先輩からのメッセージ
- 吉田 由香里さん
- 日本宇宙生物科学会
- 群馬大学重粒子線医学研究センター助教
- 専門分野は放射線生物学です。放射線(とくに重粒子線)がん治療のための生物研究や宇宙放射線の人体への影響などについて細胞やマウスを用いて基礎研究を行っています。
理工系分野を選択した時期・理由
高校時代から“がん”に興味を持ち、卒業時に医師を目指すか研究者を目指すか迷いました。「じっくり物事を考え理解すること」が好きなので、研究職を目指し、“がん”のメカニズムや治療法の開発に携われる進路を歩んできました。
現在の仕事(研究)の魅力やおもしろさ
大学教員の仕事は、教育と研究です。学生たちとともに成長していけるという環境は、教育職の醍醐味だと思います。私は、大学在学時、がんの増殖にかかわるタンパク質の結晶構造解析のため、放射線を用いていました。この経験が放射線生物学という分野に入るきっかけとなったわけですが、“がん”をターゲットに研究を進めるうちに、放射線は宇宙研究にとっても重要な因子であることを知りました。それと同時に、結晶構造解析も宇宙実験で重要な課題であることを知りました。
一見、関係ないと思っていることも知識を深めていくうちに、実はどんどんつながっていくことに気づき、驚きと更なる知的好奇心が掻き立てられています。
また、最初は漠然と“がんを治したい”と研究に飛び込んだのですが、そこから放射線研究と出会い、宇宙研究と出会うことで私自身の知識と世界が広がりました。
研究者の魅力の一つは、自分の専門分野にとらわれず様々な分野の方や各国の方々と交流できることだと思います。また、自分の仮説通りの実験結果が出た時や、他の研究者から自分の研究内容に興味を持ってもらえた時に、とても手ごたえを感じます。
女子中高生・女子学生の皆さんへのメッセージ
日本では、女子の高学歴化が進んでいるにもかかわらず、大学における女性教員の比率は極めて低い状況です。その理由の一つは、「大学教員は仕事と家事・育児との両立が困難」と思われていること。
私もこれまで子供を産む時期について迷っていました。しかし、案ずるより産むが易し!今は幼い子を2人抱え、家事・育児・仕事の3足のわらじを履いている毎日です。正直、結構ハードな生活を送っていますが、仕事を辞めずに続けられています。
自分のやる気と意志がしっかりしていれば、周囲の理解と協力が得られるはず。皆さんもぜひ、女性として輝き続けるリケジョになって欲しいと願っています。