仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会

  1. 日時: 平成13年3月26日(月) 15:00 ~17:35
  2. 場所: 内閣府3階特別会議室
  3. 出席者
    樋口会長、島田会長代理、猪口委員、岩男委員、河野委員、櫻井委員、佐々木委員、島田(祐)委員、田尻委員、福武委員
  4. 議事
  5. 議事内容
    樋口局長
    それでは定刻になりましたので、男女共同参画会議、仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会の第4回会合を開催させていただきます。本当に皆様、お忙しいところを御参加いただいてありがとうございます。
     まだこれからいらっしゃる方もあると思いますけれども、今日はたしか御欠席は八代先生だけで、非常にいい出席率でございます。今日は、前回に引き続きましていよいよ中間報告を最終的にまとめたいと思いますので、活発な御議論をいただきたいと思います。
     それでは議事に入りますけれども、まず前回の資料及び議論も踏まえて事務局から報告の案を提示してもらっておりますので、前回からの変更点も含めまして事務局の方から御説明いただきたいと思います。
    坂東局長
    それでは、お手元に資料1となっております「仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会 検討状況報告(案)」を見ていただければと思います。前回提示いたしました資料を若干修正いたしまして、報告のイメージとしてまとめさせていただきました。
     目次をご覧ください。報告案の構成といたしましては「1.はじめに」「2.専門調査会の開催状況」「3.これまでの専門調査会における議論」「4.論点整理」とし、4は提言の柱立てとして、前回樋口会長私案という形で御討議いただいたようなものを考えております。
     更に参考資料として516通の意見募集結果を付ける形を考えております。
     1ページ目の「はじめに」では、当専門調査会の設置の経緯、検討経過ということで、まだこれはあくまで中間的な経過であって、今後も検討を進めて最終報告を取りまとめるということを言っております。
     次のページは「専門調査会の開催状況」で、調査会の日程等でございます。
     次のページは「これまでの専門調査会における議論」ということで、今まで先生方に御意見いただいたものをグループ分けしたということで、前回出しました資料に前回の皆様のご意見を追加した形になっております。これについては、幾つか事実誤認等で訂正を検討している部分もありますので、それについては後で少し調整をさせていただければと思います。
     それから、最後に10ページ目、これが前回会長私案で出していただきました柱立てでございます。この中身については今日更に御討議いただいて、4月3日までには一つの柱の下に3つ程度、できるだけ数が少ない方がいいと思いますけれども、それぞれ施策が入っていくという形になるだろうと思います。
     まずこの「呼びかけ」ですが、これは先生方の方から特に基本的な考え方としていろいろ御意見をいただいておりますけれども、世界の子どもたち、女性の子どもたち、特に両立という視点から子育てのことを考えるにはどうすればいいのかとか、あるいは企業経営者の方ですとか、男性たちにも呼びかけて、21世紀の子育てというのは男性も女性も仕事と子育てをやれるという社会をつくることではないかというようなことを是非美しい感動的な言葉で書いていただければと期待をしております。
     その後は、さっきも申しましたようなできるだけ簡潔に短く提案をする。それで、4月3日の報告の後、現在どういうような施策とリンクするという解説的なものを第2部として付け得るのではないかと思っております。
     以上が、経過報告のイメージでございます。
    樋口会長
    ありがとうございました。論点整理に柱立てのイメージというのがございまして、ここには柱しかないわけですが、この前の私案に島田会長代理からもまた御意見をちょうだいいたしまして相談しながら作成しました中身を今お配りいたしますので、これを基に今日は活発な御議論をちょうだいいたしたいと思います。 まず、論点整理の説明を申し上げた方がいいと思います。前と変わりましたことも若干ございます。それから私としてもお願いしたいということ、皆様方からいただいた御意見を基に、この間、八代委員からも、もっと職場の問題をとおっしゃっていただいて大いに力を得まして、まず並び順を変えました。かつ、柱はやはり少ない方が、5つぐらいがいいだろうということで、1が「職場が変われば両立できる」、2が「待機児童ゼロ作戦」、3が「多様で良質な保育サービスを」、4が「必要な地域すべてに学童保育を」、5が「地域こぞって子育てを」と、この5つの柱にまとめてみました。1の「職場が変われば両立できる」と「待機児童ゼロ作戦」と続いて、あとはみんな「~を」という言葉でまとめてございます。前回の皆様方の御意見を受けまして、そして島田会長代理からは成文をいろいろちょうだいいたしまして仮にまとめたものでございます。 「職場が変われば両立できる」というのは、今のような男性中心の硬直した雇用形態の中ではこの両立支援が非常にできにくい、だからここをもっと積極的にする。そして、経営者や幹部の両立支援の理解を深めるための研修を積極的に行う。私は研修を必置するぐらいに思っているんですけれども、なかなか必置するためにはどこの法律をどうしていいかということもございます。また、皆様方から御意見をいただきまして、出産休暇の十分な活用を求め、特に男性の出産休暇を制度化したらどうだろうか。それから、企業の両立指標を男女共同参画局で開発していただいて、それを公表し、優良企業については厚生労働大臣の推薦も受けて内閣総理大臣が表彰する。この3つぐらいにまとめさせていただきました。 「待機児童ゼロ作戦」はまた皆様方の御意見を基に待機児童について潜在的、顕在的、いずれにせよゼロを目指しまして、そして待機児童の多い地域に保育施設を整備・拡充すると同時に、多様な、これはこの次の方に重点を置いているんですけれども、待機児童をゼロにするために各種モデル事業に際しても財政措置を講じる。 2番目に公設民営型の保育所、それから島田会長代理がこの前おっしゃってくださった、要するに民民規制をなくしていくためのものでございますが、自治体の適当な基準を満たした施設の設置を迅速化するための措置を講じるという言葉でまとめさせていただきました。 それから、学校の空き教室などを利用して公共施設を保育のために弾力的に活用したり、駅など便利な拠点を活用する。サテライトまではちょっと書き込まなかったのですけれども、皆様方から御意見があったことでございます。 また、これは島田会長代理からの御提言でもございましたので、待機児童の中身について実態や親のニーズの継続的な把握の調査を行う。 3番目が「多様で良質な保育サービスを」ということで、ここの目玉は病児保育でございます。現実的には少子化対策とかエンゼルプランなどで病児保育というのは既にかなり出されているのですけれども、それをもっと具体化して使い勝手のよいサービスにしていく。そして、よい事例について情報ネットワークなどを通じて広く紹介し、かつ今度は利用者が保育内容を十分把握できるように、経営主体等について項目のモデルをつくりまして、地域の育児に関する情報や、保育施設ごとの情報を、インターネットでも、あるいはどこかセンターに行きましてでもとれるように、情報提供をするということです。
     4番目が、ここも目玉の一つですが、これは猪口委員を始めいろいろな方から御提言がございましたけれども、「必要な地域すべてに学童保育を」です。これは学校でも児童館でもよろしいと思うんですが、学童の終了時間が非常に早くて学校に行った途端に困るという御両親の声もございますので、少なくとも保育所と同等レベルの保育時間を確保しつつ、ニーズに応じた適切な学童保育を推進する。それで、この学童保育につきましては公的な責任の下に老人クラブとか定年後の男性とか、特に例示はいたしませんでしたけれども、抱負な経験を持った地域のさまざまな人材を活用するということの中に込めさせていただきました。
     そして、ここら辺は御異論のある方もあるかもしれませんけれども、必ずしも就労していない人でも学童保育を別なルートを設けて利用できるようにした方が地域づくりという意味ではいいのではないだろうかということです。
     5番目は多少総まとめになりますが「地域こぞって子育てを」というので、厚生労働省のファミリーサポートセンター、これはできたときは余り動かなかったのですけれども、本当にここ1、2年大変活発に動くようになりまして、やはり両立支援に対するニーズがあるからだと思います。本当はベビーシッターの紹介や保育ママの支援とか、そういう方への研修とか、保育の質を確保するためのことを盛り込んでもいいのかもしれません。それから文部科学省さんの方でもいろいろやっていらっしゃるようですけれども、若い人々が子育て支援を体験できるような機会をつくる。そして、日本全体で保育所など、子育てがビルトインされたまちづくりを行っていく。そのためには、これは現実のまちづくりでもいいし、理想のプランでもよろしいのですけれども、子育ての両立支援をビルトインしたまちづくりのコンペなどをやってみるのも象徴的な意味があるのではないかということを入れてまとめたわけでございます。
     そういうことで御説明申し上げたのですが、今日はもう一つ御報告がございます。福武委員から資料を配布したいという御希望がございました。これは非常に系統立ったすばらしい資料で、もうちょっと早く出してくだされば、これをたたき台にして議論も深められたのではないかと思うくらいのものです。10分ほどで御説明をいただけますでしょうか。
    福武委員
    それでは、お時間をいただきます。もう中間まとめということなので今の樋口会長のお話のようにもう少し早くと思ったのですけれども、簡単にご説明します。
     それでは、お手元の資料ですが、「働く親が子育てと仕事の両立」とあえて書いたんですが、やはり子どもが中心になるべきだということです。
     それから次の2ページ目ですが、3点ぐらいの話があったと思います。男性中心、労働の問題、雇用の問題。それから、今日は子育て支援における制度施設のインフラの問題をちょっとお話ししたいと思います。ここには量の問題と質の問題と、その利用者の負担の問題がある。特に量の問題はいろいろな新規の参入を是非促進すべきではないだろうか。このことが待機児童の解消にもなるし、また学童保育とか、あるいは遊び場事業等を含むものについても多様な参入を促進する。多様な参入というのは御案内のように、実際の主体はパブリックセクターである公と、民間と言われている社会福祉法人で、現実には民間企業は今、概念としては入っていないんです。それから更にNPOも民間の概念としてはまだ入っていないんです。そういった面で、民間企業とかNPOとか、そういう主体の参画も是非考えていただきたい。質の問題はいろいろな課題がありますので後ほどまた説明します。
     それから、利用者の負担については、利用者の公平性を確保する。御案内のように認可の中でも社会福祉法人あるいはパブリックセクターと、施設設備費を負担する民間企業で利用料金が非常に違うという問題があります。そういった不公平をなくすということも是非考えておくべきだし、公共施設においてもバリアフリーとユニバーサルデザインを取り入れるべきです。それからもう一つは、負担の軽減策において税制控除も何か考える必要があるのではないかということです。
     次の3ページは量的、質的コストの問題で考えまして、現象面も一応出してみました。それで、具体的な施策として一般の企業とかNPOによる経営の導入を書いています。それから、2番目の具体的施策では多様な保育サービスの必要性の中から、民間についてもありますが、自治体の統一基準よりももう少しいろいろ緩和策があってもいいということを書いています。これは国主導から自治体主導へもっと大胆に転換すべきで、そのことによって地域特性に合致した保育をするべきです。特に待機児童の問題は東京中心とか大都会中心というお話が冒頭にあったと思うんですけれども、しかし子育てと仕事の問題は地方には地方独特の考え方もある。やはり地方自治というものをもっと主体にすべきだということです。
     それから、コストの問題では経費の下方硬直性ということを書いていますが、効率よく運営するというのはなかなかパブリックセクター中心にはできにくいので、今回のこの中間まとめの中にもありますが、公設民営の推進を是非してもらいたい。それで、認可園が約2万2千あるのですが、その6割の1万3千が公設公営で、昨年規制緩和をされたのですが、現実的には株式会社が3つ、宗教法人の認可が1つということです。2万2千うち4つしか認可されていない。これは、言葉はあっても予算的な措置もほとんどないというのが現実なのです。そういった面で、プロポーザル方式も含めたやり方が必要です。それから、利用者の負担も考えていただきたい。これはまた次に申し上げます。
     次の4ページですが、本当に国が子育て支援あるいは仕事と子育ての両立支援を自由な施策として取り上げるとすれば、予算的な裏付けが是非必要です。予算についての考え方は従来は保育のコストの総額で、それがほぼ認可園の運営費に等しいような感じであるわけです。保育コストの総額は認可園の運営費の補助と自治体の独自の補助制度とし、その配分については従来は公営と社会福祉法人のみだったものを民間企業やNPOなどにも配分するという、この考え方がまだきちんと整理できていないのではないか。ここの予算的な問題を整理し、最終的に予算の配分をきっちりしないと多分難しい。ですから、この辺りの考えを来年度の予算の中に私は入れてもらいたいと思ったわけです。
     4ページの公設民営のところは何度も申し上げました。ここでは解決法として、三鷹でもありましたように公設園の運営のみを民間に委託するとか、公の土地・建物を民間へ無償貸与するとか、経営をゆだねるとか、いろいろな方法があると思います。そういったものを是非積極的にやっていただきたい。
     それから、特別事業に関しては民間の下で積極的に推進してもらいたいということです。7ページをご覧ください。これは前もお話があったと思うんですが、設置主体別に見ますと、こういう延長保育とかゼロ歳児の保育事業とか一時預かりの事業の実施率というのは、公営はこんなに低いという実態がある。こういったものを民間企業とかNPOにどんどんゆだねないといけない。こういった特別事業については、私は今からパブリックセクターの方々に意識を変えろというのは無理だと思います。こういったものこそもっと実施されないとだめであり、そこをもっと我々営利企業やNPOにも任せていただきたい。
