。その恐れを取り除く環境があるのはうれしいことだし、トップによってそれが変えられるのはとても有り難いことである。ジェンダーギャップ指数が低いという位置が早く変わる世の中になってほしいし、自分たちも努力したい。
<パネルディスカッション>
- 女性が働きやすい職場=男性も働きやすい職場、非常に印象に残った。当社では大卒の求人を行っているが、なかなか振り向いてもらえない原因がそこにあるのではないかと思った。建設業の働き方改革が課題となっているが、時短や割増手当だけでなく、根本的な働き方改革に取り組まなければならない。
- 具体的な事例やストーリーを聞かせてもらい、女性活躍推進している企業の経営者の考えが良く理解出来て大変勉強になった。 弊社に女性活躍の視点が欠けていたと経営者として反省している。
- トップコミットメントと継続、その中身など、組織トップが主となった結果、女性活躍推進を進められており、生き残る企業の強さが伝わってきた。
- 数値目標だけではなく、コミュニケーションをとることの必要性をすごく感じた。それと同時に政策をデザインするという考え方もとても共感でき、誰かだけが頑張るのではなく、全体、全員で参加してミッションを達成するためのビジョンを持ち作ること。バリューを考え出すことがとても必要だと思えた。そうなるための環境づくりのための意識を組織トップが持つことがとても大切だと感じた。