第3節 行政分野

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第3節 行政分野

ア 国の政策・方針決定過程への女性の参画拡大

(ア) 国家公務員に関する取組

○ 内閣官房内閣人事局及び各府省等は、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号。以下「女性活躍推進法」という。)に基づき策定した行動計画を活用し、また、「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」(平成26年10月17日女性職員活躍・ワークライフバランス推進協議会決定。令和3年1月29日一部改正)及び同指針により各府省等が定める取組計画に基づき、女性職員の活躍推進及び男女全ての職員の「働き方改革」によるワーク・ライフ・バランスの実現に向けて取組を積極的に推進している。また、各府省等において、数値目標を設定した事項の進捗状況及び取組の実施状況を公表している。【内閣官房、内閣府(男女共同参画局)、全府省】

○ 内閣府では、各府省等、衆議院事務局、衆議院法制局、参議院事務局、参議院法制局、国立国会図書館及び最高裁判所等の取組について、「女性活躍推進法『見える化』サイト」で比較できる形での更なる「見える化」を行っている。令和3(2021)年度は、新たに就職活動中の学生等に対してSNS等を通じた周知・広報を行った。【内閣府(男女共同参画局)】

○ 各府省等や大学等と連携し、より多くの女子学生等に公務を志望してもらうことを目的として、内閣官房内閣人事局においては、「女子学生霞が関インターンシップ」を1回、「国家公務員1DAY for Women」を1回、人事院においては、「女性のための公務研究セミナー」を1回、「女子学生のための国家公務員試験制度ガイダンス」を3回開催している。このほか、性別に関わりなく様々な切り口で公務への関心を高めてもらうことを目的として、内閣官房内閣人事局においては「国家公務員1DAY」を1回、「大学ガイダンス」を18回、「少人数座談会」を83回、「国家公務員の出身高等学校への派遣」を6回、人事院においては「WEB国家公務員セミナー」を10回、「技術×国家公務員仕事OPEN」を2回開催している。また、ツイッター、インスタグラム等のSNSやウェブサイトを積極的に活用し、働き方改革の取組やワーク・ライフ・バランスの実践例、職業生活への多様な支援等について具体的で分かりやすい情報発信を行うなど、女性の国家公務員志望者の拡大に向けた広報活動を行っている。さらに、管理職以上の官職も含めた外部女性人材の採用・登用に取り組んでいる。【内閣官房、全府省、(人事院)】

○ 内閣官房内閣人事局及び各府省では、女性職員の登用拡大に向けて、職域の固定化を解消するなど積極的な職域の拡大、研修や多様な職務機会の付与による積極的・計画的な育成や相談体制の整備を進めている。また、出産・育児期等の前後又は育児期で時間制約があるような場合でも、本人の意向を考慮し、働く場所や時間の柔軟化を活用するなどして重要なポストを経験させ、登用につなげるなど、柔軟な人事管理やキャリア形成支援を進めている。

人事院においては、女性職員を対象とした研修の実施を通じて、相互啓発等による業務遂行能力の伸長、マネジメント能力開発、人的ネットワーク形成等の機会を付与した。また、「女性職員登用推進セミナー」の実施を通じて、本府省及び地方機関の人事管理・人材育成の責任を有する管理職の意識啓発を図った。【内閣官房、全府省、(人事院)】

○ 内閣官房内閣人事局及び各府省では、キャリアパスにおける転勤の必要性について再検討を行い、育児、介護等がキャリアパスの支障にならないよう職員に対する十分な配慮を行うよう取り組んでいる。【内閣官房、全府省】

○ 内閣官房内閣人事局及び各府省では、「国家公務員の女性活躍とワークライフバランス推進のための取組指針」等に基づき、的確な勤務時間管理による超過勤務縮減や各種休暇の取得促進に取り組んでいる。また、テレワークやフレックスタイム制等を活用した働く時間と場所の柔軟化等の働き方改革を進め、仕事と生活の両立を図りながら活躍できる環境整備に取り組んでおり、令和3(2021)年8月には、「国家公務員テレワーク・ロードマップ」(平成27年1月21日各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議決定)に基づくテレワーク推進計画を各府省等で策定し、各府省等は同計画に則り推進している。

人事院においては、現行のフレックスタイム制の柔軟化など、テレワーク等の柔軟な働き方に対応した勤務時間制度等の在り方や勤務間インターバルの確保の方策等について検討を行うため、令和4(2022)年1月から、有識者による研究会を開催している。【内閣官房、全府省、(人事院)】

○ 内閣官房内閣人事局及び各府省では、特に子供が生まれた全ての男性職員が1か月以上を目途に育児に伴う休暇・育児休業を取得できるような環境の実現に向けて、組織の実情を踏まえて必要な工夫も加えつつ、管理職による本人の意向に沿った取得計画の作成、取得中の業務運営の確保、幹部職のリーダーシップ発揮、人事当局の積極的な関与、人事評価への反映等の育児休業等の取得に向けた取組を進めており、令和2(2020)年4月から6月までに子供が生まれた男性職員のうち99.0%が子の出生後1年以内に育児に伴う休暇・休業を取得し、取得者のうち88.8%が1か月以上の休暇・休業を取得している。【内閣官房、全府省】

○ 内閣官房内閣人事局及び各府省では、女性職員の活躍及びワーク・ライフ・バランスに関する管理職の理解促進や行動変容を促すため、講師による講義とケーススタディを内容とするオンラインセミナーや全管理職向けのeラーニングの研修を実施している。【内閣官房、全府省】