     それから元に戻っていただいて5ページの3番、これは自治体独自の保育制度の導入というものを是非認めて、さらに国としても誘導すべきではないかということです。東京都の認証制度のように、園と利用者が直接契約し、コストの負担は自治体と利用者の折半を基本としているとか、あるいは横浜市の制度のように、直接契約で月額の基本料金を負担し、保育料は上限までの範囲で園が自由に設定できて、自治体の補助金が民間企業であっても同じように出ているなど、こういったものを是非国としても積極的に誘導していただきたい。冒頭申し上げましたように、保育や介護といった部分は、地域が主体を持つべきではないかということです。
     6ページはこれからの方向、流れを書かせていただいたわけですが、こういう流れになればいいと思っています。
     それからもう一つ、8ページをご覧いただきたいと思います。8ページはいわゆる民間企業の認可保育園への参入を阻害している要因として、社会福祉法人の場合は施設整備費が4分の3出るのに営利企業やNPOはゼロであるとか、税制も非課税と課税の差があるなど、こういう現実的な差があるということも是非御認識をいただきたいということです。
     最後に申し上げたいのは、従来、教育も福祉もそうですが、公共サービスとして、国による措置とか配給、あるいは公益法人というものが中心になってやっていたものですが、これからの時代は量の確保や質の確保、費用の効率性、また利用者の意識を上げるためにも利用者の選択性というものをもっと私は進めていくべきだと思います。また従来、いってみれば生活密着型の事業は公共サービスがやっていた。そこを、規制緩和ではありませんけれども、もっといろいろな主体が参入することによって新しい産業が生まれ、国の活力を生じると同時に、この福祉の分野というのは雇用吸収力が非常にある分野ですから、そういった観点も是非私は今回の中にも基本的な流れの中で入れていただいたらありがたいなと思いました。
     それから、私どもで昨年、子育てのスタイルは子どもの発達にどう影響するのかというシンポジウムがありまして、NICHDというアメリカの人口発達研究所辺りの専門家も来られましたが、大変面白いレポートがありましたので、うちの従業員全部に読ませようと思っているのです。いかに家庭というのが子育てにとって大事か、しかしだからといって専業主婦の方で子育てをしている人と両立をされている方と全く子育てに関しては差がないというのですね。かえって仕事を持っている方の方が子どもにとってはいいのだというデータが出ているのです。そういったことをデータ的にも見ていただいて、積極的に子育てと仕事の両立というものを本当に自信を持って進めたらいいというレポートです。そういったものも参考にしていただきたいと思いました。以上です。
    樋口会長
    どうもありがとうございました。いろいろな御提言の中には既にこの中に盛り込まれているものもございますし、あるいはまだ賛否両論のあるものもあるかと思いますけれども、最後におっしゃいました両立している方がむしろ子どもにとってもよい子育てになり得るのだという可能性の方は、やはり子どもの幸せを何よりも中心に考えていくという視点からの両立の良さというものを、これまた専業主婦がだめだというわけではないですけれども、未来思考としてとても大事なことだと言わせていただいていいのではないかと思いながら伺っておりました。
    福武委員
    特に女性の意識のバランスがとれているというのがありました。是非御参考にしてください。
    樋口会長
    最近、児童虐待の問題とか、その他からも子どもの幸せを中心に考えて両立の支援策を進めなければいけない。何よりも子どもがちゃんと育ってくれなければ困りますから、それはとても大事なことではないかと思いました。 今日は福武委員のレポートについても御議論がいろいろあるだろうとは思うんですけれども、それは5月の末までにいろいろと参考にさせていただきたいと思います。今日は本当に4月3日に御報告いたします中間報告を検討する最後のチャンスでございますので、先ほど私から御説明申し上げましたこの5つの柱について、時間までと言ってもいいぐらいだと思うんですけれども、存分に御議論いただきたい。もう一つ是非この機会に本当に皆さんの御意見を伺っておきたいと思うのは、余りにも前提であり過ぎるので飛ばしてきてしまったんですけれども、1つはやはり子どもの幸せということ、これは今、言ったような論点でよろしいと思うんですが、ある種今までの政策批判になるから言いにくい面もあるんですけれども、一生懸命みんなやってきたわけです。少子化対策から両立支援から、今度法律も出されるようでございます。にもかかわらず、森総理がアメリカの国連日本人職員から聞いてショックを感じられたというぐらいに、日本で両立しにくいのはなぜか。何もやらなかったならばともかく、均等法もできた、育児休業法もできた、法律だけでは足りなくて、エンゼルプランなどもたくさんできたのに、それが功を奏していないのはなぜか。それを皆様はどう分析していらっしゃるかも最後の方で少し伺いたいと思うのです。
     では、ここは気になるとか、ここはこの方がとか、これはこの前から積極的に言っているのに消えたのはなぜかとか、とりあえず気が付かれたところからどなたからでも結構でございますのでお願いいたします。議論になったもので完全に消してしまったものはないと思います。例えば、岩男委員の、ある時間がきたらその施設そのままに民間委譲という御意見ですが、過激とおっしゃったけれども私はすごくよいアイデアだと思うのです。ただ、その表現の方法として、例えば「多様で良質な保育サービスを」という一番上に公立保育所の就業時間後の民間による補足サービス、そういう具合にそれぞれ御説明申し上げられるように、しかし余り刺激的でなく入れてあるという具合に、皆様の強力に御主張なさったことで大多数の御賛同を得たなと思われるものは何らかの形で書いているだろうとは思うのですけれども、よろしくお願いします。
    福武委員
    先ほどの私の話にも結び付くのですが、2番目の「待機児童ゼロ作戦」、これは基本的には受け皿とか量の問題を言っているわけですね。それで、以下、民間という言葉が出てくるのですが、公設民営の民営という概念を是非この際、定義をしてほしい。社会福祉法人もそうだし、民間営利企業もそうだし、NPO法案も通ったわけですから、NPOなどもどんどん民間として参加する。そこを是非何か入れていただきたいと思いました。
     それから、地方自治体の主導が何か図れないのかと思いました。やはり国の基準、言ってみれば国は金を出すけれども口も出すというのが今までの流れで、それが措置のような考え方に結び付いているわけですね。そこを地方自治体主導の方向で、もう少し何とかならないかと思います。
    樋口会長
    2番目が量の問題とすれば3番目が質の問題でございまして、ここの各自治体の創意工夫という辺りで入れ込んだつもりですけれども、もうちょっと積極的にということですね。地方分権の時代でもあるし、もともと保育は自治事務ですし。
    福武委員
    そのことが先ほどもちょっとお示ししました、国と自治体の保育に関する予算のトータルがどのような形で配分されるのかという議論に結び付かないと本当は実質的な形にならないのです。だから、その見直しということで、一応それは点検していただきたいと思ったのです。
    島田会長代理
    今の点で教えていただきたいのですけれども、福武委員の資料の4ページ目に保育コスト総額というのがありますが、国の保育という項目で掲げられている予算というのはたしか4,700億円ぐらいだったかと思うのです。地方自治体についてはこの前資料で説明いただいたものだと四千何百億円かになっていますけれども、実際には自治体は全部合わせると、それの3倍くらいのオーダーを使っている可能性があると言われていますね。これはいつかまた教えていただきたいという感じもあるのですが。
    坂東局長
    厚生労働省の方で今すぐにおわかりになりますか。
    厚生労働省
    今はわかりません。
    島田会長代理
    自治体の予算の本当の総額はどうなのかというのは簡単にわからないですよね。わからないというのはどういう理由ですか。
    厚生労働省
    国の補助とか、そういうものならばわかりますけれども、自治体の単独事業で、例えば保護者から保育料をどのぐらい免除するかというのはそれぞれかなり自治体ごとに違っていますので。
    島田会長代理
    そうですね。だから、例えば国の基準では8万円取っていいとなっているけれども、横浜の場合最高所得者は5万8千円、東京は5万5千円となっていて、実はその差額は自治体の予算でかぶっているのです。その辺がばらばらだということですね。今、福武委員がおっしゃっている自治体独自補助制度ということもあるし、いつか時間を少しかけていただいて、どういうことになっているのか説明していただきたい。
    厚生労働省
    認可保育所についての単独補助の話もあり、また、認可外の保育所についても自治体独自の補助があります。その辺りは全部単独事業で、例えば、都であれば都がやられること、それから都だけではなくて区でやられることなどあります。すべて調査すれば出てくるかもしれませんが、なかなかそれは難しいと思います。
    島田会長代理
    具体的な数字にして出すのも1つと思いますけれども、その前に今おっしゃったような、こういう考え方で図式化するとこうなっていますという説明はいつかやっていただけると助かりますね。精密な数字というのはわかりにくいでしょうけれども。
     それからもう一つ、福武委員の資料の5ページ目ですけれども、自治体独自制度に関連して、東京都の場合は園と利用者の直接契約であり、横浜の保育室もそうですが、幾つかの自治体でやっているところがあるけれども、自治体によってはそういうものを認めていないところもあるということですか。この直接契約というのは割に重要なポイントになるのですか。
    福武委員
    それは大変重要だと思います。ただ、今、収入によって利用料金が違うとかいろいろな制度がありますね。この辺はやはり基本的には直接契約にしていくというのが正しい流れだと思います。
    樋口会長
    今のお話に関連して、福武委員の資料の4ページのところの公設民営化推進という言葉の中でH市の例が出ていますが、これは総予算の10%超ですか。
    福武委員
    そうです。
    樋口会長
    そうすると、それは公的な法定の分担金だけではなくて、今のお話に出ていたあらゆるもので1割ということですね。
    福武委員
    これは、配分のことを言っているわけですね。それからあとは、さっきもちょっと島田会長代理からお話がありました、単に直接契約だけではない中間的なやり方がプロポーザル方式で、今の三鷹のようにいわゆる公の建物で、公が契約をした民間企業だけではなくて社会福祉法人とかNPOなどの民間が運営してそれをプロポーザルでやる。それで、もし質的にそれが悪ければ、オンブズマンなどにそこの運営主体を変えてもらうとか、そういうことによって質も担保できるのではないかということです。
    樋口会長
    ありがとうございました。それでは島田会長代理、できるだけトータルにわかるようなデータがございましたら出していただきましょう
    島田会長代理
    最初は図式化したもので考え方を説明してくれてもいいです。
     1つ教えていただきたいのは、福武委員の資料の図で、公設民営との関連で2万2千ある認可園の約6割が公設公営で、規制緩和後の新規参入の事業主体認可園は4つだと。それで、会社が3つで宗教法人1つというお話ですが、この事実の背景は昨年の4月でしたか、例のPFI法の中で経営主体に関する規制緩和が成されてということですか。
    厚生労働省
    PFI法ではなくて、私ども独自でやらせていただいている規制緩和です。
    島田会長代理
    そうですか。とにかく今まで民間と言っても大多数は福祉法人でしたから、そうでない宗教法人とか株式会社も入っていいというのを昨年の4月に規制緩和なさったわけですね。それで、1年弱の間に4つ出てきたということで、さっき福武委員のお話ですと2万何千の中で4つというのは初めとはいえ非常に少ないのではないかというニュアンスだったと思いますが。
    厚生労働省
    予定としては今かなりリストが挙がってきていますが、今日現在許可されたのを承知しているのは4か所だということです。
    島田会長代理
    これについて、例えば制度的には可能になったけれどもつくりにくいとか、そういう状況があるとするとどんな原因があり得るのですか。コストの問題ですか、それとも非コスト的な要因ですか。
    厚生労働省
    社会福祉法人ですと、例えば1つ目の保育所は自分の所有の不動産でなくてはならないというのはありますが、純粋民間ですとそれは賃貸でもいいとか、規制緩和は割と民間の方がよりできやすいようにはしています。ただ、ここにございますように民間の株式会社等に対しては補助金そのものはいきません。私どもとしてはつくりやすい条件整備については、できるだけ規制緩和はするようにしながら、できるものはやっていくという状況です。
    島田会長代理
    福武委員の資料の中で税金が社会福祉法人の場合はゼロということで10種類ぐらい税金が書いてあって、私も政府税調の委員ですが、こんなにあったかなと思うぐらい違いがありますね。そこは相当な違いになるのでしょうけれども、ユーザーから見れば、民間であっても公的であってもそういうサービスに対して、例えば5万円台とか、ユーザーが払える程度の使用料を期待したいところですね。そうすると、コスト構造からいくと税の問題1つ取っても今の施設をどう活用できるかというような問題をとっても非常に大きな差があるということですね。要するに、ある種の公的な支援がないと民間とはいえどもユーザーから見て安くて良質なサービスを享受できるようにはなかなかならないということがありそうですね。
    厚生労働省
    先生はあくまで、認可保育所の世界の話をされているのでしょうか。
    島田会長代理
    認可という大きな範囲の中で普通の企業と社会福祉法人の違いを言っています。この8ページ目の図ですけれども。
    厚生労働省
    企業が提供する認可保育サービスのことをおっしゃっているのだろうと思います。そうでありますと、同一市町村の中ではユーザーに関しては同じ料金の中での御提供をされるというお話の中で、競争条件としては税制の話とか補助金の話は違うのではないかと思います。
    島田会長代理
    そういうことです。だから、なぜ4か所しか出てこないのかなと考えるときに、多分経済的に成立しないではないかという、そんな印象を持つものですから。福武委員はどうお考えですか。
    福武委員
    施設整備に関するコストが一番で、民間の場合は先ほどもお話があったように負担をしていかねばならない。それは最終的には利用者への負担になってしまう。そのことによって補助金のある認可型の園と、それから認可型であっても補助金のないものとで当然保育料の差が出てくる。そこが一番問題ですね。
    島田会長代理
    そうです。だから、民間の場合は認可の保育料の枠を定めますと経済的に可能領域から外れます。それでいいのか、それとも民間主体に経営させ、認可の料金枠内で提供できるような支援をすべきなのかというのは、本当は国家の政策としてどうすべきか本格的な議論をした方がいいのです。
