先輩からのメッセージ

- 都河 明子 さん
- 東京医科歯科大学・教授, 国際女性技術者・科学者ネットワーク(INWES)東アジア代表&日本支部会長
- 研究分野:科学教育、国際教育、科学とジェンダー
理学系分野を選択した時期・理由
小さい時からオタマジャクシがカエルに、そしてアオガエルからはアオガエルしか産まれないことが不思議でした。 小学5年生の夏、外科医だった父が庭でガマガエルを解剖し、私は取り出した臓器等を写生していきました。 最後は父の方が夢中になり、酢で煮てきれいにした骨を黒い画用紙の上に組み立てていきました。 一日座り込んで夢中になっている我々を母は驚いていました。私はこの父から忍耐強さとじっくり筋道を立てて考える ことを教わりました。そして、遺伝の本質であるDNAが見つかり、新しく始まった学問の分子生物学を専攻しました。
現在の仕事(研究)の魅力やおもしろさ
- 東京大学理学部生物化学科卒。
- 東京大学医科学研究所文部技官・助手(生化学、分子生物学の研究)
- 外資系製薬会社研究開発本部・企画部課長(抗がん剤等の新薬開発)
- 東京大学理学部・講師
- 東京医科歯科大学・教授
東大医科学研究所では、最先端の機器に囲まれ分子生物学の研究を続けましたが、 途中で周りを見回すと男子同級生が昇進していく中、私は助手止まりでした。 そこで英語で履歴書を書き、外資系の製薬会社に送ったところ、課長で採用してくれ、 企業戦士を体験しました。当時は転職などなかった時代でした。その後、本社が売りに出すというので、 東大、そして東京医科歯科大学と公募に応募し、現在にいたっています。
会社に移った当初は分子生物学の研究に未練がありましたが、世の中の広さにびっくり。 大学での研究、企業でのマネージメントを経験し、それぞれの職での面白さを体験しました。 現在、今まで全ての経験が役立っていることを感じています。
女子中高生・女子学生の皆さんへのメッセージ

私は国際女性技術者・科学者(INWES)の日本会長をしています。INWES Japanは、日本女性技術者フォーラムと女性技術士の会員で運営されています。
1920年に設立され、現在約40ヶ国が参加しているINWESは、女性技術者・科学者が日頃の研究成果を国際交流の中で発表する場を提供したり、後輩の若い女子学生に理工系の楽しさを伝えるなどの社会貢献をしています。
2006年4月INWES Japanは、文部科学省の要請を受け、 理系進学を考える女子中高校生たちに働く自分の将来像をイメージするヒントにしてもらおうと、 DVD"理系に行こう!-You can do anything-" を作成しました(写真参照)。 30歳台の若い女性技術者や研究者8人が、東京湾埋め立て工事、環境を守るための植物調査、化粧品の開発研究等の仕事場等で活き活き働く姿を紹介しました。ご希望の方にお分けできます(問合せ FAX:03-5283-5860)。

また、8月には"理系に行こう!-女子中高校生のための理系案内"の本を発行しました(写真参照:九天社、1,800 円)。 理系が好きな皆さんに、自信を持って理系に進んでもらうよう、先輩方のメッセージを盛り込みました。また、 理系のさまざまな職業を紹介しています。
日本はこれから少子高齢化になり、若い労働力が不足します。今まで十分活用されなかった女性技術者や科学者のパワ-が 活かされる時代がこれから来ると大いに期待しています。
最後に、若い皆さんに3つのチャチャチャを贈ります。
- Charge: まず充電(実力や技術をつけて・・・・)
- Chance: 機会があったら逃さず
- Challenge: 挑戦してください。