- 日時: 平成21年5月18日(月) 15:00~17:00
- 場所: 内閣府庁舎3階特別会議室
(開催要領)
- 出席者
- 会長
- 羽入 佐和子 お茶の水女子大学学長
- 会長代理
- 鹿嶋 敬 実践女子大学教授
- 委員
- 伊藤 公雄 京都大学大学院文学研究科教授
- 同
- 岩井 宜子 専修大学大学院教授・副院長
- 同
- 大熊 由紀子 国際医療福祉大学大学院教授
- 同
- 大隅 典子 東北大学大学院教授
- 同
- 岡本 直美 日本労働組合総連合会副会長
- 同
- 帯野 久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
- 同
- 勝間 和代 経済評論家・公認会計士
- 同
- 加藤 さゆり 全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
- 同
- 河野 真理子 株式会社キャリアネットワーク代表取締役会長
- 同
- 五條 満義 東京農業大学准教授
- 同
- 坂本 純子 特定非営利活動法人新座子育てネットワーク代表理事
- 同
- 桜井 陽子 財団法人横浜市男女共同参画推進協会理事
- 同
- 佐藤 博樹 東京大学教授
- 同
- 辻村 みよ子 東北大学大学院教授
- 同
- 林 陽子 弁護士
- 同
- 松井 忠三 株式会社良品計画代表取締役会長(兼)執行役員
- 同
- 山田 昌弘 中央大学教授
(議事次第)
- 運営規則について
- 現行男女共同参画基本計画の概要等について
- 本専門調査会における議論の進め方について
- 自由討議
(配布資料)
- 資料1
-
男女共同参画基本計画の改定について(男女共同参画会議資料) [PDF形式:129KB]
- 資料2
-
本問題・計画専門調査会委員名簿 [PDF形式:112KB]
- 資料3
- 男女共同参画社会基本法(抄)
- 資料4
- 男女共同参画会議令
- 資料5
-
基本問題・計画専門調査会運営規則(案) [PDF形式:55KB]
- 資料6
-
男女共同参画基本計画(リーフレット) [PDF形式:350KB]
- 資料7
-
男女共同参画の取組と現状 [PDF形式:1800KB]
- 資料8
-
男女共同参画基本計画改定の進め方について(案) [PDF形式:218KB]
- 資料9
-
答申の構成について(案) [PDF形式:139KB]
- 資料10
- 第42回基本問題専門調査会 議事要旨
(議事の概要)
「基本問題・計画専門調査会」と名称を変更してからの第1回目の調査会として、各委員の自己紹介、規定等の確認・承認が行われ、鹿嶋委員が会長代理に選出された。
事務局より資料に沿って現行計画や男女共同参画の取組と現状、計画改定の進め方について説明後、新しい基本計画の枠組み、方向性についての議論を行った。
○意見交換の概要
【答申の枠組みについて】
- 2次計画の12の重点分野についてはこだわる必要がないのではないか。それぞれなぜ特出しすべきか議論し直すべき。
- 12の重点分野について、北京行動綱領、ミレニアム開発目標に合わせる必要はないが、これらが資料としてあった方が議論しやすい。
- 従来の枠組みにはこだわらず、これから重要と考える柱について議論していくべき。
- 計画の対象期間については社会的な状況の変化を見つつ、設定する必要がある。「2020年までに30%」という目標があるが、2015年までにターゲットを置くのであれば、特定の分野においては短期の数値目標を設定してもよいかもしれない。取組を推進しやすい効果的な方法論を議論する必要がある。
- 男女共同参画社会基本法に基づき、基本計画ではその理念を時代に合わせて具体化するための方策を考えるに当たっての方向性を議論するべき。
【計画における重点事項について】
- 生活困難などは今回の改定においてかなり大きな目標の1つになってくると考える。
- 今、生活困難やニート、在住外国人の問題などがあり、ソーシャル・インクルージョン、誰も排除しないという視点での取組が必要ではないか。そうした視点がないと男女共同参画に積極的にアプローチする層ではない人、男女共同参画に無関心な人たちへの影響が出しにくくなるのではないか。
- 以前は、未婚女性はほとんど正規雇用だが、結婚すると非正規雇用が多くなっていた。しかし最近では未婚者で非正規が増え、既婚者で正規が増えるという状況になっている。ここ10数年の間の男女雇用機会均等法の効果について考えるべき。