    樋口会長
    いわゆる民間企業に国家の補助をすべきかどうかというのは非常に大問題ですよね。
    猪口委員
    別の話題で申し訳ないですが、まず第1にここでの議論で、まずは公立の保育園の拡充が大事という議論があったと思いますので、やはりそういう書きぶりにしていただきたいと思います。私たちの基本的なスタンスとして子どもを中心に考えるということがありますので、公立の保育園の水準が子どもの観点から見たときに著しくまずいというような報告が相次いだのであれば、これは考え直さなければいけないのですけれども、この場で出た意見というのは世界一いいという意見だったと思いますので、質がそのようにいいのであれば公立の保育園についてやはり国家のプライオリティとして予算をきちんと講じ、拡充していくというのがまずはきちんと書かれていなければならないと思います。しかしもちろん既に規制緩和されているわけですから、補完的にその他の方法についてもやっていくという方向で展開していくのではないでしょうか。公設民営の普及促進をどんどんやるということだけであると、政府はほとんど撤退して丸投げするという感じのメッセージを男女共同参画会議として発信することになり、非常に適切ではないという感じがいたします。
     つまり、万策尽きてそうなるのではなく、これからまだ政府としてやることがたくさんあるときに、この福祉の分野において収益性を確保するという観点をバランスの問題としてどこまで 入れるかということだと思いますが、規制緩和、競争激化、行政改革も含めて、そういう文脈の中だけで議論してよいことと、福祉の分野としてきちんと議論を整理しなければならないところがあると思います。もちろん福武委員のおっしゃることは全部わかりますし、非常に貴重な観点だと思います。しかし、書き方のバランスとして、公立保育園の拡充について自治体がレーバーインテンシブだし、ノウハウがなかったり、コストなど今まで考えたこともなかったということで面倒だから丸投げしろという発想になっていくと、ノウハウが政府の中そのもので育っていかないという危険性を感じます。
     地方政府としてやるのは建物を建てるというミニ公共事業をやるということだけになって、実際にどう運営したら子どもの福祉というのは実現できるのかという、その根本ノウハウが今後21世紀にわたって蓄積していかないようなことになるととても心配であるということです。ですから、新しい方向性についてもいろいろと書き込んでくださって結構ですが、そういうところだけに華やかな感じで焦点がいかないように、やはり地味ではあるかもしれないけれども従来の公立保育園中心の児童福祉の在り方を根本にきちんと位置付けなければ、会議としてこの時代の期待と、多くの女性の安心感に応えることができないだろうと思います。副大臣もいらしてくださいますので、是非お願い申し上げたいと私は思います。
     2番目に、まずこの全体はとても面白い構成にしていただいて、従来の書きぶりと大分違って非常に注目も浴びると思いますし、樋口先生にお礼申し上げますが、ちょっと気になりましたのは総理大臣表彰というのが2回出てくるんですね。私たちが考えなければならないのはある種のローラー作戦のようなことでオリンピック方式じゃないと思うんです。どこかいいところが出てきて、よくやったと褒めるが、99.9%の人々は苦しんでいるということではだめなのです。むしろ一番最初に申し上げたように、今、すべての人が大丈夫になるような作戦をやることがこの段階では大事なんです。抜きん出ていいところに喝采を送るというのは過去の課題だったと思います。今では抜きん出ていいところもたくさんありますし、もちろん表彰してもいいんだけれども、同時に指標化をして、すべての主体、すべての自治体に達成目標を立てさせる。そして、達成度をしつこくチェックして押していくというローラー作戦方式を同時にやらないと、国民はこれを受け取ったときに、それは一部の優良企業とか、一部の優良自治体とかが喝采を浴びて大臣賞をもらうのか。結構なことだけれども、自分のことではない、自分の子どもが救われるということにもならないし、自分が楽になるということにもならないと思うのです。いい政策はたくさんあったんだけれども、自分にはとりあえずは何の恩恵もこない。一部の本当に優れた人たちが優れたことをやっているけれども、一般の人には直接関係がなかったかなということで少子化が止まらないんだと思います。つまり、産むのは一般の普通の人たちなので、総理大臣賞ばかりがきらびやかに出てくると、やはりこれもまたそういう感じかと思われるといけませんので、併せて指標化と達成度のチェックと、すべての自治体が漏れることがないというやり方を同時に入れていただきたいということです。
     それから学童保育について、学校に設置するのであれば小学校の高学年まで延ばしていただきたいということです。低学年は危ないのでここに入れておくのがいいとなっていますが、高学年というのは受け皿がないことで非常にいろいろな問題の最初の面が出てくる年齢ですので、延ばしていただきたいということです。
     あとはパパの産休は非常にいいのですが、同時にそこまではちょっと難しかったのであればよろしいのですけれども、育児休業をあと1か月延長してどちらかの性に独占してはいけないという改善を行うということはいかがだったのかなということです。
    樋口会長
    ありがとうございました。公立中心かどうかというのは100%まだここで議論が出ていないと思うのです。だから御異論のある方もあるだろうし、いろいろおっしゃっていただいてみんなごもっともと思うんです。確かに総理大臣表彰が2か所も出てくるのはどうかと思うけれども、表彰は私は要するに国家を挙げてやっているという一つの象徴性としてあっていいと思うし、それからおっしゃるとおりオリンピック形式かローラー形式かというのは、私はどちらもあっていいと思うんです。
    猪口委員
    そうですね。だから、両方書いてくれればいいです。
    樋口会長
    それで、おっしゃるとおり指標化と達成目標、これは絶対入れたいと思っております。おっしゃっていただいてありがとうございました。それでは、岩男委員どうぞ。
    岩男委員
    今、猪口委員が言われたことともつながるのですけれども、まず原点に立ち返るといいますか、この専門調査会は男女共同参画会議の下に設置されていて、参画会議にはほかにもいろいろとこれから専門調査会が立ち上がっていくわけです。ですから、ここでやったことがほかの専門調査会にちゃんとキャッチしてもらえて発展的につなげていくような形にするということをひとつ考えないといけないと思うのです。
     そういうことで、私は猪口委員と全く同じことを考えていたんですけれども、この中で数値目標を明らかにできるものはどれかという目で私たちはもう一遍これを見直して、どういう形の数値目標を立てるかについて考える必要があると思います。それによって今後、他の専門調査会で男女共同参画という視点からどの程度これがうまく進んだかということを評価の作業をしてくれると思うんです。そういううまくほかの調査会につながるということを視野に入れてこの中身を考えるというのは一つ忘れてはならないことではないかと思います。
     それからもう一点は、学童保育について、4のところの最初の丸で「学校・児童館等に学童自習室を整備できるようにし」となっています。整備はまず第一歩として必要なんですけれども、最初に私が病児保育のことを申し上げたのも、インフルエンザによる学級閉鎖のように、親が予定していないようなことが起こるということで、それにうまく対応するような仕組みがないと困るということなのです。
     そこで、ここまではちょっと短い中で言えないよとおっしゃれば取り下げますが、「整備し」の後に、学級終了に連動するようにするとか、学校がない、休みの期間というのも同じとなんですけれども、それに連動して運営してもらえる、そんなことを入れていただけるとよいと思います。
    樋口会長
    いろいろ御指摘いただきましてありがとうございました。指標化し、達成目標を書き、それから言ってみればこれからの評価ということにつなげるというようなことは是非お願いしたいと思っております。
    島田会長代理
    その指標化と達成目標との関係で「待機児童ゼロ作戦」のところですが、達成目標を掲げるには分母を把握しなければいけませんね。その分母をどう把握したらいいかという議論なのですけれども、今、全国で登録しているのは3万3千人というようなことになっていますね。ところが、この前の議論で潜在的な待機児童が重要だということになって、これは事務局の皆さんの覚悟を聞きたい感じもあるのです。
     というのは、その3万3千人というのは氷山の一角だというのは皆さんも知っているわけですね。それでは、どうやってその氷山の水面下を調べるかということですけれども、八代委員がこの前言われたのは、それは無認可保育の数を調べればわかるので、厚生労働省はその数は承知しているはずだという話でした。けれども、それもまた一部だという気が私はするんです。また、無認可保育所というのはどういう範囲でとらえるのかですけれども、保育ママさんもいらっしゃることだし、いろいろあるんだと思うんです。皆さん苦労してやっている。その辺のところをどうつかまえるかですね。
    樋口会長
    確かに2番の4の中には入れてあるんですけれども、その辺に関してはいろいろな労働調査もあります。
    島田会長代理
    ちょっと事務局の覚悟を聞きたいんです。
    坂東局長
    一般的に今、使われている計算式がありまして、それぞれ例えば労働力特別調査など既存の調査で調べられるそうです。
    島田会長代理
    そうすると、何人になりますか。
    樋口会長
    約300万人と聞いています。
    島田会長代理
    このゼロ作戦として、3万3千人というのは過少としても、その300万人はちょっと過大評価になるんじゃないか。3万3千人の登録待機児童と多分これはマキシマムである300万人という数字があるときに、今回の覚悟としてどのぐらいやる気があるのかという分母を、確定というか、確定できないにしても考え方を決める必要があります。
    樋口会長
    ただ、3万人と300万人で2桁の差があるわけですね。その中でこの300万人の方はこういう条件があれば働きたい、いい仕事があれば働きたい、それから夫、家族が協力すれば働きたいという方で、いろいろな条件を満たしたときに、今のM字型は他の諸国と同じように台形になっていくわけですね。だから、国家としての達成目標といったら私は300万人ではないかと思うのです。
     だけど保育需要に対して、これは介護だってそうだと思うのですけれども、サービスが提供されればそこへ条件をクリアして需要がまた喚起されるということがあるので、本当は「待機児童ゼロ作戦」というのはある意味では達成目標できないんです。常に保育所で保育サービスが提供されれば今度はまた出てくるということで。
    島田会長代理
    できないとは言えなくて、最大限はやはり300万人だと思いますよ。
    樋口会長
    あえて目標というのは300万人で、あとは中期的、長期的、それこそ時限的に目標は出してもいいと思うんですけれども。
    島田会長代理
    もう少し現実的な目標があり得ると思うんです。例えば、失業率の測定についても先進国には階層化させて複数の指標で測っている国があります。ですから、3万3千人というのは一番少ない待機児童推計で、その次は八代委員が言われたように無認可の保育所ですが、これは厚生労働省は数は知っていますか。
    厚生労働省
    20万人です。
    島田会長代理
    無認可ですか。
    厚生労働省
    いわゆる無認可保育所と、それから事業所内保育所です。
    島田会長代理
    保育ママさんも入っていますか。
    厚生労働省
    形態により入っています。
    島田会長代理
    そうしますと、一番小さいのが3万3千人で、次が20万人で、そのほかに数万人の余地が多分あるんだろうと思います。例えば、30万人とか40万人ぐらいまでのオーダーは、かなり現実的な指標ですよ。その4種類ぐらいの指標を掲げて、300万人は理想ですけれども、余りに議論のための議論という感じがするので、やはり分母50万人かそこらはローラー作戦で実現する、それだけのものは整えるということがひとつ掲げられるのではないでしょうか。
     そうすると、計算してもらいたいんだけれども、猪口委員がおっしゃるように私はやはり基本は公立だとは思いますが、どのぐらいの費用になるかという話を次にやらなければいけないですね。その費用は、長期ですから私は国家戦略として最大限重視すべきだと思います。それで、そのときどのぐらいになるんだという議論を、重要な議論だから国会でしっかりやっていただきたい。そういうところにきますから、やはり私は50万人、30万人、20万人、3万3千人ですか、幾つかの指標をつくるというのを提案したいですね。いくつかの定義で測ると別々の数になるということを示すわけです。
    樋口会長
    だから、例えば介護のゴールドプランのときには特別養護老人ホームのベッドをある数から何万床に増やす。それから、ヘルパーさんを最初は2万人から始まったのをヘルパー10万人作戦という形でやりましたね。それで別に需給が満たされるわけではないけれども、1つの指標となってそれこそ覚悟、覚悟とおっしゃっていますが、公立でもしこれをやるとするならばこれだけの予算を出してやってくれませんかと、そういうことの少なくとも計算ぐらいはしてもらってもいいですね。
    島田会長代理
    私は、必ずすべきだと思います。せっかくこの専門調査会があるんですから。
    猪口委員
    今のことですが、幾つかの指標にしてしまうとイメージが分散してしまうことがあると思うのです。それから、例えば今、3万人と出ているんですが、1,2年で3万人をゼロにできたら相当この専門調査会でやった意味があるということなんです。今までできなかったんだから、それだけ達成できたらすごい成果なので、1、2年で今、報告されている一番ミニマムの3万3千人をゼロにする。それに加えて、次はあと2年かけて5万人、5年かけたらこのぐらいいくというぐらいのアップテンポな予算を組んでもらいたいと思うんです。そうなれば私たちが逆に総理大臣を表彰して差し上げる。それだけの予算についてリーダーシップを発揮してくれたら表彰して差し上げるというくらいの気持ちです。
    島田会長代理
    やはり両面だと思いますよ。時間軸と、やはり複数指標はあった方がいいですよ。というのは、3万3千人というのは今、登録している人なんです。それで、私もある例を最近幾つか聞いているんだけれども、4人空きがあるところへ30人登録していてもうあきらめたと話しているお母さんたちが何人かいるんですが、複数指標を政府がとるんだということになれば、本当ならば入りたいのだけれどもと本気で登録するでしょう。だから、やはり指標は幾つかあった方がいい。それの時間軸と、それを踏まえて予算というのは真剣に議論してもらいたいと思います。
