• 小池　あゆみ　さん
• 神奈川工科大学
  工学部応用化学生物学科 教授
  専門：生化学／タンパク質工学で、
  生体内の化学反応の制御をしているタンパク質の構造と機能を研究しています。

高校の文理選択のとき、将来なりたい職業として裁判官や検察官の仕事をイメージして最初は文系と友人に話したことを覚えています。でも、なぜかしっくりこないと感じ、自分の好きなこと、ワクワクすることは物理や化学、数学だと思い直し、理系を選択しました。幼い頃は、光ったり音が鳴るおもちゃの中がどうなっているのかが気になり、新品を分解ばかりして遊んでいました。直せるように壊すなら、分解して良いと言ってくれた父の言葉はよく覚えています。大学は工学部応用化学科で学びましたが、受験会場で女子学生があまりに少ないことに初めて気付いたくらいで、余計なことにとらわれず自然に選んだ進路だったと思います。

大学を卒業した後は自動車メーカーに女性総合職一期生として入社し、配属された研究開発部で「生化学」という分野に出会いました。生物の中で行われる精緻な化学反応の制御機構に魅了され、実験結果で真理を追う研究という仕事にもやりがいを感じ、博士号も取得しました。技術を人間社会に役立てる視点をもつ工学は、私のしたいことだったとその頃やっとわかったように思います。大学で生化学の研究を教える今の仕事は、自分の研究だけでなく、たくさんの技術者を育てることでも社会に貢献できる仕事だと思っています。

みなさんの未来の可能性は無限に広がっています。選択に迷うような岐路では、しなかったことを後で後悔しないよう、やってみたいと思うことにチャレンジする方の選択肢を選んで欲しいなと思います。その気持ちを応援したいと思う人がきっと周囲に現れ、自分の想像していなかったような景色に遭遇できるかもしれません。計画通りにいかないことも楽しいと思える、そんなたくましさがさらに可能性を広げてくれると思います。