先輩からのメッセージ
- 山下 敦子 さん
- 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 教授
- 分野:構造生物学
- 内容:タンパク質の立体構造を調べ、そのタンパク質が機能する仕組みを明らかにする。
- 所属学会:日本生物物理学会、日本結晶学会、日本味と匂学会
- 主な論文:Science 322, 1655 (2008), Nature 448, 952 (2007),Nature 437, 215 (2005), EMBO J. 22, 1529 (2003),PNAS 95, 4876 (1998)
- 顕彰:2009年文部科学大臣表彰 若手科学者賞
保健系分野を選択した時期・理由
小さい頃から算数や理科が苦手で、自分はいわゆる文系人間だと思っていました。(多分今でもそうだと思います。)でも、理科の実験の時間だけは大好きで、中学の終わり頃には、こんな楽しいことを1日中できるならどんなに素晴らしいだろう、と漠然と考えていました。大学は農学部に進学し、当初就職するつもりでいたのですが、就職に失敗して、博士後期課程に進学しました。そこで研究の面白さを知り、そのまま研究の道に進みました。実は、それでもまだ本当に自分がプロの研究者としてやっていけるのかずっと迷いがあったのですが、いくつかの素晴らしい仕事、素晴らしい研究者や仲間に巡り会い、研究の苦しみと喜びを深く知っていく中で、このまま研究を続けていこうとようやく覚悟を決めたのは、30代半ば頃のことです。
現在の仕事(研究)の魅力やおもしろさ
私たちの命は、体内にある多くのタンパク質がそれぞれ機能することで成り立っています。タンパク質は目では見ることができないとても小さな分子ですが、X線などを使って立体構造を調べてみると、そのタンパク質がどのような仕組みで機能しているのか、「目で見て」形から理解することができます。命の営みを支える多くの生体反応の1つの小さな営みが、なぜどのようにして起こるのかを深く知ることができることが魅力です。
タンパク質は、その機能を果たすために、実に精巧に設計されています。構造解析をしてみると、なにかしら「なるほど、こんなふうになっていたんだ!だからこうなるのか!」という感動に出会います。人の考えには及ばない自然の叡智を感じます。
女子中高生・女子学生の皆さんへのメッセージ
やってみたいことがあるなら、まずはチャレンジしてみてはいかがでしょう。きっとそこから道が拓けることと思います。