    佐々木委員
    その時間軸はできれば1年、2年と毎年にしていただきたい。何度も言うようですけれども、今預けられない人に5年後の目標を言われても、私のためではないと思われてしまう。くどいようですが、例えば「来年は希望者全員が入園できます」と言っていただければ、来年の4月に向けてみんな就職活動もがんばると思います。
    島田会長代理
    おっしゃるように、そういう目の前の目標を出し、そういう社会だったら子どもをつくる計画をしながら仕事をしようかしらと、3年、5年で計画を考える人も出てくるわけです。
    佐々木委員
    例えば、2年後は絶対に全員を受け入れますと言われれば、今から妊娠しようという人も出てくるでしょうし。
    樋口委員
    もちろんこの調査会として、社会のありように関してなど、長期的な問題にも提言していいと思います。ただ、今回提言するのは前から言っているように緊急性、有効性、具体性、象徴性というところを出発点にやっていますから、1年がかりで3万人解消というのは私はすごくいいと思います。そのときに、全部公立でやるときは予算はこれだけかかる。その覚悟があるか。できないのならばこういう補完的ないろいろな形があるという、そういう提言でいいと思うのです。
    島田会長代理
    ある種の国民へのカフェテリアプランなんです。こういう選択肢があって、時間は幾ら、お金は幾ら、人員は幾らかかるよ、お互い覚悟しましょうねという話なのです。その中でこれは実現すると、要するに計画の話ではなくて実現するというものを直近のところに置けばいいわけでしょう。だから、そのぐらいの数値作業はこれだけの専門調査会をつくっているんですからやるべきだと思います。
    樋口会長
    数値目標をつくる。それからタイムリミットというか、時限的なものを設けて計画を立てていく。そういう言葉で書くしか今回はできないと思いますけれども、それは私もこれができ上がってみてから、言ってみれば指標と達成目標、期限、これはやはり入れるべきだなと思っておりましたので、皆様から御意見が出てきてありがたいと思っております。
     ほかにどうぞ。
    田尻委員
    私自身、企業の中で子育てをしてきていますので、1番の職場が変わればという部分でなかなかすばらしいのが出てきたと思うのですが、やはりちょっと弱いなと思えるのは短時間勤務、育児時間です。私自身も子供を育ててきて、1歳になれば育児が終わるのなら本当にいいのですけれども、そうではなくて小学校に上がるぐらいまでありまして、私の場合も男性の私自身が彼女と相当一緒にやっても2人育てるのでもう本当に精一杯というような実情です。その中で短時間勤務のようなものが1年だけではなくて3年、できれば小学校を上がるぐらいまであり、やはり男性の出産休暇をそれだけに限らないで、先ほど猪口委員もおっしゃったように13か月に延ばして育児休業を独占しないという表現で書いていただきたい。
    樋口会長
    一方の性が独占しないと。
    田尻委員
    そうですね。私はあれはすばらしいと思うんです。そういう形で入れていただいて、そしてまた育児休業というスタイルで取り切らない方に毎日1時間でもう1年、もう2年と、短時間で取っていく。どうしても両立していくには保育所と仕事をタイアップしていかなければいけないわけで、今の一般的な働き方では相当しんどい思いを御両親にさせるというのは目に見えています。例えば3か月ぐらい育児休業を取って職場復帰してから育児休業を全部取らなかった分を毎日1時間ずつ3年ぐらい使えるとか、そういうことを一方の性が独占しないということとタイアップさせて入れたら、多様な働き方をカバーでき、また男女が比較的へろへろにならないで育児ができるんじゃないか。
     それと、病児保育は確かに保育園の部分ではあるんですけれども、私は経験的にも子どもが病気をしたらまず第一は親が看ると思うのです。ですから、やはり親が病児休暇というのを企業に請求しやすい制度をつくっていただきたい。
    樋口会長
    それは今度法律としてできるんじゃないですか。今、厚生労働省の方で改正をやっておりますので。ただ、法律はあっても休暇が取れなければおしまいだということはあらゆるほかの面で同じだと思うんですけれども。
    田尻委員
    それとあと2点ですけれども、1点はこの間も言いましたが、女性労働者で2千万人いるうちの1千万人が有期労働者ですね。雇用が1年とか、今度3年までぐらいになるわけですから、その方が最初から育児休業を取れないというのは、いろいろな働き方をしても両立できるという我々のうたい文句に偽りがあるというのは大げさかもしれませんが、有期労働者の方を育児休業で初めから除外するのではなくて、労使で話し合う方向にしていくということで、何らかの手を打っていく必要があるのではないか。
     それともう一つは児童虐待の場合ですね。例えば、専業主婦の方がそうなった場合、そばに一時的に預かってくださるような保育園だとか、地域の小さな保育室だとか、ファミリーサポートセンターでもいいんですけれども、もうちょっと垣根が低くてすぐ預けられるところが必要です。そういう人たちというのは非常に孤独化しているわけですから、特に都市部を含めて、こんなところもあるよと行政的にたかをくくるのではなくて、これは早急に、すぐに預けられる具体的な場所を想定してあげる必要があるのではないかと思います。以上です。
    樋口会長
    ありがとうございました。ほかの委員さん、いかがでございますか。副大臣も、どうぞ御発言いただいて結構でございますが。
    坂井副大臣
    遅れてきて申し訳ございません。1つはこれを見ていましたら小児科医のことが出ていました。これはここだけの話ではないのですが、日本の場合診療報酬体系のせいもあって、小児科医が非常に少ないのです。ですから、切れる少年とか、そういう人たちに対するカウンセラーのような人を設けようと思っても児童精神科医が全国で100人くらいしかいないし、小児科医も余りいない。これをどうするかといった場合、なかなか診療報酬体系で議論するのは難しいので、こういうような名目でいろいろな助成をしていけば、小児科医あるいは、ここに向くかどうかは別にして児童精神科医も増えていくと思います。だから、何かこういう形での支援をして、子どもをどこかに預けたときにそういう病院の人たちが支援するという形にしてくれれば、これはまた別の意味の効果があっていいなと思いました。
     2つ目に、子どもを預ける場合に今までは2世代同居ですからおじいちゃんやおばあちゃんが預かっていたのですが、今はだんだん同居ではなくなっています。それぞれ誰に預けるかといった場合、本当を言うとおばあちゃんとかおばちゃんとか、同居していなくても近くの家が離れた親戚の人などに来てもらうのが一番いいことはいいんです。それで、例えば介護の場合は一応ホームヘルパーの認定を持っている人についてある一定状況の下に家族の介護についても認めているんです。そういう仕組みが考えられたらいい。保育ママなどに仮に支援をするにしても、ここでは教員のOBなどの再雇用などが出ていますが、まずは身近な親戚、そこが一番安全ですから、そういうことを考えてもらえばどうかと思いました。
     あと、規制緩和の方は、今は日銀と金融をやっていたんですが、私はまた4月から橋本大臣の下で規制緩和をやりますから、いろいろ取り組んでいきたいと思っていますが、私が個人的に思うのは公立保育所は非常に重要だと思うのです。ただ、地方で社会福祉法人と社会福祉協議会が一緒になっているのです。あれは本当を言うと組織的にはおかしい。社会福祉協議会というのは実際は町と同じなのです。同じ公立保育所でも社会福祉協議会が社会福祉法人を兼ねるというのはどうかなという感じが、ここで話すのがいいかどうかは別にしてちょっと思っています。
    樋口会長
    ありがとうございました。
    島田会長代理
    せっかく副大臣がいらっしゃるので、ちょっと重要なことをお話ししたいと思います。さっきの予算の関係なんですけれども、今170万人のお子さんが公立と認可とに入っていますね。それで、さっきの無認可のところを20万人だとおっしゃったんですけれども、私はもう一つ広げて50万人というのを仮に考えるとしますね。そうすると、増やすとして現状の3分の1弱なわけですね。現状は4,700億円という国家予算をこれにかけていて、地方自治体は4,500億ぐらいかけているということになっていますが、本当はわからない。本当は1兆円を超えているかもしれない。
     さて、やはり国家戦略としてこの専門調査会は50万人をローラー作戦でやる、達成をさせるということぐらい掲げていいのかなと思います。幾らの予算かというと、1,600億円ぐらいですよ。要するに国家戦略として何が重要なのかという話をする。そうすると、1,600億円増やして50万人解消します。そのときに、さっきおっしゃったようにそのうちの幾らかは民間の工夫もさせたらどうか。しかし、その場合はやはり民間、ユーザーが払える額を徴収すべきなので、そうするとある程度そこは支えてあげなければいけない。ただ、それについてはさっき福武委員もおっしゃったように、オンブズマンなり徹底的な情報公開なりを義務付ける必要がありますけれども、そのような具体的な額を書き込んでよいのではないか。副大臣は財政も全部見ておられるわけでしょうが日本の国として1,500億円を子育てのためにというのは大した額ではないのではないか。
    樋口会長
    今、考えついて、これは突拍子もないからきちんと議論しなきゃいけないのですけれども、今、介護の分野で介護保険が始まって、それこそ福武委員の所も含めて、結構民間の参入とか、それからいろいろなNPOとかが活性化しているでしょう。育児保険、子育て保険というものもあっていいんじゃないか。それで、税金だけではなくて国民みんながこぞって子どもを育ててあげていくなどというときに、介護保険は初年度の立ち上がりが4兆2千億円ですから、そういうことを思うといろいろな形で、そこまで書くわけじゃないけれども、もっと国民的な課題にしていくということはあり得ると思うんです。いろいろな言い方でですね。
    島田会長代理
    お気持ちはよくわかるんですけれども、子育てと介護には保険になじむかなじまないか、本質的に違う面があります。自分が痴呆になるかどうかというのは本当に確率の問題なんですが、子育ては意識や選択の問題だからちょっと保険にはなじまないかなと思います。むしろ国家戦略として最低限のところは支えるというのを明確にされた方がいいのではないですか。
    坂井副大臣
    保険にはなじまないと思いますけれども、例えば日本の政策の場合、子育てとか教育費負担の軽減とかいろいろな軽減が生活費の支援なのか、本当の子育てのものか、よくわからないところがあるのです。だから、そこはきちんと整理しないといけないと思います。
    島田会長代理
    おっしゃるとおりです。こういうところで言っていいのかどうかわからないけれども、例の児童手当問題というのは私は極めてよくないと思います。あれは生活費支援になってしまうんです。そんな2万円や3万円の補助をもらって子どもをつくりますか。やはり子どもを産む価値というのは大きいし、苦労も大きいし、そんなことを言うのならば数百万円ですよ。だけど、そうじゃなくてサービスがあるかどうかというのが非常に重要なのです。
    樋口会長
    やはりこれは社会的に取り組む課題で、生活費補助ではないと思います。ここでやっているのはサービスですね。
    島田会長代理
    サービスインフラが重要なのです。児童手当がもし実現すると1兆何千億円でしょう。それが恒久化するおそれがある。そういうお金があるならばその1割を使うだけで、50万人子育てサービスの社会インフラの問題は解消できますよ。
    坂井副大臣
    具体的にどのぐらい経費がかかるかというのは実務的にもうちょっと詰めてもらって、それからその計画は短期的な計画の問題とビジョンの問題と、10年後にこうだというものとと当面はこうだというものを分ける計画も結構ありますから、それを含めて少し事務的に整理してみましょう。
    樋口会長
    幾らあれば何ができるかということをやはり少し出していただいて。
    島田会長代理
    今の1,500億円というのは実は単年度予算ベースの話なんですね。政府の保育関係予算案の4,700億円というのは施設費も少しは入っているでしょうけれども、ほとんどが運営費でしょう。ですから、今みたいな施設を増やすというと、土地の買収なのか、あるいは現状既にある学校施設などの転用なのか、それは転用を徹底的に政治主導力でやっていただければそんなに施設はつくらなくていいでしょうけれども、新しい土地を買っていたら何兆円のオーダーの予算になってしまいます。ですが、既存の施設も今度は目的外使用と言われてしまう。本来、子どもを育てるのが国家の重要な目的であるとすれば、そのために使うのは目的外使用というべきではないのです。正目的使用とか、そういう言葉に変えるべきですね。
    樋口会長
    今まで出された幾つものここで論議されているような御提言がほかの委員会なりいろいろなところから出されているわけです。それにもかかわらず、効果を上げていないのはどういうわけなのか。それを、例えば財務省の方に伺えば、それはできるようになっておりますとおっしゃる。おっしゃるけれども、今度は地域へ行きますと、例えば補助目的以外のものに使うことかできるようになっているとは言いながら、財産を整理して、そして何かややこしい、それこそ書類をこんなに高く積み上げなければならないようなことをしないと、例えば学校の中にデイサービスセンターをつくるのも何をするのもなかなか難しいということがある。だから、私は是非なぜできなかったんだろうかと考えてみたい。
     それから、私はむしろ個人的には公立保育所賛成論だし、そこをやはり大事にしていかなければと思っている一人ですけれども、にもかかわらず公立保育所で今、福武委員が御提示なさったようなデータも、決してこれはつくられたデータでも何でもなくて、現実に公営保育所の方が延長保育事業の実施率がけた違いで低かったり、ゼロ歳児保育の実施率もほぼ半分でしかない。そういう使いにくさ、使い勝手の悪さは一体何が原因なのだろうか。そういう意味で利用者にとっては公立保育所は頼みの綱の一方である反面、すべての人々の使いやすいものになっていない。それは何が悪いのかということをちゃんとこちらとしても分析して出す必要があると思っております。
    猪口委員
    はっきり言うと十分にプッシュするだけの力が今までなかったのだと思うのです。それは、国全体としてそこには優先度を置いていないとか、今までの慣行がそうであったとか、いろいろな理由があったと思うんです。それで、私は男女共同参画会議が立ち上がって目標と達成度でどんどん押していくという新しい手法でどこまでいけるかということをまず見たいと思います。
