- 日時: 平成20年12月24日(月) 13:00~15:00
- 場所: 内閣府庁舎5階特別会議室
(開催要旨)
- 出席者
- 会長
- 袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授、東京家政学院大学客員教授
- 会長代理
- 鹿嶋 敬 実践女子大学教授
- 委員
- 伊藤 公雄 京都大学大学院文学研究科教授
- 同
- 帯野 久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
- 同
- 加藤 さゆり 全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
- 同
- 河野 真理子 株式会社キャリアネットワーク代表取締役会長
- 同
- 坂本 純子 特定非営利活動法人新座子育てネットワーク代表理事
- 同
- 桜井 陽子 財団法人横浜市男女共同参画推進協会理事
- 同
- 住田 裕子 弁護士
- 同
- 田中 和子 国際基督教大学教授、ICUジェンダー研究センター長
- 同
- 辻村 みよ子 東北大学大学院教授
- 同
- 平野 治生 財団法人日本広報センター理事長
- 同
- 山田 昌弘 中央大学教授
(議事次第)
- 男女共同参画基本計画(第3次)の策定に向けた意見交換
(配布資料)
- 資料1
- 男女共同参画基本計画(第2次)
- 資料2
-
男女共同参画基本計画(第2次)フォローアップ結果についての意見 [PDF形式:263KB]
- 資料3
-
地域における男女共同推進の今後のあり方について [PDF形式:1540KB]
- 資料4
-
施策・事業の推進に際して必要なこと及び障害(地方公共団体及び男女共同参画センター等に対するアンケート調査結果) [PDF形式:118KB]
- 資料5
-
地域における男女共同参画推進の今後のあり方について(中間整理)意見募集結果について [PDF形式:16KB]
- 資料6-1
- 基本問題専門調査会 第39回議事録(案)
- 資料6-2
- 基本問題専門調査会 第40回議事録(案)
- 資料6-3
- 基本問題専門調査会 第41回議事録(案)
(議事の概要)
第3次男女共同参画基本計画の策定に向けて、重点課題として盛り込むべき課題、第2次基本計画から見直し又は深化させる必要がある課題、社会情勢の変化に応じた課題について、また、男女共同参画の推進体制等について意見交換を行った。
○意見交換の概要
【第3次基本計画における重点課題等】
- これまでの経緯や成果、問題点を分析し、第2次計画の内容に縛られない新たな整理が必要。
- 基本法施行後の10年間は、男女共同参画の理念を周知する段階だった。セカンドステージは、男女共同参画が実際に役立つことを示す段階。まずそのことを書きつつ、そのセカンドステージがどうあるべきかを盛り込むことが、第2次計画との差別化の出発点になる。
- 社会的性別の視点は第1次計画から共通する基底部分であり、第3次計画にも入れるべき。
- 政治団体、政党など政治分野でのポジティブアクションを積極的に進めるべき。強制力のあるクオータ制以外にも、女性候補者が一定比率を超える場合には政党助成金を増やす等の手法があり、憲法違反等といったポジティブアクションに対する誤解を正すことも必要。
- 女性研究者は増えているが、任期付きの雇用が多く不安定。女性比率は依然として低い。
- 医師と研究者の明確な位置づけが必要。理系研究者は男女比率の差が著しく、中学・高校教育段階からてこ入れが必要。私立大学も含めた大学全体の意識啓発・取組の強化が必要。
- 女性の高等教育進学率の向上が女性の社会参画を後押しする。日本は世界の流れからみて進学率が低く、改善が必要。→日本では短大があり、欧米と違い背景が複雑。短大を含めると大学進学率に男女差はない。
- 理工系出身の女性を切り口にして、専門性を持った女性が経営に携わり活躍することを推進するべき。
- 正社員になることや組織に入ることを前提にせず、女性の様々なチャレンジへの支援をきめ細かく充実させていくべき。男女共同参画センターやハローワーク等だけでなく、地域の商工団体、コミュニティビジネス、NPO等との連携が必要。
- 経済情勢の変化に応じた再整理が必要。機会が均等になり、共働きになればうまくいくというのはバブル期の状況を引きずった考え方。仕事と家庭生活の両立支援も、誰もが正社員になれることが前提になっている。正社員でさえも雇用が不安定であるという状況を前提とした施策のあり方を考える必要がある。
