先輩からのメッセージ

- 上田 悦子 さん
- 奈良工業高等専門学校
- 電子制御工学科 教授
- 研究分野:ロボット工学、動作解析
- 研究内容:美しく、エレガントに動くためにはどのように身体を使えばいいのかに興味を持ち、アジア古典舞踊のダンサーや優美な所作が出来る人たちの動作解析を行っています。また、美しく動くための身体の使い方を見つけて、ロボット動作の生成時に応用することで、美しく、エレガントに動くロボットシステムを実現する事を目指し研究を続けています。
- 所属学会:日本ロボット学会
工学系分野を選択した時期・理由
中学2年時数学担当の先生と授業以外でも話がしたくて、問題を解いては質問に行くうちに数学が好きになり、成績も上がって、得意科目となりました。そして「コンピュータ関係の仕事は時代の最先端でかっこ良さそう」となんとなく思っていました。コンピュータという言葉に憧れていたのかもしれません。
中学3年生になり、廊下に貼っていたポスターで「高専」という学校の存在を知りました。また、そのポスターには、ディスプレイを前にしてプログラミングする学生の姿が写っていました。そのポスターをみて、将来の夢を実現する手段が、意外と近くにある事に気がつき、高専への進学を決めると同時に、理系への道を走り出しました。
現在の仕事(研究)の魅力やおもしろさ
現在の仕事は、メカトロニクス技術者・研究者を目指す学生の教育と研究活動が中心です。自分の知識や経験を後輩達に伝えていくことが大きな役割ですが、教え子の中からすばらしい技術者・研究者が生まれ、そして将来の世界を変えていってくれることがとても楽しみです。また、教え子達が「15歳での理系進路選択は間違ってなかった」と思えるように育てていくことが、この仕事のやりがいともなっています。
私は、高専卒業後すぐに電機メーカーに就職し、電気系CADシステムのソフトウエアを開発していましたが、出産・育児のため退職しました。しかし、職場の上司の計らいでフリーの在宅プログラマとして二人の子どもを育てながら仕事を続けることができました。途中、母校で技術補佐員の仕事を頂き、アカデミックの世界を知ることになり、それをきっかけに再度高専専攻科・大学院へ進学して学位を取得、教員へとキャリアを重ねてきました。ソフトウエア開発という理系の進路を早くから選択していたことで、様々なチャンスに巡り会えたと思っています。これも理系進路選択の一つの魅力です。
女子中高生・女子学生の皆さんへのメッセージ
大人になって「あの時やっておけばよかったなぁ」という後悔をしないように、自分がやりたいと思った事には、是非トライしてください。もしうまく行かなくても、自分で選択した事に対しては納得がいくはずです、そして経験値も上がります。
男性に比べて女性はキャリア形成に出産・育児や介護等のライフイベントの影響が大きいですが、夢や希望を持ち求め続け、生き方や働き方にしなやかな柔軟性を持たせることで、目の前に現れるチャンスの数も増え、そしてそれらを手にすることができるようになりますよ。