     延長保育だって、急に今年からどんどんいろいろな自治体でやり始めているんです。ですから、一度公立でどこまでやるのか、例えば6時までやるのか、6時半までやるのか見て、どうしてもできないのでしたら岩男委員のおっしゃるとおり、あとは民営で9時まででも10時まででもどうしてもニーズがあればやってもらうとか、いろいろな考え方ができますけれども、今もう一回公立にチャンスを与えるべきだと思うんです。公立保育所が時代が大きく変わってきて、こういう競争関係にも入ってくるし、日本が全部リストラされていく中でそういう部分もまた変わらなければならないという息吹を受けているわけですから、そういう新しい時代に立ち会っているという意識を持っていただいてどこまで改善できるのか。そして、本当にできなければそのときはまた別の考えが出てくると思いまし、政府としてはその覚悟をやはりしなければならないと思います。公的な福祉というのはうまくいかなかったんだということになるかもしれないんです。でも、それまでにチャンスを与えるべきだと思うんです。
    島田会長代理
    今の御意見は大変参考になりますし、会長の御下問に対して私も一つ申し上げたいのは、郵便局のサービスが随分よくなったんですね。あれはやはり競争があるからですね。ですから、公立は基本インフラですから非常に重要だけれども、やはり世の中はこういうこともできるんだといういい例がいろいろあり、常に多様な選択があって、競争がある。私は公立にチャンスを与えて公立が変わらないということはないと思うのです。あの郵便局の変化の仕方とか旧国鉄の変化の仕方を見たら、だれだって人間は変わり得る。ただ、競争が非常に必要だ。多様な競争が必要だと、そんなふうに思います。だから、両面あっていいんじゃないんですか。
    福武委員
    先ほど猪口委員からもいろいろおっしゃった公の大切さについてですが、ただ私は民間の入る幾つかの要素はあると思うんです。まず私は、公はなかなか変わらないと思います。それはなぜかというと、地域における子育ての問題というのは常に厚生労働省と文部科学省の常に権力争いになってしまうんです。例えば、前にもお話があった学童保育の問題、これは事業としては健全育成課だが、施設は当然教育委員会の問題だから、行政財産を普通財産に転換するだけでも大変なわけです。
     それで、1つは民間には、いわゆる行政の持つ縦割り社会を横に貫く役割があると私は思うのです。だから、厚生労働省からも文部科学省からもお金をいただいて地域の子どもたちに対応するという、その横ぐし機能が民間が入ることによってあるということです。それからもう一点はやはりコストの問題です。コスト競争力やコストに関する感覚については、残念ながら今までの行政というのはコストというよりも、翌年度の予算をプラスして取ってくるしか評価軸がなかった。それ以外の評価軸というのは基本的にはなかったのが行政だと思います。そこに効率の考え方を入れるというのは私はまず基本的には不可能だと思っているんです。だから、それは先ほど予算の問題もいろいろありましたけれども、公立だけではなくて民間とかNPOとか民間企業とか、そういったところにもできるだけチャンスを与えることによっていい意味の競争をする。それは情報開示とオンブズマンとか、そういった質の管理をするというか、監視をするというところが私は前提だと思うんです。
     なお、もう一点申し上げますと、さっきの目標値とそれに対する達成手段に関してですが、それをきちんと見守る主体が今はないんです。それで、冒頭に会長からもお話があったように、エンゼルプランから始まっていろいろな制度があったけれども、結局特殊合計出生率はどんどん低下しているという問題はやはりこういう施設整備の問題ももちろんありますが、私は地域が一緒になって子育てをしていこうという、そこの責任主体がないからだと思うんです。だから、そこは子育てに関して地方自治体主導にしなさい、あるいは地域住民と一緒に子育てに対するいろいろな制度を考えてください。その場合に、予算は出すけれどもやり方に関しては地域住民と行政で考えてください。そこにはいろいろな参入主体が入ってもいいんじゃないですかという基本的な考え方がないといけない。予算は付いた、あるいは我々民間事業者も含めて経営主体はいろいろ出てきた。しかし、実際地域の子どもを地域で育てるという責任はだれが取るんだ。そこが今、不在なんだと思うんです。それはやはり行政の縦割りというところが私は阻害をしていると思います。そこの部分がきちんとカバーされないと、子どもをもっと産んでみようかとか、子育てをしながら仕事をしたいという気持ちにはなかなかならないのではないでしょうか。
    猪口委員
    今までの行政の評価というのは増分主義で予算を取ってくることしかなかった。そういう面があったのかなかったのか、私は検証できないですけれども、少なくとも行革以降は、政策評価のものすごいローラーをかけることになったわけです。ですから、今はどの省庁でも細目にわたっての評価をやり始めていて、公立は一気に民間企業ほどいくかどうかはわからないですけれども、今そのスタートラインに立っているのです。ですから、やはりそういう大きな時代の変化の中で、ちょっと日本の政府は遅れたんですけれどもやり始めているので、頭から全然公立は考えがないんだ、全然見込みがないんだと見放してしまっても、本当にこれから何十年もの課題ですから、将来的に福祉はどこまで民間で担っていけるかどうかというようなことも考えると、一気に軸足を移すということについては慎重にならなければならないかなという考えです。
     でも、それは福武委員のおっしゃっていることと全然矛盾しないので、いろいろな刺激、それからやり方の新しい手法、それをどんどん提示してくださるのが民間のまず役割なんです。ですから、そういうことも踏まえつつ、しかし、ノウハウもなくて、丸投げしても自分はそういうのは余り関心もないし、女子どものやっていることはどうでもいいじゃないかと思っているような自治体が、そのままの意識でいるのはとてもよくないということです。彼らはやはりノウハウを開拓し、自分でノウハウを持ち、この分野でいい行政をする責任があると思うんです。ですから、そういうふうに地方政府の水準の維持のためにも彼らにきちんとしたこの分野の仕事をやらせなければならないと思います。
     ですから、そういうことはやはり支援していただきたいんです。そして、まずいことはどんどんおっしゃっていただいて公立保育所をまずよくして、その分野での信頼性を高くする中で民間その他の主体の役割もまた一層認識されていくし、その分野そのものの有効需要というのは拡大するわけです。だから、また民間の余地もどんどん出てくるので、ウィンウインゲームになることは確実だと思うので、やはり公立の保育園の位置付けをきちんとした上で政府を叱咤激励するというか、政府にちゃんと目標を持ってもらって達成してもらうという、その根本原理を放棄しない方がよろしいと思うんです。
    島田会長代理
    猪口委員のおっしゃることでちょっとさっきから気になることがあるんですけれども、民間を認めると丸投げになってしまうというお話があるんですが、私の知っている限りでは横浜市も東京都も独自基準を一生懸命考えていますし、三鷹市も東村山市もそうですけれども、むしろ民間を入れようというところは真剣です。だから、それは誤解を生むから私はその部分の発言は撤回された方がいいんじゃないかと思います。
    坂井副大臣
    御参考までに、もう御存じかもしれませんが、社会福祉基礎構造改革ができて、それから保育所を含めて社会福祉法人の会計基準を変えまして、外部監査も大分入ってくるし、情報公開も入ってくるし、会計制度自身が非常に柔軟化してきますから、公立保育所といえどもこれから非常に能力が問われている時代になってきている。そういう意味では、非常に公立保育所のよさを残しながらそうなってきている状態だなと。私の地元などは、無認可の保育所が公立保育所に今度申請してなりました。
    樋口会長
    どこですか。
    坂井副大臣
    佐賀県です。
    島田会長代理
    ですからこれは両方とも、情報公開とオンブズマンと官民問わずやって改善していくということですね。
    坂井副大臣
    公立保育所もちょっと変わっていくということで。
    樋口会長
    それは当然のことですよね。
    福武委員
    今のは決して敵対ではなくて、お互いにいいところを出し合って本当に一緒にやりたいんです。
    樋口会長
    官は変わりませんとまた言われてしまうと困るのではないでしょうか。変わるようにいろいろ刺激を与え合いながら、だけど公立というかどうかは別として、ここでやっていることも要するに子育て、そして両立支援は公的責任である、社会的責任であるということで、当然のこととしてこの専門調査会だって立ち上がっているんだと思います。
     では、河野委員どうぞ。
    河野委員
    ちょっと角度が変わるんですけれども、先ほどから出ている母数の件ですが、最初に佐々木委員がおっしゃっていたように今、仕事をしていて子どもが欲しいけれども持てないという人にとって最高にありがたいのは、いつどのくらい満たされるかということだと思うんです。その後の50万辺りから100万になってくると、私はどうも職の創造の方が先かという気がしてなりません。今、現職で仕事がある人へのサポートまずありきで、あとは前に申し上げたんですけれども、30代、40代の人が例えばすべてライフ部分をサポートされたとしても、残って仕事があるかというと仕事がない。というよりも、本人ができることがないのです。だから、そこを一緒に考えないと絶対にいけないんです。
     これは時代がつくってきてしまったもので、今回男女共同参画で職場での共同参画ということを考えれば、ここは落としてはいけない視点かなと思います。特にここにお集まりの皆様は専門性の高い、私どもの業界の言葉で言うとスペシャリストの方が多いので、一度途切れても、または正直なことを言って、若干わがままを言っても企業は聞き入れるという方ばかりです。しかし、普通の一般的に言われるOLという方々はそうではないのです。ですので、その辺を考えると保育の条件がすべてそろっても、私は喜んで勤め続けるかなと逆にちょっと思ったりしています。
     もう一点は、ここにいる方は別なんですが、病児保育等すべてサポートされても、自分の意識でやはり自分で看てあげたいと休む人は絶対に多いはずです。となると、ここはもう少し書きたいなと思うところがあるんですが、産む本人や育てる両親のこれからの子育てに対する心構えというか、具体的に言うと病気のとき、それから学校や幼稚園や保育園の行事のとき、だれがどうするのかということは家庭内のことです。その辺りの心構えをきっちりと自分たちが持っていないと個人が場当たり的になるので、幾らいいサービスがあっても使わないということになります。その辺も加味した上で本人たちの親教育、これは親教育とはちょっと違うかもしれないんですが、これについても少し御指摘いただけるとありがたいと思います。
     あとは、最近具体的に企業の方のキャリアアドバイスの中身を見てきたのですが、子どもが病気の時めいっぱいうそをついて休む。うそをついてというと語弊がありますが、子どもの病気でなんて理由では休めないんです。それから子どもの行事で、これも適当に不幸だとか言って休むわけです。最後に残るのは本人の健康なんです。これは先ほど田尻委員がおっしゃっていたように、一般企業で別々に雇用されながら夫婦で核家族で子育てを2人もするのは本当に大変でして、今がん検診一つとってもなかなかできないという状況で、かなり皆さん体を悪くして本人が辞めるというケースも出始めています。やはり子育てだけではなくてその理由は介護であれ、育児であれ、本人の健康であれ、休めるような組織としての体制ということを考えるべきです。
     これは組織の問題なので、ちょっと戻って恐縮ですが、先ほど内閣総理大臣の表彰が2つも出ているということもあったんですけれども、逆に私の関係しているところで申し上げますと、企業の経営者というのは人から言われるよりも自分から物を見たりしてあっと気付くのが一般的なんです。ですので、これはあそこの企業もこうなんだということで経営者が気付き、変わると、やはり人事が変わって組織が変わって仕事の仕方も変わってくるので、これは決して悪いことではないのではないかと思います。
     それを考えると、今度は父親の参画ということが大きいと思うんですが、本当に小さいのですが、海外ではパパクォータとか言うんですけれども、この辺は父親ですとか、両親とか、親とか、きっちり堅い言葉で押さえた方が受け入れられやすいというか、その辺もパパ、ママという表現ではなくて父親として、母親としてというふうに押さえて企業の方を動かしていくのも一つの手だと思います。細かいことで恐縮です。
    樋口会長
    さっきおっしゃっていた休めない3番目が本人の健康、2番目は不幸があって、1番目は何ですか。
    河野委員
    不幸というのは理由で、例えば子どもの病気と言っては非常に休みづらいので何か理由をつけます。そちらがうその理由です。
    島田会長代理
    子どもの病気では休みにくいですか。
    河野委員
    絶対休めないです。本人が元気でいてプレゼンテーションをキャンセルできないじゃないですか。
    島田会長代理
    子どもが病気だとは言えないわけですか。
    河野委員
    言える雰囲気がないんです。ですので、先ほど樋口会長が病児休暇の法律ができても運用まではとおっしゃってくださいました。まさに私はそう思っていたんですが、どの制度にしても、法律があっても、運用面ではだめというのがありまして、それはまず風土ができていないというのもあるんですが、取る本人たちの取り方の問題というのも実はございまして、自分が休めないのであればお金がかかっても遠くの母親を呼んで泊めておくとか、それぞれが生活環境を整備しておく必要があるのです。そこの教育がないと、絶対にどんなことがあっても無理だろうと思います。
    樋口会長
    今、河野委員が言われましたけれども、本当に子どもが病気でとか、保育所へ連れて行くので遅れますということは、まだ母親はいいかもしれないけれども、特に父親が、妻が非常に忙しいとか何かあったので夫が保育所に連れて行ったので今日は遅れますと言ったら、それはしらっと職場でされて、二日酔いで遅れましたと言う方がにこやかに受け入れられる。こういう企業の基本的な風土が変わらなかったら、本当のことを言って両立支援はだめなんです。だから、この前八代委員がいろいろおっしゃってくださったし、田尻委員もいろいろ今日おっしゃってくださって、職場が変われば両立できるというのはそういう雰囲気、情勢、企業の経営者の方が変わり、そして同じ仲間の男性が変わることだと思うんです。よくこのごろ女性が強くなったから男がいじめられてとおっしゃるけれども、私が見ていると保育に関わることではやはり男性が男性をいじめていますね。
    坂井副大臣
    絶対にいじめていますよ。
    河野委員
    休みやすいというか、自分でもいなくなることを考えた上での仕事の仕方というのがあると思いますし、前もちょっとペーパーでお出しした仕事の共有化ということとか、小さいことを幾つかすることで部下に任せられる仕事もあるのです。ですので、そういう地道なところでもっと休みやすい体制づくりをしていった方がいいんじゃないかと思います。
    樋口会長
