第11分野 男女共同参画に関する国際的な協調及び貢献

本編 > 2 > 第1部 > III > 第11分野 > 第2節 G7、G20、APEC、OECDにおける各種合意等への対応

第2節 G7、G20、APEC、OECDにおける各種合意等への対応

1 令和5(2023)年に我が国が議長国を務めたG7を始め、G20、APEC、OECDやその他の女性に関連する国際会議や多国間協議における首脳級・閣僚級のジェンダー平等に係る各種の国際合意や議論を、国内施策に適切に反映して実施するとともに、その進捗を把握し、施策の改善にいかした。合意に至る議論の過程においては、我が国の経験や取組等に基づく情報発信及び共有により、政策決定及び取組方針に貢献した。

(G7)

  • 5月に開催されたG7広島サミットの首脳コミュニケでは、ジェンダー平等についての独立したパラグラフに加え、前文、開発、食料安全保障、労働、教育、デジタル、人権、テロ、地域情勢といった幅広い文脈においてもジェンダー課題への対処の重要性が網羅的に記載された。その中でも、あらゆる人々が性自認、性表現あるいは性的指向に関係なく、暴力や差別を受けることなく生き生きとした人生を享受することができる社会の実現にコミットしたほか、ジェンダー主流化を深化させるため、政治と安全保障、経済と社会の領域を橋渡しする「ネクサス」 を作り出すことによる行動の効率と影響の最大化を提唱した点などが特筆される。

さらに、6月には我が国で初めてとなる男女共同参画・女性活躍担当大臣会合を栃木県日光市で開催し、小倉將信内閣府特命担当大臣(男女共同参画)が議長として出席した。会合では、「コロナ禍での教訓を生かす」及び「女性の経済的自立」をテーマに議論を行い、成果文書として「日光声明」を取りまとめ、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が女性・女児に与えた不均衡な影響について、その背景にある構造的な課題に立ち返りつつ、包括的に分析・検討を行い、「女性の経済的自立」、「無償のケア・家事労働」、「ジェンダーに基づく暴力」、「社会の意識を変える」及び「G7のコミットメント推進の枠組み」について、今後の取組方針を分野横断的かつ体系的に整理した。11月に上川外務大臣が議長を務め東京で開催されたG7外相会合においては、WPSアジェンダを含むジェンダー平等といった、より広範なグローバルな課題に対処するため、G7を超えて国際的な連帯を更に築くことにコミットすることが共同声明に盛り込まれた。

このほか、「ジェンダー・ギャップに関するG7ダッシュボード」 の改訂や、初となる「ジェンダー平等実施報告書」の経済協力開発機構(OECD)による公表など、ジェンダー分野におけるG7のコミットメントの監視メカニズムも着実に実施された。

(G20)

  • 8月にはG20インド議長国下で、G20では3回目となる女性活躍担当大臣会合が、同国のガンディナガルにて完全対面形式で開催され、我が国からは小倉將信内閣府特命担当大臣(男女共同参画)が参加した。小倉將信内閣府特命担当大臣(男女共同参画)は「女性のリスキリング」のセッションに参加し、女性の経済的自立の実現に向けたリスキリング支援の具体的施策について発信した。さらに9月のニューデリー・サミットで発出されたニューデリー首脳宣言では、女性の経済的及び社会的エンパワーメントの強化や、デジタル面のジェンダー格差の是正、また気候変動等の環境問題における女性の意思決定層の拡大等の重要性について再確認された。

(APEC)

  • 8月に女性と経済フォーラム(閣僚級会合)が開催され、「アジア太平洋地域の一層の統合と女性活躍及び指導的地位へのアクセスの確立」をテーマに、APEC域内での取組が共有された。成果として議長の米国から、「APEC2023女性と経済フォーラム 議長声明」が発出された。我が国からは、小倉將信内閣府特命担当大臣(男女共同参画)が対面で参加し、女性のリーダーシップを拡大するための我が国の取組や育児休暇の取得促進について発信を行った。あわせて、APECで初めて中小企業大臣会合との合同会議が開催され、中小企業担当及び女性担当閣僚が出席し、令和5(2023)年のAPECテーマである「全ての人々にとって強靱で持続可能な未来を創造」に基づき、幅広い議論が行われた。同会合に参加した小倉將信内閣府特命担当大臣(男女共同参画)からはデジタル分野における女性の起業支援について発言を行い、里見隆治経済産業大臣政務官からは「女性起業家支援パッケージ」や大阪・関西万博「ウーマンズ・パビリオン」を起点とした女性活躍の発信について説明を行った。

また、女性と経済フォーラムに併せて、日米韓三か国会議が開催され、女性の経済的安全保障を推進する国内外の取組、宇宙分野を含むSTEM分野における女性・女児の活躍推進への取組、家事・介護のインフラ整備の推進等について、三か国間で意見交換が行われた。同会議には小倉將信内閣府特命担当大臣(男女共同参画)が出席し、日米韓三か国は共通の目的に向かって取り組んでおり、経験を持ち寄り、議論を深めることは、アジア・太平洋地域におけるジェンダー平等、女性・女児のエンパワーメントにとって重要であることが確認された。

(OECD)

  • OECDにおいては、令和5(2023)年6月にOECD閣僚理事会が開催され、「強じんな未来の確保:共通の価値とグローバル・パートナーシップ」をテーマに議論が行われた。成果文書として採択された閣僚声明では、OECD各国がジェンダー平等に引き続きコミットすることが明記されるとともに、ジェンダー平等に係るデータ収集プログラムを歓迎する旨が記載された。また、12月には第5回ジェンダー主流化作業部会が対面で開催され、各国から優先課題と取組が共有される中、日本からは男女共同参画の視点からの防災、インターネット上の女性に対する暴力及びジェンダー統計に関する取組について報告した。【内閣府、外務省、経済産業省、関係省庁】

2 国際会議や多国間協議において合意文書にジェンダー平等と女性・女児のエンパワーメントに関する事項を盛り込むよう取り組むとともに、令和5(2023)年に我が国がG7議長国を務めるに当たっては、G7サミット及び閣僚会合においてジェンダーの視点を取り入れた議論を進めるよう取り組み、各閣僚会合の声明においてジェンダーの視点が反映された。【外務省、関係府省】