- 共働きについてみると、男性が高収入の場合の共働き率は変わっていないが、夫が低収入の場合の共働き率が非常に上がっている。同じ共働き家庭でも収入の違いによって相当意味が違ってくるので統計自体の取り方、見せ方も変えるべき。そして、これまで男性も女性も全員が正規雇用され、能力を発揮して収入が高くなるという前提に立っていたが、それが本当に可能なのか考える必要がある。
- 3次計画の柱として社会保障を加えてほしい。雇用分野、教育分野、家庭分野いろいろあるが、社会保障における男女共同参画はあまり議論されてこなかったのではないか。男性は皆正社員になれるということを前提にした社会保障制度が、今成り立たなくなっていることが様々な問題を生み出している。
- 社会保障の分野は重点事項に入れてほしい。社会サービスの受け手としておばあさんが非常に多くなるという問題、女性が多い看護や介護の仕事の待遇が非常に悪いという問題についても取り上げるべき。
- 社会保障における男女共同参画という視点は重要。地域のマジョリティである普通の女性にとって、男女共同参画は自分には関係のない一部の人の話と捉えられている。貧困は人権を侵していくリスクがあるので、貧困層という可能性が足下に及んでいる人たちが地域にたくさんいることを視野に入れ、重点を置いて計画で議論する必要がある。
- 片働き世帯の子ども2人というのが相変わらず国の標準モデルになっている。そのしくみを変えていくところまで影響力を持つ男女共同参画が問われているのではないか。
- 若い人の中で専業主婦志向が高まっているが、今までの男女共同参画の進め方についてこられない人が出てきているのではないか、男女共同参画は高学歴で頭がいい女性のためのもので自分とは関係がないと感じる人が増えてしまったのではないかという懸念がある。
- 指導的地位に占める女性の割合を増やしていくことは当然重要だが、普通の女性たちが働き続けられ、能力をきちんと発揮できるようなシステムを考えないと裾野が広がらない。大学進学率が高まる中、女性の正社員の中でも総合職になりたくないというような二極化が進んでいる。女性の働き方やキャリアに対する考え方についての検証も必要。
- 計画のメッセージ性を出す上で、ダイバーシティ・マネジメント、多様性という切り口の重要性が増していると感じる。理念の具現化が必要。
- メディアにおける男女共同参画推進の取組は、ほとんど何もできていないという状況。メディアについては広報の在り方の問題とも併せてこれから議論を深めていくべき重点ポイントの1つ。
- メディアの分野では、現場に近いところや決定権を持つ立場にもっと女性を配置すべき。
- このままの進み具合ではとても2020年30%とならないだろう。国際的な動向について、ルワンダで成功したクォータ制などの事例を含め、議論していく必要性があるのではないか。
- 国連から出されている様々な勧告への対応についても考えるべき。
【計画の推進体制について】
- メディア、国民への浸透についても考えるべき。発信するメッセージをシンプルにして、専門家の議論ではなく、メディアや国民への見せ方を工夫することが重要。
- 計画で具体化された施策の実効性を上げていく上での推進体制について、具体的施策の担当部署として窓口となるところだけ記載されていたり、関わりが多いものになると全府省と記載されているが、計画の実効性を上げ、連携を促すために担当部署の窓口だけでなく連携する部署も書いたり、行政だけでなく、協力を要請していくような団体があれば明記すべきではないか。
- 男女共同参画の推進によって政策効果が上がったかどうかを杓子定規に捉える傾向がある。例えば女性が初めて農業委員になって、従来とどのように取組が変わったのか、その政策効果について問われることがある。政策効果に直結する、しないは別にして、まずは人権問題を解決していくところから考えるべきレベルのこともある。政策課題が問われる場合なのか、問われるというより進めることが前提の場合なのか検討していく必要がある。
- 政策効果を常に求める傾向にくさびを打ってほしい。政策効果ではなくて、人権上の考えとして男女が平等にとらえられるべきであるという視点をもって提案するものも打ち出すことができればよい。子育ての問題、ワーク・ライフ・バランスについても、効率性の観点で母親が行う方がよいということがいわれるが、まず父親、母親、両方の性から育んでいくということが基本的な考え方であり、効率性や効果だけでなく基本的な考え方として、まず前提を大切にするという視点を書き込むべき。
- これから重要になってくるのは実効性。計画を実現するためのアクションプランを打ち出していく必要がある。
- 男女共同参画を浸透させていくためには、「WHAT(何を)」ではなく、「HOW(どうやって)」という推進体制の部分が重要。重点事項の検討と同じくらい時間をかけて議論すべき。
(以上)