- 厳しい経済情勢を背景に、企業が女性の処遇向上その他のCSRから手を引き始め、また、女性が雇用の調整弁に使われ始めている。女性の労働力率、非正規社員の比率、育休取得率等がこれ以上悪化しないよう、今の動きを監視する必要がある。
- 女性の収入は、男性の収入減を補えるほど増えていない。
- 現状にとらわれすぎた計画では、施策展開で不都合が生じないか。現実は踏まえた上で、雇用が安定して長期ビジョンが描けるような働き方など、あるべき姿をもとに書くべき。
- 今の危機は好機の裏返しであり、危機だからこそ明らかになってきたことがある。10年、20年先を見据えて、日本の仕組みを変えるようなビジョンがほしい。
- 不況になれば、小規模なビジネスにも注力すべき。女性が出て行く機会が増え、裾野を広げていく役割を効果的に果たせる。
- 男性の仕事と家庭の両立支援は、言葉や意識は広まったが、地域や家庭でどのように実践するかという具体的なノウハウがない。制度の整備・運用だけでなく実践につながる支援が必要。
- 男性に多い自殺や鬱、男性が罹りやすい生活習慣病、高齢男性の孤立等の問題について、ジェンダーの視点に立った施策が必要。男女共同参画が男性にとっても役立つというメッセージを打ち出すべき。
- 男女共同参画だから全ての課題について男女を俎上に載せる、ということにはならない。男性向けの取組には、ジェンダーの視点をどう入れていくかをきちんとしておかなければならない。それがなければ、なぜ男女共同参画の側で取り組む必要があるのかということになる。
- 地方では企業誘致や産業創出が難しくなっている。女性が得意とする分野である地域おこし、まちづくり、観光、環境等は第3次計画の中で新たな項目を立て、地域の産業創出や雇用創出として位置づけるべき。
【男女共同参画の推進体制、連携のあり方、広報等】
- 国、地方公共団体とも、関係する省庁・部署が一体となって一つの問題に当たれるような行政内部の新たな連携のあり方が必要。現状では縦割りが改められていない。
- 男女共同参画が政策としての比重が下がっているという懸念がある。国や地方公共団体は、少ない予算でいかに効果的に施策を実施するかを本気で考えなければならない。
- 男女共同参画会議や専門調査会が、他の重要政策会議に対して迅速な提言・発信ができるようなスケジュールを組むことが必要。
- 大学を推進体制の中で位置づけるべき。4年制大学と大学院の女子学生を増やすと同時に、女性のポテンシャルを社会的に浮上させる仕組みとして、大学、地方公共団体、企業等によるネットワークづくりが必要。
- NPOの中間支援団体には、まだ男女共同参画の視点がない。男女共同参画に関してNPOの中間支援組織との連携が必要。
- 男性の相談先が地域にない。女性の相談員には話しにくいこともあり、男性の相談員の育成も必要。
- 男女共同参画センター等は低賃金で女性を働かせる仕組みになっている。男女共同参画センター等から、女性の同一価値労働・同一賃金や生活できるような賃金の仕組みについて議論していくべき。
- 男女共同参画センター等の女性職員の低賃金は問題だが、それは自治体の設計の問題ではないか。
- 男女共同参画の意義と具体的な制度の活用も含めた広報が必要。1~2年間、広報に特化した取組ができないか。
- マスコミが報道してくれるのを期待するのではなく、報道してもらうための計画的な広報が必要。
- 広報では、関係者が普及に関する目標を定め、その目標を実現するためのアクションプランが必要。
- 夫婦別姓等の問題が進展しないのは、政治情勢や国民の意識の問題。繰り返し説明して理解を求めるしかない。いつも出てくる反対意見には、理論的に反論できるようにしておくべき。
- 男女共同参画に反対する風向きが変わりかけており、議論がおとなしくなってきた。国際的な流れを国内に周知することで男女共同参画の必要性を知らしめるような広報の方策を考えることが必要。
- 「男女共同参画が家庭を崩壊させる」という議論が男女共同参画への反対のベースになっている。家制度の問題があり難しいが、多様な家族のあり方を認めたうえで、家族政策としての男女共同参画を提案していくことが反論になる。
- 民間の取組に内閣府が加わると相乗効果が生まれる。そのような官民で盛り上げる機会を増やすべき。
- 男女共同参画が本当に必要な人(例えば母子家庭の母親)に届いていない。第2ステージの具体的な課題解決のための施策が届けるべきところに届くように、施策が見える計画であるべき。
- 各省からのヒアリングは早い段階で実施するべき。また、委員の意見も踏まえて事前に設問を作ったうえで実施するべき。
- 現場のヒアリングを実施し、第2次計画の数値目標が進展してどのようないいことがあったかを聴き、そうした成果をたくさん挙げ、男女共同参画のプラスイメージを示すとよい。
(以上)