仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会

(開催要領)

  • 日時: 平成13年3月16日(金) 10:00~12:30頃
  • 場所: 内閣府3階特別会議室

(出席者)

会長
樋口 恵子 東京家政大学教授
会長代理
島田 晴雄 慶應義塾大学教授
委員
猪口 邦子 上智大学教授
岩男 壽美子 武蔵工業大学教授、慶應義塾大学名誉教授
河野 真理子 (株)キャリアネットワーク代表取締役社長
櫻井 るゑ子 (財)日本私学教育研究所専任研究員
佐々木 かをり (株)イー・ウーマン代表取締役社長
島田 祐子 声楽家
田尻 研治 エクソンモービルマーケティング(有)社員
八代 尚宏 上智大学教授、(社)日本経済研究センター理事長

(議事次第)

  1. 開会
  2. 仕事と子育ての両立支援に関するヒアリング
    浜田 広 ((株)リコー取締役会長)
  3. 検討状況報告について
  4. 閉会

(配布資料)

資料1-1
ヒアリング用レジュメ((株)リコー 浜田会長説明資料)
資料1-2
経済低迷・少子高齢化社会の企業のあり方(河野委員説明資料) [PDF形式:1210KB] 別ウインドウで開きます
資料1-3
EPSONの育児介護支援制度について(セイコーエプソン(株)) [PDF形式:1090KB] 別ウインドウで開きます
資料1-4
ベネッセコーポレーションの就労支援((株)ベネッセコーポレーション)
資料2-1
検討状況報告の構成イメージについて
資料2-2
専門調査会における議論の整理
資料3
仕事と子育て両立支援策に関する意見募集結果について
資料4
第2回男女共同参画会議仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会議事録(案)

(概要)

○仕事と子育ての両立支援に関するヒアリング
 (株)リコー取締役会長の浜田広氏から説明が行われ、質疑応答が行われた。また、引き続き河野委員から説明が行われ、さらに事務局から企業の取組について説明が行われた。

○検討状況報告について

事務局からの資料説明の後、議論が行われた。

本日の議論を踏まえ、会長及び会長代理が相談して中間報告案を作成し、次回引き続き議論することになった。

(八代委員)
「保育」よりも「企業と働き方」を全面に出すべき。日本的雇用慣行に基本的問題があること、働き方の多様化を促進することを強調すべき。また、政府は制度的な制約を率先して見直すべき。 潜在的な待機児童は非常に多く、それを本来の対象とするような遠大な対策を考えるべき。 保育園を増加するに当たり、それを公立でやるのか、公設民営など多様な在り方を認めていくのかは大きなポイントになる。
(樋口会長)
保育所の在り方については、中間報告ではまだ結論は出せないのではないか。多様な在り方を認めて増やせというところまででは。
(島田会長代理)
潜在的な待機児童について、実態把握のため、一度調査すべき。政府に必要なデータを出してもらって解釈し直しても良い。 公立保育所の役割を認めた上で、飛躍的に増やすためには質を担保した民間を促進すべき。事後チェック型で参入を認め、情報公開をしっかりすればよい。また、既存の保育所が新規参入を阻むので、ノンアクションレターの導入により、公正明大な行政プロセスを確保して、基準に合えば設置できるようにするべき。
(田尻委員)
企業、働き方に関する議論を前に出すべき。また、育児休業の取得促進のため、育児休暇を多少延長して、一方の性のみではすべては取れないようにすべき。また、育児休暇の未取得分を短時間勤務に振り替える制度や、派遣やパートでも育児休業法を適用させることなどを盛り込むべき。
(佐々木委員)
今現在困っている人の満足度を高めるという意味で、待機児童を0にするのはよい考え。 公立保育園の良い点の1つは安いことだが、民間でも安くて園庭があり人の配置がなされているなど環境が整っていればよい。学童保育は7時まで行うべき。育児休暇は両性が同時に取れるようにすべき。小学校入学など、子供のライフステージに合わせて短時間勤務ができる制度があればよい。さらに、保育にかかる金額が税金の控除対象になるとよい。
(八代委員)
今一番困っているのは、待機児童を持っている人だけではなく、現に無認可保育所に預けている人だと思う。
(島田会長代理)
公立と民間の一番の差は、公立は安定しており標準的な質だが、民間は経済的に存続しなければ撤退するが、その分客のためにきめ細かく対応し、コスト削減の努力をする。その当たり、予算とインセンティブの問題を一度検討しないと、統合性が無くなる。
(岩男委員)
保育サービスの情報開示までは今までも言っているが、これまでの提言に欠けていた点、つまり義務付けることを強調すべき。 潜在的な待機児童の解消については、少子化による労働力不足が見えているので、いつでも子供を預けて仕事に行けるような状況を作ることと、潜在的就業者でもある専業主婦でも預けられるようにすることが大事。 両立支援をしている企業の優遇については、法人税の減免措置まで書いて欲しい。
(櫻井委員)
企業の優遇については、税の減免について明確に書いた方がよい。 根元対策として、男女共同参画の教育を進めていくことが大事。 既に実行されている両立支援策の宣伝、浸透を図る必要がある。
(島田(祐)委員)
意識を高めるだけでなく、実際に行動が起こらないと変化は感じられない。 働き方よりも保育を前に出すべき。多様な保育があれば、専業主婦でもいつでも働きに出られる。 我々のような勤務時間が9時5時で決められない職業では、泊まり保育など様々なサービスが必要だが、基準も情報もない。事後チェック型で情報公開が進み、安心して預けられる施設がたくさんできるとよい。
(河野委員)
企業は、両立している社員は21世紀を支える人材を育てている親でもあるとの発想に立つべき。また、あくまで自立した個人の問題であり、そこに行政や企業のサポートがあるとの発想が必要。 小さいことだが、管理職研修に両立支援や男女共同参画の項目を入れればいいのでは。 両立は親の生き方の問題であり、ライフプランやキャリアプランを指導、相談できる人が必要。組合などでも取組が始まっており、少しでも触れられれば自己努力をする所も出てくる。
(島田会長代理)
「民間の活用と質の確保」として大きく一つ項目を作ってはどうか。その中に、公設民営や駅型の推進、事後チェックによる質の確保、必要な補助金の交付を入れればよい。
(佐々木委員)
保育所を株式会社が経営する場合、企業に政府が補助金を出すのは問題。それよりも、個人が公営以外を選ばざるを得なくなった場合に個人に対して経費が還元される仕組みを作った方がよい。 「駅型保育」という言葉には、園庭もない保育所というイメージがある。
(樋口会長)
駅型にはサテライトも含めて考えているが、まだ中間報告でもあるし、今後検討でもいいと思う。 個人的には、職場が変わらなければ両立はできないと思っている。 今までは母親が子供を育てることを前提とした育児論、教育論だったが、共働きも増え、逆に主婦の密室化も言われる今、共働きも専業主婦もどちらも安心できる育児学、家庭教育学を一つの体系として立ち上げるべきだと思う。

○事務局から、第2回専門調査会の議事録(案)が提示され、了承された。

○事務局から、次回の専門調査会について、3月26日(月)15時から、内閣府3階特別会議室で開催する予定である旨説明があった。

(以上)