先輩からのメッセージ

- M(仮名) さん
- 独立行政法人家畜改良センター
- 技術部技術第一課係長
牛の胚移植、牛胚の超低温保存等に関する応用技術の開発や実用化を行っています。また、これらの技術の普及活動として国内技術者、開発途上国の技術者に研修を実施しています。日本畜産学会、日本繁殖生物学会等、複数の学会や研究会の会員になっています。
農学系分野を選択した時期・理由
大学の卒業論文として豚及び牛の体外受精技術に関する実験を実施したとき、自分の目で初めて豚胚及び牛胚を観察しました。直径約0.15mmの胚がやがて子供に育つとは大きな驚きでした。さらに胚移植技術によって、人工的に子供を産ませることができることに感動しました。幸い在学中に、家畜の胚移植業務を行うことができる資格の取得講習会が国内初として大学で開催され、資格を取得できました。結果的に、この時期が理工系分野の職業を選択したきっかけとなったと思われます。
現在の仕事(研究)の魅力やおもしろさ
全国では5.6万頭の牛に胚移植が実施されており、この規模は世界の10%を占めています。
移植を受ける牛の頭数が少ない日本では、使用される胚の種類も、70%が一旦保存された状態である凍結胚です。この状況が日本の胚移植技術をトップレベルにしていると考えられます。一方で、1回に移植された牛の半数しか妊娠しません。できるだけたくさんの牛が妊娠し、1頭でも多く子牛が生まれることが生産現場で求められています。そのため、多くの子牛を作れるよう胚移植技術の向上に努め、できるだけ生産現場の役に立ちたいと思っています。また、国内、海外を問わずこの技術を正しく普及することにもやりがいを感じています。
女子中高生・女子学生の皆さんへのメッセージ
家畜改良センターでは、男性・女性の区別なく同じ業務に就くことができます。この数年は、採用人員の男女比率がほぼ同じか、女性が多い場合もあるくらいです。このまま進めば、男女ともに職場に存在することが当たり前になるのだろうと考えられます。女子学生の皆さん、今まで理工系分野の就職は男性が多数を占めていたかもしれませんが、興味があれば遠慮することなくぜひ就職を考えてください。きっと道は開けるでしょう。