    それは「職場が変われば両立できる」に入れるのかどうかはありますが、そういう雰囲気というか、そういうことも本当に入れていきたいと思います。
    島田会長代理
    これは、冒頭に考え方を1行入れてもいいんじゃないですか。経営者と職場の理解ですね。
    猪口委員
    今、河野委員のおっしゃったことで思い付いたんですが、学校が専業主婦を前提として運営されているという問題がまずあります。PTAとか、そういう行事がウィークデーの午後2時からあったりする。これで健康診断さえも受けられないことになってしまうというのが、今、河野委員の言ったすごい重要な点です。まずは特に幼稚園ですね。幼稚園ですと、ようやくこれで職場復帰するかという年齢なんです。そのときに、専業主婦を前提とした従来の運営の在り方をこの際、抜本的に変えていただくことを、是非文部科学省にお願いしたいと思うんです。すべての人に影響が出る改善策となるということで、かなりリアルなまさにローラー作戦の一部だと思います。基本的に母親は仕事をしているか、地域活動か、NPOか、ボランティアか、介護か、いろいろな役割があるので、普通のウィークデーの昼間の時間帯に呼び出すことについては特別の重大理由が幼稚園や学校側として必要と、そういうことをすべての園長、校長に徹底していただかなければならず、これは1つの項目に入れるぐらい重要なことではないかと思います。
    島田会長代理
    普段は夕方とか、週末とかにやるということですか。
    猪口委員
    土曜日におやりになるのが一番いいことだと思います。
    樋口会長
    これは今かなり革命的なことで、まだ日本社会では土曜日の午後にやりますと、子どもと主人がおりますのでそんなときに集まれとは何でしょうかという人もまた一方ですごくいまして、そういう人が幼稚園に集まっているわけですね。その御提案はものすごく趣旨はわかるのですけれども。
    島田会長代理
    その主人を連れて来ればいいのではないですか。
    樋口会長
    そうですね。主人を連れて来ればいいのですし、そのぐらい革命的に私はやりたいんです。やりたいけれども。
    猪口委員
    運動会とか、そういうのはいいんです。でも、不必要な行事といいますか、母親が動員される事態がたくさんあるのは、よく現場の方は御存じですね。行政の方だってみんな御存じのはずでいちいち私が言う必要もないので、どういう現状を私が意味しているのかわかっていただきたいと思います。そういうことをことごとく、まさに効率化して母親を安易に動員しないということですね。母親は職場に復帰するか、第2子を育てるので忙しいはずなのであって、学校体系の特に初期の部分、幼稚園と低学年のところは女性が社会復帰できるかできないかの本当の分水嶺となり、そこでしくじると40代になって何もできないという河野委員のおっしゃるようなことを社会的に生み出してしまうということだと思いますので、是非何かの形で強く改革をお願いできないかと思います。
    樋口会長
    例えば幼稚園に給食サービスを付けたらある意味で保育所化できるわけですね。閉鎖していく幼稚園はたくさんあるわけですから、そういうこともできるし。
    猪口委員
    あとは送迎サービスとかですね。
    樋口会長
    送迎サービスはむしろ幼稚園の方が持っているんです。保育所は意外と持っていなくて。
    河野委員
    3点セットということで、園バス、給食、延長保育というのは幼稚園はあります。
    樋口会長
    今や幼稚園の3点セットですね。
    猪口委員
    でも、地域によっては私立幼稚園同士で合意して絶対に送迎サービスをやらないというカルテルを結んでいるところだってあるんです。そういうところの中で本当に母親が苦しい生活を強いられ、それが少子化の背景にあるんですね。ですから、そういうことを行政として正すことができないのはどういうことかということです。
    島田会長代理
    送迎サービスをやらないとスクラムを組んでいるんですか。それはどういう意味で。
    猪口委員
    1つ出し抜いたらほかの園がつぶれるからです。この間、先生がおっしゃった類の問題と同じです。
    島田会長代理
    だから、私はノーアクションレターを書かせるべきだということを言ったんですけれども。
    猪口委員
    でも、やはりそういうことを行政が取り締まらなければだめなんです。ですから、最初の樋口会長の御質問に答えれば、いろいろなこういうことの累積の結果として1人産んでみたけれども両立はとてもしんどかったと、これを2人はちょっとできないなと思うのが多くのワーキングマザーの実感となってしまうということです。
    岩男委員
    もうできるだけ増やさない方がいいというのは私も非常に強くそう思いながら、だけど入れていただけるといいなというのが同時にあるんです。
     これは前の有識者会議でも全く同じことが提言されてはいるんですけれども、1つは長時間職場に拘束されるということで、この間リコーの社長もおっしゃっていましたけれども、要するに働き方が合理化されるということで、一人育休で人がいなくなっても日本の企業は幾らでも伸縮自在に合理化の余地が随分あるようなお話ぶりをされていました。ただ長時間職場にいることが評価の対象になるというところが変わらないといけない。ですから、そういった長時間拘束あるいは一言で言えばだらだらした働き方をやめて評価を拘束時間でしないこと。この問題が本当は非常に大事だと思うんです。
     それからもう一つは、本当に樋口会長がうまく柱をつくりまとめてくださったんですけれども、先ほどのお役人の表現というのもありますが、これを出すときにはできるだけ簡単な言葉の方がいいと思うんです。それで、例えば2ページ目の5の下から2つ目のところで、「できるだけ多くの」などというような表現を付けてしまうと、これはもうやらないということとほとんど同義語になる。ですから、「できるだけ多くの」というのはやめる。
     それから、私は教育改革の方でいわれている奉仕活動とか、そういうようなことと柔軟に連動しながら考えていったらいいということで、奉仕活動をするという形で考えるんだったらこれなどは非常にいい例じゃないか。それと合わせて、男女共同参画社会づくりで小さいときからジェンダーフリーの教育が必要だということがあるわけですから、「学生や生徒が男女共同参画社会の担い手として子育て支援を体験するボランティア活動の機会をつくる」とか、ちょっと言い方を変えた方がいいんじゃないかと思うんです。こういうことをすると子育ての大事さ、大変さを小さいうちから分かり、それを男の子も女の子も経験して、それが男女共同参画社会の担い手を育てるという意味での効果があるわけですね。ちょっと表現ぶりを変えていただいた方がいいんじゃないかと思います。
    樋口会長
    ありがとうございます。では、どうぞ。
    佐々木委員
    本当にいろいろありがとうございます。ほとんどの方が言いたいことを言ってくださっているので、今の表現のところに加えてなのですが、こういうものを余り見慣れていない私のような素人の一般女性から見ると、これが出てきてもインパクトとか具体性というところではまだ自分のことを言われている感じがしないんですね。それで、もし私がテレビを見ていて、これの発表があって、「1.職場が変われば両立できる」となると、「またか」と自分で思ってしまうような気がするんです。ここがもちろん今日現在まだ中間報告であるということで具体性にいえないところと、それからインパクトとのものだと思うのですけれども、例えば先ほどから出ているような父親の産休、私は5日間は余りにも少ない。これではお父さんは寝て過ごすと思うので、せめて10日間にしていただかないとと思ったりするのですが、例えば父親の産休10日間強制化とか、制度化とかというタイトルがあって、その下に1つ目が職場が変われば両立できるので何々というタイトルを出す、これは民間がよくやる手だと思うんですけれども、やはりタイトルがキャッチで具体性があって、見た人が、そうなのねとわかる。例えば、今、出ていたような学校行事に対しても有給制度化とか、どういう表現かはわかりませんが、そう言っていただくと母親としては、そういうことが起こるのねとわかる。「職場が変われば両立できる」と言われても、それは私の手には負えないことだなと思ってしまいます。
     「待機児童ゼロ作戦」も私は前回非常にいいタイトルでこのままと思ったんですが、今日のお話を伺っていて欲が出まして、ここにやはり1年後待機児童ゼロ作戦と言われると、これはぎょっとして、今度の春は私の子どもは入れるのねと、あるいはこれならば本当に職場に復帰しましょうという気になる。例えば、3年後潜在的児童の解消などと言っていただくと、これから妊娠計画ができるねとかですね。
     ただ、「待機児童ゼロ作戦」というのはやはり今ので見ると本当に当事者がニュースを見たときにはっとしないと思います。「多様で両立な保育サービスを」と、これもそのとおりで、きっと今までもどこかの文章にあったであろうと思ってしまうので、この内容はこれでいいんですが、せっかくこれだけ話し合ったのですから、タイトルとしては例えばそれこそ「病児、延長保育の充実」とか、「入園月を4月以外にも設ける」とか。4月じゃなくていいのねと、ちょっとタイトルの付け方を中身を変えずにできる程度に。あるいは日時を決めるとか、先ほどの待機児童の3万人か50万人か300万人かという話は河野委員とか皆さんがおっしゃったように、余り先よりも短い方がいいと思うんですが、3万人解消と言われると私のことじゃないんですね。でも、1年後ゼロと言われると私のことなんですね。だから、その表現が受け取る人のための表現に、ここで何が話し合われたのか、本当にまじめにやったのかなどと100%疑ってかかる母親たちが是非受け入れられるようなタイトルにしていただきたいと思います。
     あとは、欲を言えば先ほどの育休というか、産休というんでしょうか、13か月とかいろいろなものが出まして、何度も言いましたが、同時に取れるということを是非入れていただきたい、別々に取りたくないなと思います。それだけです。
    櫻井委員
    1つ確認なんですけれども、企業に対する補助というのはここにも出ておりますが、たしか議論の中で個人が支出する保育料の税制控除が話題になったと思うんです。私などは非常にその辺りが一番身近に感じるところで、その点についてはどこかに入れられるのでしょうか。すべて落とすのでしょうか。
    坂東局長
    これを消したのは、私どもは企業に向けての税制面の配慮というのは法定福利費を思っているのですけれども、個人が払った保育料の控除については現実に認められるかどうかという観点からは実現性が難しいのではないか。どうせ実現性がなくても言うだけは是非入れておけということでしたら入れられると思いますが、実現性のあるものに限るとしたらかなり難しいということです。
    櫻井委員
    医療費は現に実現しているものですから、それと案外同格の感覚で受け止めるんですね。児童手当が完全支給となると、それとの関連であげてもおかしくないんじゃないかと思いますが。
    坂井副大臣
    それはちょっと難しいんですね。扶養控除があって、それから保育料の減免という予算上の問題があって、そうすると保険などだったら医療費を出したものの控除という制度はできますけれども、保育自身は余り保険制度になじんでいるわけではないから、そういう意味では個人税制の中に入れるのがいいかどうかというのは難しいのではないかと思います。
    佐々木委員
    提案をすることは可能なんですか。今おっしゃっていただいたように、文章の中に入れることは可能なんですか。
    櫻井委員
    とてつもない突飛ないわゆる素人考え過ぎてそこに入れると笑われる種類のものであれば、専門調査会として恥ですから切った方がいいと思いますが。
    島田会長代理
    笑われる種類のものではないと思うのです。
    坂井副大臣
    考え方としてはあると思いますが、実現性として、では子どもの扶養者控除自体を上げればいいじゃないかという議論になってくるわけです。例えば保育園ではなくて幼稚園に行かせている子どももいるわけですので、保育のところだけ控除してしまうと、では幼稚園の子どもはどうなるとなりますから、では扶養者控除を増やせばいいじゃないかという議論になってくるのです。そこのところが難しいんです。
    櫻井委員
    わかりました。
    島田会長代理
    今、本当に副大臣がおっしゃったとおりで蛇足ですけれども、こういうのは租税特別措置ということになるんですね。これは企業向けと個人向けと両方あって、企業向けは200種類ぐらい、個人向けは十何種類あるのですが、その中に人的控除として医療控除があります。今、副大臣がおっしゃったように人的控除で扶養控除などがあって、そのほかに住宅などの租税特別措置というのが入っているんですね。この人的控除というのは家族を形成し、子どもを養うために必要ということで入っている控除なんです。保育料等を人的控除にすると、既に扶養控除その他が人的控除に入っていますから、それと今度は重複したり矛盾したりするわけです。その辺の整理というのが一つあるでしょうね。
     だけど、今度はそれを住宅を建てたり何かするのと同じような特別控除ということで入れられるのかどうかというと、これはまた別の話になって、出すのは自由だけれどもちょっと難しいという話になってきたんです。
    坂井副大臣
    以前は子育ての方の保育料の税制をやって、それをこの前圧縮してその分予算の方で付けたわけです。だから、そういう意味では配偶者控除のようなものをやめて、その財源が1兆円ほどありますけれどもこちらに向けるみたいな議論をやめて、子育ての扶養控除をもっと拡大するという議論をしていたら、それは議論になりやすいんですが、ここだけ取り出すと、それでは予算なのか、税制の扶養控除なのか、保育だけなのかという議論が難しくなってきます。
    櫻井委員
    わかりました。公立保育ゼロ作戦が実現すれば、それは要らなくなるわけですから、結構です。
    坂井副大臣
    局長が言ったように、法定福利費のような形で、企業のつくっていくものは、今までのテニスコートとか保養所みたいなものではなくてできるだけこういうところを面倒を見ますよというものだったら実現性は高いなと思っております。
    櫻井委員
    わかりました。お時間を取りました。
    樋口会長
    島田委員、どうぞ。
    島田(祐)委員
    佐々木委員がおっしゃってくださったんですが、これを読む側からすると、こういうものは短くてインパクトがあるのがいいと思うんです。ですから、少し過激でも刺激的な方がいいと思いますので、私などは例えばお父さんが産休を取るのが義務化されるというようなことがあると男性群も注目し、意識が少し変わってくるような気がするんです。男性たちが育児について話すという材料を与えることにもなるし、育児がどれぐらい大変で、今、両立がどれぐらい、大切なことかということを男性たちがわかってくださるためにはそういうことをもうちょっとインパクトのある言葉でどんと言ってもいいかなと思います。
