仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会

(開催要領)

  • 日時: 平成13年3月26日(月) 15:00~17:30頃
  • 場所: 内閣府3階特別会議室

(出席者)

会長
樋口 恵子 東京家政大学教授
会長代理
島田 晴雄 慶應義塾大学教授
委員
猪口 邦子 上智大学教授
岩男 壽美子 武蔵工業大学教授、慶應義塾大学名誉教授
河野 真理子 (株)キャリアネットワーク代表取締役社長
櫻井 るゑ子 (財)日本私学教育研究所専任研究員
佐々木 かをり (株)イー・ウーマン代表取締役社長
島田 祐子 声楽家
田尻 研治 エクソンモービルマーケティング(有)社員
福武 總一郎 (株)ベネッセコーポレーション代表取締役社長

(議事次第)

  1. 開会
  2. 検討状況報告について
  3. その他
  4. 閉会

(配布資料)

資料1
仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会検討状況報告(案)
資料2
第3回男女共同参画会議仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会議事録(案)

(概要)

○検討状況報告について

事務局から資料説明及び福武委員から資料の配付と説明が行われ、その後、議論が行われた。

検討状況報告の内容については、会長が、本日の議論を踏まえ、会長代理と相談しながら修正を行い、男女共同参画会議に報告を行うことで一任された。

(福武委員)
資料は、子育てと仕事の両立を阻害する要因、解決の方向性、具体的施策について、客観的な事実も基に述べたもの。 この際、「民営」「民間」の概念を、従来の社会福祉法人のみならず、営利企業やNPO等も含めた形で定義すべき。また、自治体主導を打ち出せないか。
(島田会長代理)
国や自治体の保育に関する予算について、一度考え方を図式化して説明してほしい。民間に参入を認めても、認可の枠を定めると経済的に無理が出るのではないか。それでいいのか、それとも枠内の料金になるよう支援すべきなのか、国家政策として議論すべき。
(猪口委員)
まずは公立保育所の拡充が大事と書くべき。すべての人に恩恵があるように、表彰ばかりでなく、自治体に対し指標化と達成度のチェックを行うべき。学童保育の小学校高学年までの延長と、育児休業を両性で取るような改善について書くべき。
(樋口会長)
公立中心とすべきかについてはこの場で完全な結論が出ていない。指標化と達成目標は入れたい。
(岩男委員)
数値目標を用いて、この専門調査会の成果が今後設置される他の専門調査会で生かされるようにするべき。学童保育については学校がないときに対応すると書くべき。
(島田会長代理)
潜在的な待機児童をどこまでと把握するのか。いわゆる待機児童、無認可の利用者、働きたいけれど働いていない女性の子など、いくつかの段階があるが、定義によっていくつかの指標をつくり、それぞれ解消するためにどのくらいの時間や予算がかかるのか議論して提示するべき。
(田尻委員)
小学校入学までの短時間勤務、育児休業の両性での取得、育児休業の未利用分を短時間勤務に活用できる制度、病気休暇を企業に請求しやすい制度、有期労働者の育児休業制度、地域で子供を一時的にすぐに預かってくれる場所の整備などが必要。
(坂井副大臣)
病児の支援を行うことにより、小児科医や児童精神科医などが増える効果もあるのではないか。身近な親戚を保育者と認めて支援するのはどうか。
(島田会長代理)
子育て支援には児童手当のような生活費支援よりも、子育てのサービスインフラがあるということが大事。そのインフラは児童手当予算の一部でも使えば充分整備できる。
(樋口会長)
今までにあるいくつもの提言や施策が何故うまくいかないのか、公立保育園が何故使いやすいものではないのか、何が悪いのか分析する必要がある。
(猪口委員)
推進する力が十分になかったからで、会議が目標と達成値で押すことでどこまで進むか見てみたい。公立保育所も、どこまで改善できるのかチャンスを与えるべき。
(福武委員)
公は縦割りやコスト意識のなさから変わらないのではないか。営利法人やNPOなどにチャンスを与え、質の管理をしながら本当の競争をすべき。また、地域が一体となって子育てをする責任を負うためにも、子育ては地方自治主導にすべき。
(猪口委員)
行政も政策評価で変化が始まっている。民間の役割として、新しい手法を提示して欲しいと思うが、政府にはこの分野で自らノウハウを開拓し、良い行政を行う責任があり、政府に目標を持って達成してもらうという根本を放棄すべきでない。
(樋口会長)
互いに刺激を与えながらやっていけばよい。子育てと両立支援は公的、社会的責任であることは当然。
(河野委員)
今仕事がある人へのサポートがまずあるべき。両立には様々な事態に対応する両親の心構えや計画が必要であることも指摘すべき。職場を子育てに限らず休暇を取りやすい体制にすべきで、そのためには企業風土も本人の努力も必要。企業表彰は経営者の意識変革の面で有用。企業を動かすには、「父親」など硬い表現を使った方がよい。
(島田会長代理)
冒頭に経営者と職場の理解について記述するのも良い。
(猪口委員)
学校や幼稚園の行事などを、よほどのことがない限り平日昼間には行わないよう徹底すべき。
(岩男委員)
仕事の評価を拘束時間でしないことが大事。
(佐々木委員)
中間報告の柱立ては、もっとキャッチで具体性があって対象であるワーキングマザーがすぐ分かるものにすべき。具体的数値や達成時期を明示するなど、中身を変えなくても工夫の余地がある。 産休は両親が同時に取れるようにするべき。
(島田(祐)委員)
報告は、短くてインパクトがあり、少しくらい過激でも刺激的にして、男性が両立や育児の大切さを理解する機会になるようにすべき。
(櫻井委員)
保育料の税制控除はどうするのか。
(坂井副大臣)
税制で対応する方がいいのか、予算で対応する方がいいのか、いろいろな議論があっていい。ただし、税制よりも予算のほうが低所得者も含めみんなに恩恵がいくのではないかという議論もある。
(猪口委員)
住宅に控除を認めるなら、子育ての控除があってもいいのではないか。配偶者控除を議論するという考えもある。難しいというのなら、税務当局にヒアリングすべき。
(島田会長代理)
配偶者控除の問題など、税制について議論する余地は十分にある。ただし、子育て経費の所得控除は公平性を考えると、就労していない人も低所得の人もいるので、税控除よりも保育所助成等がなじむのではないか。この話は、一度大いに議論すべき。
(佐々木委員)
中間報告自体には実現できることを書くとしても、今まで我々が議論してきたことも記述すればよいのではないか。
(田尻委員)
「義務化」という言葉は使わない方がよい。
(樋口会長)
今までの議論は都市の雇用労働者に偏りすぎで、専業主婦や農村、自営業にも広げるべきとの批判もある。
(佐々木委員)
今まで全国的に一律で試みようとしてきたために都市部に不満が出た。中間報告は一番不満な人たちが多い都市部に集中して出し、最終報告までにはカバーされていないところまで見ていけばよいのではないか。
(福武委員)
モデル事業というのは、及び腰ではないか。公設民営はモデルではなく標準にすべきだ。モデル地域ならば決めても良いが。
(島田会長代理)
これは、保育の充実について良い考えを持っているところをモデルとして支援するという趣旨。
(福武委員)
地域主導でいくためには、ファミリーサポートセンターなどを個別に設置しない方がよいのでは。

○事務局から、第3回専門調査会の議事録(案)が提示され、了承された。

(以上)