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第3節 ジェンダー平等と女性・女児のエンパワーメントに関する国際的なリーダーシップの発揮
ア 開発協力大綱に基づく開発協力の推進
令和5(2023)年6月改定の「開発協力大綱」(令和5年6月9日閣議決定)及び「女性の活躍推進のための開発戦略」(平成28年5月20日策定)に基づき、ジェンダー主流化及び女性の権利を含む基本的人権の尊重を重要なものとして考え、開発協力を適切に実施している。【外務省、関係府省】
イ 女性の平和等への貢献や紛争下の性的暴力への対応
国連安保理決議第1325号等の実施のための、第3次WPSに関する行動計画8に沿って、主にUN Womenや紛争下の性的暴力に関する事務総長特別代表(SRSG-SVC)事務所などの国際機関への拠出により中東、アフリカ及びアジア地域のWPS分野に貢献しているほか、モニタリングのための実施状況報告書及び外部有識者から構成される評価委員による評価報告書を作成した。さらに、日本国内では12月に「WPSパネルディスカッション:国際平和と安全保障への女性の参画促進に日本はどう貢献できるか?―G7 GEAC・WAW!フォローアップイベント―」を開催し、実務家やハイレベルの議論を行った。
また、予算編成の考え方を示す「経済財政運営と改革の基本方針2023」(令和5年6月16日閣議決定)においては、初めてWPSを盛り込こんだ。外務省において、ODAを含むあらゆるツールを用いて省内横断的にWPSを推進するため、令和6(2024)年1月に大臣の下にタスクフォースを設置した。
さらに、上川外務大臣は、令和5(2023)年9月の就任以来、国連ハイレベルウィークに際するニューヨーク訪問や東南アジア、中東訪問、G7外相会合など、二国間・多国間を問わず様々な機会を捉えて、WPSの重要性を発信している。9月の国連総会ハイレベルウィーク期間中、上川外務大臣は国際平和研究所(IPI)、アイルランド政府及び笹川平和財団の共催による「女性・平和・リーダーシップ」シンポジウム及びWPSフォーカルポイント・ネットワーク・ハイレベル・サイドイベントに出席し、安保理非常任理事国として、日本はWPSの推進に一層取り組んでいくと述べた。
11月、APEC閣僚会議に際するサンフランシスコ訪問では、「WPS+I(イノベーション)」と題して、上川外務大臣はWPSを次の次元に引き上げるためのイノベーションをテーマに基調講演を実施し、WPSの推進や女性のエンパワーメントには男性の協力が不可欠であること、また、世界各地で自然災害が多発する中、災害対応や防災・減災の分野にWPSアジェンダを組み込むことは極めて重要であると指摘し、平和と安定が揺らいでいる時代において、経済と平和・安定を不可分のものとして議論すべきとの問題を提起した上で、斬新かつクリエイティブな議論を行った。
12月には、「WPS+I(イノベーション)」第2弾として、「WPS+イノベーション~難民支援・人道支援の現場から~」と題する意見交換会を主催し、国連高等難民弁務官事務所(UNHCR)、赤十字国際委員会(ICRC)、国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)、国際移住機関(IOM )関係者から、難民支援や人道支援の現場での経験を踏まえつつ、直面する課題や日本に期待する役割などについて聴取した。
また、同月、上川外務大臣は、笹川平和財団主催のWPSに関する日本・インドネシア外相対話「なぜ、女性の視点が必要なのか~日本・インドネシアの女性外相が語る~」に出席し、災害対応における女性の視点の重要性について強調しつつ、日本ASEAN友好協力50周年を契機として、インドネシアを始めとするASEAN諸国と共にWPSアジェンダを推進し、ルトノ外相と共にWPSの主流化を国際社会全体に広めていきたいと発言した。
そのほか、令和5(2023)年に、上川外務大臣は、10月にはジョージタウン大学女性・平和・安全保障研究所、笹川平和財団主催「女性、平和、安全保障における男性の参加」シンポジウム、11月にはWomen Political Leaders(WPL)、アイスランド政府及び同国議会が主催する「レイキャビク・グローバル・フォーラム2023」に対してそれぞれビデオメッセージを発出し、WPSアジェンダを更に推進していきたいと述べた。
令和6(2024)年に入り、上川外務大臣は、2月には「WPS+I in リオ」として、ブラジルで活躍する各界・各層の女性たちとWPSに関する意見交換を実施し、女性の社会進出を含む社会課題へのアプローチにおいてWPSの視点が果たし得る役割について議論した。3月には、「WPS+I~国連の現場から~」として、シマ・バフースUN Women事務局長、メリーテ・ブラッテステッド国連ノルウェー政府常駐代表、中満泉国連事務次長(軍縮担当上級代表)、メレーン・バービア・ジョージタウン大学WPS研究所長を迎え、近年のWPSに関する安全保障理事会等における進展とともに、紛争下における女性の保護と多様な分野への更なる参画の必要性等の問題意識が提起された。また、同月、「WPS+I」第5弾として、駐日女性大使及び臨時代理大使計19名とWPSやジェンダー政策に関する意見交換を実施し、各国の独自の視点や取組を踏まえ、日本との協力の可能性について議論した。【外務省、関係府省】
紛争下の性的暴力防止について、関係国際機関との連携の強化を通じて、加害者の訴追増加による犯罪予防や被害者保護・支援等に一層取り組むとともに、紛争関連の性的暴力生存者のためのグローバル基金への支援等を行った。【外務省、関係府省】
ウ 国際的な分野における政策・方針決定過程への女性の参画拡大
国際会議の委員や日本政府代表等に、幅広い年齢層、分野の女性等がより多く参画することにより、国際的な分野における政策・方針決定過程への参画を一層促進し、国際的な貢献に積極的に努めている。特に、海外留学の促進や平和構築・開発分野における研修等の充実により、将来的に国際機関等で働く意欲と能力のある人材の育成や、国際機関への就職支援を強化した。【外務省、文部科学省、関係府省】
在外公館における主要なポスト(特命全権大使・総領事)の女性割合について、3.9%(令和4(2022)年)から4.8%(令和5(2023)年)に増加した。【外務省】
8 女性と平和・安全保障の問題を明確に関連付けた初の安保理決議である「女性・平和・安全保障に関する国連安保理決議第1325号」(平成12(2000)年10月、国連安全保障理事会にて採択)を踏まえ、平成27(2015)年以降、「女性・平和・安全保障に関する行動計画」を策定・実施。現在の第3次行動計画(令和5(2023)~令和10(2028)年)では、女性の参画とジェンダー視点に立った平和構築の促進、
性的暴力及びジェンダーに基づく暴力の防止と対応、
防災・災害対応と気候変動への取組、
日本国内におけるWPSの実施、
モニタリング・評価・見直しの枠組みの5つの項目からなっており、
~
について、中間評価報告書を3年目に策定予定。