    猪口委員
    保育料の控除は私が言ったので、これは何としても入れていただきたいと実は思うのです。今の副大臣の御説明はよくわかるのですが、しかし住宅等の特別控除で家を建てても今の日本は子どももいないわけです。住宅に控除を認めるぐらいだったら保育料の控除をそのような特別控除で考えてもいいと思うんです。あるいは、人的控除ではないと言うのでしたら新しく男女共同参画型の控除で両立支援するんだという判断をしてもよろしいと思うんです。
    坂井副大臣
    幼稚園は認めるのですか。
    猪口委員
    幼稚園はちょっと違うのではないかと思うんです。
    佐々木委員
    労働している母親が税金の確定申告をしたときという条件ではないのですか。
    猪口委員
    例えば、日曜日に出勤しなければならないときにどうしても民間のベビーシッターサービスを頼んだりするでしょう。時給何千円とものすごい高いわけです。そういうのはやはりちゃんと控除できないと。
    坂井副大臣
    いろいろな議論があっていいんです。ここは自由闊達で激しい議論があるのでまたそれはそれでいいんですが、税制がいいのか予算がいいのかという問題も出てきますし。
    猪口委員
    できれば税制でやっていただくことでまたインパクトも出てくると思うんです。
    坂井副大臣
    税制の場合は、所得の低い人の問題もありますから、だから予算の方がいいという議論にこの前は変わったわけです。
    島田会長代理
    所得の低い人には、もともと税額が低いからメリットはないんです。所得の高い人には控除とかがあるけれども。
    坂井副大臣
    税制の効果が少ないでしょう。
    猪口委員
    でも、これは両立支援の専門調査会でやっていますので。
    坂井副大臣
    両立支援の場合でも、子どもを持っている人に予算で出していった方がむしろみんなに恩恵がいくのではないかという議論があるわけです。
    猪口委員
    予算と両方でやってもよろしいのではないですか。また、前回のヒアリングの中でも出てきたように、より大きな議論になるのかもしれないけれども、配偶者控除に手を付けてもいいかもしれないですね。それから、もし税務当局が難しいというんだったらそういうヒアリングを私たちはしなければならないと思うんです。どうしてこれが難しいのか。理論的にも、財源確保という意味でもですね。
    島田会長代理
    これは議論する余地は十分あると思いますよ。配偶者控除の場合はずっと問題になっていて、女性の就労には影響しますから、あれを基礎控除に全部統一してしまって配偶者控除をなくしてもいいんじゃないかという議論は有力な議論としてありますね。
    坂井副大臣
    1兆3千億ぐらいありますから。
    島田会長代理
    それは非常に大きいんですね。この話は、税ですと、やはり公平性というのがすごく重要な大原則なんですね。その機会を利用できる人と利用できない人をどうするんだという議論は多分大議論になると思います。だから、人々がみんな就労しているというのが前提になる。ところが、そうではない人もいるし、低所得者の人もいろいろいますから、多分落ち着くところは副大臣のお考えになってくると思いますが、強いてやるならば政策支援ということになるのでしょうね。税というのはだれだって一銭も払いたくないものなんです。ですから、これもだれでもよく知っていることだけれども、徹底的に公平であればしようがない。国を成り立たせるために税を払うということになるので、多分政策措置の方になるんでしょうね。
    坂井副大臣
    書いてもいいのですけれども、それを決めることはなかなか難しいかもしれませんね。
    樋口会長
    ですから、この会は何でもこうあったらいいと思うことをここで議論して、いろいろ意見の出たものをできるだけ威勢よく並べて、そこが100あったとすると50点実現すればいいよという会なのか、こう書くからにはこれだけは100%実現して欲しいという会なのかということだと思います。そこで、私などはここで書いたからにはほとんど95%から98%実現するということを前提でまとめているつもりなんです。だから、今の税金の問題は私などは個人的には大人はみんな対等ですから男女とも配偶者控除などはなくして、そしてその代わり未成年のそういう被扶養者の控除はちゃんとつくっていく。それから、両立支援特別措置というのをつくってもいいかもしれないぐらいに思いますけれども、これを実現していくのはかなり道が遠いだろうし、すぐにもできないだろうし、また別なそれこそ男女共同参画会議本会議の方でいろいろ議論していただくことかもしれないなと思ったりするのです。
     ただ、ヒアリングぐらいはしてもいいと思うし、あるいは税制も控除の在り方も検討するとか、そのぐらいのことまでは幾らでも言えると思うけれども、保育料控除をせよと言ってすぐ実現するかというとなかなか実現できないんじゃないか。だけど、なかなかこういう公的な場でそこまで言う機会がないから言っておくだけ言い得じゃないかという考え方もあるわけですね。だから、皆さんはそこをどう考えるか。
    坂井副大臣
    問題点だけ出すのは私も非常にいいと思うんです。ただ、ここの会の位置付けは会長さんが考えることですが、男女共同参画会議になると今度はまたそれなりの各論を持ったものでそれが非常に拘束されてくる感じになってくるから、こちらの議論がそのまま男女共同参画会議の中に入っていけるかどうかというのはまた別かと思うんです。だから、そこのところは会長さんのところでどう仕切られていくのか。
     ただ、論点整理でこういうものがあったと問題提起するのは、今後いろいろな税制においても議論しないといけないことが多いから、それはそれでいいと思います。
    樋口会長
    意見だけはできるだけ言っておくという考え方もひとつあるわけです。その提言をどうおとりになるかは男女共同参画会議の問題ですから。
    坂井副大臣
    いずれにしても、個人の所得税に絡む話は公的年金控除の問題などすべて絡めて早晩議論しないといけない分野であろうと思います。
    樋口会長
    それはそうですね。

    (坂井副大臣退室)

    岩男委員
    大臣がお立ちになってしまって残念なんですけれども、与党で今いろいろと新しい、社会保障やその他の関連ある政策を議論しているわけですね。そういうときに、ここで議論していることは全く無関係というような感じではなくて、ここで議論していることもうまくちゃんと予算の面で手当てもされて具体的な施策として実現されていくというのがここの出発点だったと思うんです。ですから、それを常に、大臣、副大臣あるいは総理にリマインドしていくというか、そこを私たちもずっと見守っていきますよということをくどいぐらい申し上げていく必要があるんじゃないかと思うんです。
     それから一つ簡単なことを伺いたいのですけれども、育児休業制度のところで一番最初に私は男性の育児休業の義務化ということを申し上げたのですが、ここで出産休暇になっていますけれども、育児休暇ではいけないのですか。
    河野委員
    健康保険組合からお金が出るのが産休なんですね。ちょっとそれは私も一緒に聞こうと思っていたんです。
    岩男委員
    出産休暇が必要ならばそれはいいんですけれども、「・育児休業」とか、つまり非常に具体的に考えますと母親がまだ病院にいる間などはほとんど父親の手助けを必要としないんですよね。
    樋口会長
    それが必要なんです。上の子の保育で。
    岩男委員
    上の子がいるときはそうです。そういう意味ですか。
    島田会長代理
    これはそういう意味で以前、話し合ったんです。
    岩男委員
    私はそのときいなかったものですから失礼しました。
    樋口会長
    育休の男女共同参画と、それから産休を父親に特設すると、その両方なんです。
    岩男委員
    そうですね。それは誤解がないように書いていただいた方がいいと思います。
    河野委員
    これは有給休暇の特別枠とかを強制に取らせるのではないのですか。結局、女性の産休と同じような扱いで、そうすると健康保険組合から女性の場合はバックがありますけれども、企業の方からは無給でというか、その辺はどうなんでしょうか。
    樋口会長
    有給休暇にプラスをすることはできませんか。
    河野委員
    できるかどうかわかりませんけれども。通常の有給休暇として100%賃金が払われていますが、それとは別にですか。
    樋口会長
    そこら辺は議論の余地があると思います。
    岩男委員
    余り細かいことはここではいいと思います。
    福武委員
    今の問題は我々もちょっとヒアリングをしたら、有給の延長というのは意識的にやはり無理なんです。ヒアリングでは別枠の方がいいとなりました。
    樋口会長
    それはどこのヒアリングですか。
    福武委員
    社内でです。
     それからもう一点、全然論点は違うんですけれども、2の私が言ったところでまた修正的になるんですが、今日は待機児童ゼロ作戦とか、我々の覚悟みたいなものが相当確認されましたね。そのときに、最後に各種モデル事業に対する財政的措置というのを削除していただいてもいいと思うんです。ちょっと及び腰じゃないでしょうか。だから、私が言うとすれば民間産業とかNPOとか、新規参入も歓迎してもらいたいということだと思うんです。量の問題は言ったわけだし、そういう部分がちょっとあってもいいのかなと、そういうことを申し上げます。
    猪口委員
    99%実現するかどうかの話は結構重要だと思うのです。ここに書いてあることが全部実現されればすごいことなので、それと実現性のないことをミックスして、何となくいいかげんなイメージで受け取ってもらいたくないと思うんです。だから、どうしても難しいのであれば保育料の控除は下げてもいいんだけれども、でも他方で男女共同参画関連の方々にとっては保育料の税制控除が議論されなかったということは私たちの見識が問われることだと思うのです。
    佐々木委員
    私も同じ考えで、ここに書かれていることは100%だと思って一生懸命やっていたので、ですから中間報告はここに書かれていることでいいと思うのです。それで、後半もあると一般の方々に知っていただくためにも、今、私たちが話し合っている項目というものを例えば3つぐらい挙げておけばいいのではないでしょうか。その1つに、例えば保育にかかる費用に関する援助なのか、税金なのか、補助なのかわかりませんが、そういうことに関してというのがあると、先ほど河野委員がおっしゃったように京都の母親を呼んで1泊という、こういうのがみんな実はどんどん個人負担になっていって、本来だったらみんな医療費控除じゃないですけれども10万円超えたらタクシー代まで控除の対象になるみたいにしたいぐらいなわけですよね。保育をしていると、保育園でままならないところ以外でお金がかかっていくわけですから。
    島田会長代理
    その点を整理しておきたいんですけれども、経費として控除するという考え方はもちろんあり得るんですが、これも税の控除ということになると、税というのは国民が全部納めるわけですからみんなの助け合いなんですよね。助け合いの結果を経費に対する控除とするか、助け合いの結果を今の公的、認可も含めて補助金にするかという2つの使い方があるわけですね。
     これはどこが違うかというと、補助金にする場合、どちらかというと支払い能力のない人たちにも均等にサービスを提供しようという考え方でみんなが出すわけですが、経費の方になるとどちらかというともともと支払い能力がある人の所得から控除ということになりますから、公平性の問題と、それから再分配の問題で意味が全然違ってくる。だから、大いに一回は議論はする価値はあるかもしれないけれども、今、佐々木委員におっしゃっていただいたように、そういうことも大いに議論したんだという話題を幾つか出すというのもひとつ意味がある。
    樋口会長
    4月3日の時点では、この5つの項目についてこういうことが出されたというのと、口頭であっても議事録に残るような形で、あるいは列記してもいいですけれども、まだその他こうした問題が議論に挙がって議論され、これからもまたやっていくという具合にするのか。つまりこれは技術的な問題ですけれども、例えば4月3日に少なくとも今日おおむね御了承された分と、それから御意見をいただいたということで中間報告が出る。この辺りの時点で、メディアはわっと取り上げますね。それで、今度5月の末だか6月の初めぐらいまでにあと3回くらい会議の時間の余地があるようですけれども、そのとき結局何か同じようなものしか出てこなかったということではつまらないような気もするんです。だから、果たしてこれをまたよりインパクトのあるものにできる余地があるのか、それこそ御意見をいただいたり、いろいろなところで公聴会など、余りいろいろなところではできそうにありませんけれども、要するに今回の中間報告と最後の報告とどういう関係にしてくのかということです。
    島田会長代理
    最後の方は予算の額を出しましょう。
    樋口会長
    田尻委員どうぞ。
    田尻委員
    まず育休のところで父親の義務化ということですが、例えば私などは男も育児という市民団体をやっていて、その中でも父親の義務化という言葉に対してすごく抵抗があるんですね。だから、同じことかもしれないけれども、例えば一方の性で独占しないとか、そういう両方の性で取り合うんだ、分かち合って取っていくんだというようにできないでしょうか。表現の問題かもしれないけれども、案外私などはそれほどでもないんですが、すごく抵抗される男性がいるんです。
     あとは、産休ではなくて育休を両方で取っていく場合、例えば猪口委員のおっしゃったように12か月で1か月足した場合、女性が12か月取った場合は問題ないんですけれども、あと1か月は男性が取る。それで、仮に10か月で女性が終わった場合はどう両性で取っていくということを組み込んでいくのか。要するに、夫婦で10か月とした場合、何割かは男性が取っていくと組み込んでいくのかということです。フルに12か月取ったときはもちろんあと1か月は非常にわかりやすいけれども。
    樋口会長
    もっと外国の制度なども精密に調べたいですけれども、ノルウェーから来た方に聞いた話程度の知識ですが、いわゆるパパクォータは絶対義務化ではなくて、それこそ父親が取ったときのむしろボーナスと私は受け取りました。だから、父親の育休の義務化ということは北欧諸国においてすらまだできていないことです。
    田尻委員
    そうなんです。ですから、義務化という言葉を安易に使うとすごい抵抗があるということと、中身がまして義務化じゃなかったら二重にだめですから、そういうことを私は指摘したいです。
    樋口会長
    あと、佐々木委員がおっしゃったことについてですが、よくわかるんだけれども、私の知る限りではどこの国でも両親一緒に取れる育休というのはないと思うのです。だから、ないからこそ我が日本で過激に先鞭をつけるんだという考え方もあり得るのかもしれないし、どういうおつもりでおっしゃっているのかなとちょっと思いました。
