先輩からのメッセージ
- 杉本結花さん
- 学生サイエンスコミュニティCurioSeeds企画運営担当
横浜国立大学大学院 理工学府 博士後期課程3年
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自己紹介
みなさんの身の回りの化粧品、医薬品、食品添加物などの安全性は、これまで動物実験で調べられてきましたが、近年はヒト細胞を使った実験で調べることが求められています。私は、化粧品が皮膚アレルギーの危険性があるかどうか調べるために、ヒト皮膚と免疫細胞を試験管で培養したモデルを開発する研究をしてきました。
研究の面白さ、進路選択で不安だった私自身の経験が、次世代のみなさんにとって役立つ情報になれば嬉しいです。
【研究キーワード】皮膚アレルギー、免疫毒性評価、化学物質の安全性
【所属学会】日本動物実験代替法学会、日本毒性学会
【主な論文】 Appl. Sci. 2022, 12(12), 6207, Toxicol. In Vitro. 2025
【顕彰】2024年度YNUWIN優秀賞、2019年YNU CREATES論文賞
理工系分野を選択した時期・理由
高校1年の生物、特に人体機能について学んだ際の「自分の身体ではこんなことが起こっているんだ!」という驚きが理工系を選ぶきっかけでした。このとき初めて、テストや受験のためでなく、自分の好奇心だけで勉強できました。正直、私は数学が不得意でしたが、学校の授業で「なんでだろう?」という疑問をたくさん感じた生物を深く知りたかったので、理系に進みました。
その後、大学3年のときに化粧品問題が世間で起こり、「化粧品や医薬品がどうして人体に影響を与えるのか?」をもっと知りたいと考え、研究室を選びました。そして研究が面白く、博士ってかっこいいかもという単純な憧れもあり、大学院に進むことにしました。
現在の仕事(研究)の魅力やおもしろさ
「化粧品の安全性を調べる試験法」という研究分野は、国内外の化粧品企業にとって重要な研究です。そして製薬企業や食品企業にとっても応用できる研究です。自分の研究が多くの人たちにとって実際に必要とされるものだと意識することで、「こうすれば上手くいくかも」というアイデアが浮かび、わくわくします。
研究において、実験結果から将来どんなことに役立てることができるか提案することはとても楽しいです。他ラボや企業との共同研究に参加したり、学会で交流したりすることで、研究をさらに広めることができます。
また実験では上手くいくことの方が少なく、落ち込むことも多いですが、【失敗した原因を考えて次の実験を計画する】ことを続けていると、そのうち打たれ強くなります。これは研究以外の生活でもちょっとの失敗ではへこたれず、「次はこうしてみよう」とポジティブな考え方ができるようになり、おススメです。
女子中高生・女子学生の皆さんへのメッセージ
「どうしてだろう?」と自分なりに考えたり、調べたりすることが好きな人は、研究に向いていると思います。「理系に進みたいけどついていけるかな」、「女子が少なそう」など色んな不安があるかもしれません。実際、私自身も誰に相談すればいいかも分からず、不安が残ったまま決めてきました。今は進んで良かったと思っていますが、過去の自分がもっと自信をもって、安心して進路選択をできたら良かったと感じています。 なので、みなさんはぜひ色んな人の経験談を聞く機会を増やしてほしいと思います。学校だけでなく、大学で開催される中高生向けのイベント、研究者の講演会や企業の研究イベントなど、情報を駆使して参加・交流してみてください。多種多様なお話を聞くことが自分のしたいことのヒントになると思います!