「リコチャレ応援団体」
「理工系女子応援ネットワーク」の紹介

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(一社)中部地質調査業協会
女性活躍推進ワーキンググループ
- 〒461-0004 名古屋市東区葵三丁目25番20壕 ニューコーポ千種橋403号
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(一社)中部地質調査業協会 女性活躍推進ワーキンググループ
組織概要
当協会は、中部で活動する地質調査に関する会社の連携を図り、災害時における支援や地質調査業の地位向上、地質調査技士の活用推進などの活動を行っています。
皆さんの生活と地質調査、実はとても親しい関係であることをご存じですか。毎日何気なく通っている学校や、移動のために利用している道路、その他にも皆さんの生活を便利で豊かなものにする橋やトンネル、ダムなど、その一つ一つに地質調査は係わっています。
地質調査業とは、地質・土質基礎地盤・地下水など、私たちが生活する地面の下にある不可視部分について、地質学・地球物理学・土質工学などの知識や理論を元に調査・分析をすることで、その「形」・「質」・「量」を明らかにする仕事です。
私たちの住む地域は、北端が標高3,000m級の山脈が発達する岐阜県飛騨山岳地帯から、岐阜・愛知県にまたがる濃尾平野を経て、南端は三重県紀伊山地が熊野灘に面する海岸部に至る南北約280km、東西約180kmの広い範囲に及んでいます。低地部は洪水時の河川水位よりも低い位置に形成された沖積平野であり、水害や巨大津波に弱い構造です。地質は数億年前の古生代から、最も新しい(約260万年前以降)第四紀までの多様な地層から構成されています。多くの活断層がこの地域に集中していることもあり、脆弱(ぜいじゃく)な地質と急峻(きゅうしゅん)な山地は「防災」の面から土木地質的問題点を抱えています。さらに、南海トラフ地震によって中部圏では直接被害だけでも80兆円にものぼる甚大な被害が想定されており、迅速な災害対策が求められています。
地質調査は、地震によって引き起こされる津波や建物の倒壊、集中豪雨によって生じる河川の氾濫や地すべりなどの様々な災害から皆さんの生活を守る大切な仕事です。
私たち中部地質調査業協会は、この地域で起こる様々な地質的問題に対して、豊かで安全な国土の維持管理のために日々努力をしています。
理工系分野・部門の紹介
地質調査は一握りの土の分析から、地球内部を推定するようなものまで、調査対象は様々であり、調査の方法も多種多様です。主要な調査の概要を以下の表に示します。
地質調査では、得られる様々な情報を組み合わせ、必要に応じて解析業務を行い、学術的分野、資源開発分野、建設事業分野、環境分野の多様な目的に応えています。
ボーリング調査 |
地盤を掘削して、採取した土や岩のサンプルを観察し、掘削時に打撃を与えて地盤の硬さを求める試験を行います。 同時に、様々な原位置試験(現地で掘ったボーリングの孔を利用して行う試験)で得られるデータを元に、地盤の強度や変形特性、透水性などを求めます。 |
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室内試験 |
ボーリング調査によって採取した土や岩などのサンプルを、室内に持ち込み試験をします。 試験では、土の状態や分類を把握する物理試験や試料の強度などを把握する力学試験などを実施します。 |
化学試験 |
最近では地層や地下水汚染が深刻な環境問題として取り上げられています。ボーリング調査に化学的な分析を加え、よりきめ細かく総合的な解析をすることにより、汚染原因の究明や汚染の拡大防止、汚染の除去に有益な情報の提供が可能となります。 |
物理探査 |
直接サンプルを得ることなく、振動、音波や電気などを地下に流して、地層構成などを推定することが可能であり、近年新しい調査方法が続々と考え出されています。 |
現地踏査 | 上記の技術に加え、実際に現場周辺を歩いて調査することによって地表の情報が得られます。それらは地下を推定するための非常に大切な要素となります。 |

ボーリング調査(標準貫入試験)の様子
ハンマーを所定の高さから落下させて打撃することで、地盤の強度を示す「N値」を求めます。
このほか、サンプラーを用いて土や岩の試料を原位置に近い状態で採取し、室内試験を行います。

物理探査(表面波探査)の様子
表面波探査は、物理探査の一種です。カケヤ(木製ハンマー)
などにより地面を打撃したり、起振機を用いたりして、人工的に地震波を発生させ、地表面に一定間隔で設置したセンサーによってその波を受信することで、直接地面を掘削せずに地下の構造を推定します。
女子中高生・女子学生の皆さんへのメッセージ
地質調査業の職場は男性が主体というイメージをもたれるかもしれませんが、年々女性技術者は増加しています。私たち女性活躍推進ワーキンググループは中部Geo(ジオ)ラバーズという愛称で、女性特有の悩みや、結婚、出産をするなど生活環境が変化しても働ける、魅力ある業界を目指し、情報収集や女性技術者交流などの活動を行っています。
地質調査業には地質のみならず、土木、地球物理、化学など様々な専門技術をもつ技術者が携わっています。業務内容も、現場周辺の踏査からボーリング調査の現場管理、室内での試験、数値解析、設計など多岐にわたり、女性もライフサイクルを通して活躍することが可能です。地質調査業の業務において、女性ならではのしなやかな視点、こまやかな対応が果たせる役割は大きいものと期待しています。皆さんと一緒に国土の安全、安心に貢献できることを願っています。