    田尻委員
    それから、例えば保育園に預けた場合、さっきから言われている税控除の問題ですけれども、私などの立場の人間でも保育園に預けて税的な恩恵も被っていて、またなおかつそれを控除して、片や専業主婦の方はそういう方面の恩恵には全然浴していなくて、子育てという大きな枠の中では一緒でというところをどうやって理屈をつけるのかというのはかなり難しい。私の意見ですが、やはり配偶者控除から崩していってやっていくようにしないといけないと思います。
    樋口会長
    今回は、余りにも両立がしにくくできているから、専業主婦の方がどう思うかということは私は本当はここら辺で耳元で響いているんですけれども、一応ここでカットしてとにかく両立支援のために、両立支援が余りにも冷遇されたからとやっています。だけど、やはり今おっしゃってくださったように、専業主婦とのバランスをどう考えていくかということと、それから耳元だけではなくて耳の中に入ってきたんですけれども、ここで出されている私案が余りにも都市の雇用労働者対策に偏り過ぎているような気がするが、農村は農村で、自営業は自営業でやはり両立支援をもう少し広くカバーするものにしてもらえないかという御意見が私のところなどにもきているんですけれども、このことはどう考えたらいいですか。
    福武委員
    それは私が先ほど申し上げたように、地方自治体と地域にもっとゆだねるという基本的な流れをつくることだと思うんです。
    佐々木委員
    私はもしもできるならば、中間報告から最終報告に向けて本当に全部もうちょっときちんと見ていくことで差ができていいと思うんですが、今までのいろいろな政府がやってきた支援策は、これも私の印象で申し訳ないのですが、全国一律にみんなカバーするような表現や対策であったがために、どうしても都市部に大きな不満が出てきている。そうであれば、今回のインパクトがあるという意味では、まず一番問題を抱えて不満の人たちが多いところに集中した中間報告が出されて、ではこれを全体の最終報告までの中でほかの、これは都市部であってもSOHOで自宅で働いている方とか、たくさん今でもここにカバーされにくく入っていないなと私でも思うところがありますので、それは全体でもう一回長期的に見ていく。
     ただ、中間的には私はこれでいいのではないかと思います。
    島田会長代理
    妥当な考えですね。
     さっき田尻委員のおっしゃられたことはものすごく重要な点が2つ入っているんです。1つは、補助をして施設を運営し、そのサービスを国民に提供するというのと、税控除が二重になるというのは全くそうで、矛盾するのです。それからもう一つは、専業主婦はどうなるかという税の公平性の問題です。だから、税政策というか、税理論上は多分所得控除の話は極めて難しいと思います。議論することは自由ですけれども。
    樋口会長
    今までの税制や社会保障制度が、逆に専業主婦に軸足を置き過ぎてきたなという面も一方であるのです。
    島田会長代理
    そうです。それは家族制度の大前提みたいなものがあるんですよね。
    猪口委員
    保育料のことは田尻委員のお話でよくわかりましたが、やむを得ないときに民間のサービスを頼むときがあるでしょう。それは専業主婦だってだれだって頼むことがあるのです。それが控除できないかと、何か分けて考えることはできませんか。
    田尻委員
    それは割戻し制度というので時間1,500円とか、制度としてはありますよね。
    岩男委員
    それは時間じゃなくて1日1,400円ではなかったですか。
    島田会長代理
    それは住宅取得控除みたいなものだっていろいろなものが入ってきています。
    樋口会長
    そうですよ。住宅取得だってそういうことを言ったら持てる人にだけしかカバーできない制度ですよ。
    島田会長代理
    議論するという意味では全く余地がないわけじゃないから、一度は議論してもいいと思います。
    樋口会長
    そういうことも議論していますということは出して、ただここに今回書き込むというところまではいかないと思います。
    島田会長代理
    中間報告で、実現したいということの中にはなじむかどうかですね。
    樋口会長
    では皆様の御了承という意味では今のところ、報告の内容はほぼ90%か、気持ちとしては100%実現するものである。それから本当は広くいっていけば日本社会を子育て社会みたいなものに組み替えていかなければいけないのですけれども、そこの中で非常にシンボリックな代表性のある、そういう実効性のあるものをやっていこうということでこの中間報告はほぼ100%実現できるものを出していく。それで、もう少し言葉はわかりやすく直し、そして例えば育児休業などが父親も取れるようにするということをもうちょっと具体性をもって書き込むなどして、これからもう一度つくりますけれども、そこら辺は島田会長代理と御相談の上で私の方に一任させていただけないでしょうか。
     落とした方がいいというものはありますか。
    坂東局長
    今まで加えた方がいいという御意見はたくさんいただいたのですが、これは必要ない、これは削った方がインパクトがあるというものもちょっと聞いてみたいと思います。
    島田会長代理
    さっき財政措置をという話がありましたか。
    坂東局長
    モデル事業というのは伺いました。
    福武委員
    お任せしますけれども、モデル事業にするのではなくて、やるべきことはやればいいのではないかと私は思ったんです。
    猪口委員
    公立保育園の整備ということは、先ほど言ったようにちゃんと入れるんですよね。
    樋口会長
    公立保育園の整備という1項目でないにせよ、ここの書き方が公立をちょっと軽視しているように読めるとしたら、そこは書きぶりを変えます。
    島田会長代理
    会長はモデル事業についてはどうですか。
    樋口会長
    私はモデル事業はそんなに悪いことでもないと思います。モデル事業とかモデル地域ですね。
    福武委員
    例えば私が思ったのは公設民営などというのもモデルではなくて、これは標準形へ入れるという、そういうイメージなのです。
    樋口会長
    だから、公設民営の方はどんどん入ってきていいのです。
    福武委員
    そうですね。それ以外のモデル事業というのは余り考えられないんですよね。
    樋口会長
    私などはむしろモデル地域ですね。
    福武委員
    だとすると、最後の方の地域の話に入れていただいてもいいですね。
    猪口委員
    先ほどの総理大臣賞と同じなんだけれども、結局自分に関係がないと思う人が出てくるんじゃないかと思うのです。モデル地域というのはすばらしいのでしょうけれども自分と関係ないと。できるだけそうではない方向に、全員にこういう項目については恩恵があるという手法であった方がいいと思うんです。ですから、お任せしますけれども、総理大臣表彰と同時にその数値目標云々と岩男委員もおっしゃったようなことをちゃんと書き込むのはよろしいですね。今日この議論があったことは大体入るということでよろしいですね。
    樋口会長
    それは当然そうですね。
    島田会長代理
    福武委員がおっしゃった話について、もうちょっとよく読んでいただきますと、モデル事業が入っているのは2の最初の項目で、その項目は、整備拡充とともに保育サービスを充実するということなんです。抽象的なんですけれども、どういう充実の仕方があるのかということについてはこんなにいい考えがあるんだというのをやっているところをモデルとして支援しようかということですね。それで、公設民営型というのはその次のポイントですから、これは標準形として言っているわけです。
    樋口会長
    公設民営を一つのモデルとしてやっていくということではないです。それは多様性の一つであって。
    福武委員
    ただ、ここは量の問題ということをちょっと思ったものですから。量を広げていくという意味でのモデル事業なのか、質のモデルなのか、地域のモデルなのか。
    島田会長代理
    このモデル事業は3に入れた方がいいかもしれませんね。
    樋口会長
    これは具体的な例ですけれども、関西の方の和泉市というところは人口17万ぐらいの都市ですが、そこは公設民営で市が責任を持って社会福祉法人にやってもらっているんですけれども、そこは非常に流通業の多い地域なんですね。そうすると、和泉364という事業を始めているわけです。つまり、元日しか休まない、364日の保育を市の責任でやっているわけです。そういうところは私はそこがなぜできているのかということを分析する必要もあると同時に、ほかに手を挙げてやるところがあったら一つのモデル事業として支援するなど、そのようなイメージです。
    田尻委員
    同じところの3番目なんですけれども、学校の空き室を利用して保育に活用するという文面なんですが、これはイメージとして例えば学校の空いた教室に新たな保育園みたいなものをつくるとか、そういうことを指しているのですか。
    樋口会長
    それも一つですね。もちろん改造などしてですけれども。
    福武委員
    今、田尻委員がおっしゃったのは非常に重要な問題で、さっき申し上げたように地域、地方における縦型行政や、行政財産の問題ですから、その問題をやはりここに入れておかないと難しいでしょうね。
    樋口会長
    最後にまとめるときには管轄が違うでしょう。ですから、今日その部分ももうちょっと御議論いただきたかったし、次に控えてもいいのですけれども、まとめるときはやはりそれこそ森総理から御下問になった一つである、いろいろ今までも言っているのに日本ではなぜ両立支援が進まないのかについて、その分析はやはり「はじめに」のところにちょっと書きたいです。そのときにはこういう今の財産のことなどを書いておきたいと思います。
    島田会長代理
    田尻委員、学校の空き教室というところへ目がいかれたのでそういうイメージを持たれたんだと思うんですけれども、これは本当のことを言うともろもろの利用可能な公共施設は保育のために弾力的に活用するというところにウェートがかかっているんです。ですから、まさにおっしゃっていることを書いているわけで、もしこれを具体的に言うんだったら目的外使用をどうするとかという話になっていくわけてす。だから、まさに地方自治体で縦割りではなくて横同士でやりなさいということを書いているわけです。
    樋口会長
    それは制度的には一応できるということになっているのに、現場へ行くと硬直化していてうまく運用できていないわけですね。だから、そういうことなどがなぜ今までできなかったかということを少し分析的に書きたいと思います。
    島田会長代理
    本報告のときにはかなり詳しく書き込んだ方がいいでしょうね。適化法などの運用の問題もあるし、ノーアクションレターの問題もあるし、いろいろあると思います。
    田尻委員
    学校を使うという話は大分議論してきましたけれども、学校の空き教室を保育所みたいな感じで使っていくような話というのはありましたか。
    島田会長代理
    これは学校の空き教室に限らないんです。公共施設全般で例えばということを言っているわけですが、学校ということが目立ち過ぎてそこに目がいってしまうのでしょう。
    樋口会長
    これは学校というのが少し目立つのですから、「利用可能な公共施設は」でもいいです。
    島田会長代理
    そういうことだったら消した方がいいかもしれないですね。読んだ方がそういう印象に取られるとすると。
    樋口会長
    その方がいいかもしれませんね。学童のことがありますからね。
     ただ、なぜおっしゃったのか聞きたいんですけれども、空き教室は使いたくないと思っていらっしゃるんですか、使いたいと思っていらっしゃるんですか。
    田尻委員
    直接的に私は学校の空き教室そのものを保育所にというのは今までイメージしたことはないので即答はできないですけれども。
    樋口会長
    幼稚園などというのはそうして公立幼稚園を結構つくってきたんです。
    田尻委員
    まるまる保育所というのはいいですけれども、従来かなり環境の違う学校という場に本当にゼロ歳からの生活の場の一角をきちんと形成するということの区分け、人的なもの、施設的なものの区分けというのがどうなのかなというのは、私の頭では即答できないんですけれども。
    島田会長代理
    学校とケア施設の共存を随分やっているでしょう。だから、いろいろなことをやっているわけですよ。
    樋口会長
    中央区で一時評判になったところなどは、中学校と保育所と老人ホームと、それから今で言うところの在宅支援センターを合築していて、そういうようなところも随分あります。
    福武委員
    中央区もそうですけれども、5番にあるファミリーサポートセンターの整備などというのも私は今の田尻委員と一緒で、要するにできるだけ地域で子どもたちに対応していこうということですから、それを余り拡散しない方がいいんじゃないでしょうか。
    樋口会長
    いろいろ大変御意見をいただきまして、全部が盛り込めるかどうかは私も本当は自信がないんですけれども、部会長代理と、それから事務方とも打合せをしながら、書いた限りはまず100%実現してもらわなければ困るというぐらいの勢いで少しまとめてみたいと思います。まだこれで終わるわけではございませんし、御議論のあったことは最後に列記するというふうにいたしたいと思いますけれども、それで御了承いただけますでしょうか。

    [異議なしの声あり]

    樋口会長
    そういうことで30分延びましたが、今後については、私の方から、中間報告を4月3日に開催される男女共同参画会議で御報告申し上げまして、会議の議員にその場で御意見もいろいろいただくようになるんだと思います。ですから、岩男委員と猪口委員はメンバーですからもうおわかりいただいているんですけれども、あとの男女共同参画会議の特に閣僚の方々がどういう御反応かというのは、やはり行って聞いていないとわかりませんから、そういう反応も含めて次回皆様にも御報告して更に論議を進めたいと思います。
    樋口会長
    それから、議事録がお手元にいっていると思います。議事録は皆様から特別に御異議がなければ、内閣府のホームページ等で公開しておりますのでよろしくお願い申し上げます。
     次回の専門調査会については、恐らく皆様の御都合を今お問合せ中だと思います。それらがまとまりましたら、4月3日にどうであったかという御報告も含めまして是非また全員出席に近い形で御参集いただきたいと思います。
     今日は30分以上も延長いたしまして誠に申し訳ございません。でも、いろいろな御意見をいただきまして大変うれしく、かつ楽しいことでございました。これからもこの会は楽しく激論を続けていきたいと思います。どうも本当にありがとうございました。

(以上)