○ 内閣官房内閣人事局及び各府省では、女性職員の活躍及び男女のワーク・ライフ・バランスを進め、限られた時間を効率的にいかすことを重視する管理職を人事評価において適切に評価することを徹底するため、マネジメントに係る行動の能力評価における重点的な評価や、業績評価におけるマネジメントに関する目標の設定・評価等の取組を進めているとともに、「国家公務員のためのマネジメントテキスト」の作成・配布、多面観察などの取組を通じて管理職のマネジメント能力の向上を図っている。【内閣官房、全府省、(人事院)】

○ 人事院では、一般職国家公務員について、人事院規則10-10(セクシュアル・ハラスメントの防止等)、人事院規則10-15(妊娠、出産、育児又は介護に関するハラスメントの防止等)、人事院規則10-16(パワー・ハラスメントの防止等)等に基づき、ハラスメントの防止等の対策を講じている。

内閣官房内閣人事局及び各府省では、ハラスメントの防止等のための人事院規則等に基づき、研修やセミナー、ハラスメント防止週間における職員に対する一層の周知啓発、苦情相談体制の整備、ハラスメントが生じた場合の被害職員の救済及び行為職員に対する厳正な処分等の迅速かつ適切な措置等を実施している。

人事院では、「国家公務員ハラスメント防止週間」(毎年12月4日から同月10日まで)を定め、職員の意識啓発等を図る講演会を開催したほか、ハラスメント防止等についての認識を深め、各府省における施策の充実を図るため、各府省担当者会議を開催するとともに、ハラスメント相談員を育成するセミナーを実施した。【内閣官房、全府省、(人事院)】

○ 各府省が実施する子宮頸がん検診・乳がん検診について、女性職員が受診しやすい環境整備を行っている。【内閣官房、全府省、(人事院)】

○ 治安、矯正、安全保障等の分野で働く国家公務員の女性の採用、育成及び登用並びに生活環境・両立環境の整備を進める。【警察庁、法務省、国土交通省、防衛省】

(イ) 国の審議会等委員等の女性の参画拡大

○ 内閣府では、毎年「国の審議会等における女性委員の参画状況調べ」を実施し、各審議会等の女性委員の人数・比率について調査し、公表している。令和3(2021)年度からは、調査・公表を年2回に増やすとともに、委員等に占める女性の割合が40%未満の全ての審議会等について、その要因と目標達成に向けた今後の方策について所管府省に回答を求め、その内容を公表することとした。【内閣府(男女共同参画局)、関係府省】

○ 審議会等委員の選任に際しては、各府省において、性別のバランスに配慮するともに、団体推薦による審議会等委員について、各団体等に対して、団体からの委員の推薦に当たって格段の協力を要請している。内閣府では、令和3(2021)年10月、衆議院事務局及び参議院事務局に対し、審議会等の委員等への指名に際して、第5次男女共同参画基本計画における国の審議会等委員等に占める女性の割合についての成果目標を踏まえた対応に係る要請を行った。【内閣府(男女共同参画局)、関係府省】

(ウ) 独立行政法人、特殊法人及び認可法人における女性の参画拡大

○ 内閣府では、毎年「独立行政法人等女性参画状況調査」を実施し、独立行政法人、特殊法人及び認可法人における役員や管理職に占める女性の割合等について調査し、公表している。各府省では、独立行政法人、特殊法人及び認可法人の事業主行動計画の策定を支援するとともに、それぞれの機関の役員や管理職への女性の積極的な登用を推進するよう強く要請している。また、内閣府では、令和3(2021)年3月9日に開催したすべての女性が輝く社会づくり本部・男女共同参画推進本部合同会議における総理指示を踏まえ、各府省が所管の独立行政法人、特殊法人及び認可法人等に対して女性の登用促進を要請した状況について取りまとめ、公表した。【内閣府(男女共同参画局)、厚生労働省、関係府省】

イ 地方公共団体の政策・方針決定過程への女性の参画拡大

(ア) 地方公務員に関する取組

○ 女性活躍推進法に基づく特定事業主行動計画や女性の活躍状況に関する情報の公表について、数値目標を設定した項目の進捗状況及び取組の実施状況が経年で公表されることを徹底するよう依頼するとともに、各団体の取組について、「女性活躍推進法『見える化』サイト」で比較できる形での更なる「見える化」を行っている。【内閣府(男女共同参画局)、総務省】

○ テレワークの推進等による職場の働き方改革や徹底した時間外勤務の縮減、休暇の取得促進を行うため、テレワークの導入・実施に係る積極的な取組や、時間外勤務の上限規制及び健康確保措置の実効的な運用等について、各団体に対し必要な助言を行っている。【内閣府(男女共同参画局)、総務省】

○ 男性職員の育児等に係る状況を把握し、育児に伴う休暇・休業等の取得を呼びかけるとともに、周囲のサポート体制や代替要員の確保を図り、気兼ねなく育児休業等を取得できる職場環境の整備を促進するため、国家公務員における取組や取得率が大きく上昇した団体の取組事例を各団体に対し周知し、更なる取組を促進している。【内閣府(男女共同参画局)、総務省】

○ 地方公共団体における女性職員の活躍及び働き方改革の好事例を収集・周知することにより、各地方公共団体の実情に即した主体的かつ積極的な取組を促進するため、刊行物において、地方公共団体における先進事例を収集・周知しているほか、地方公共団体における妊娠・出産・育児等と仕事の両立支援に取り組む団体における取組事例を収集・周知する冊子を作成している。【総務省】

○ 令和3(2021)年度の「地方公共団体における男女共同参画社会の形成又は女性に関する施策の推進状況」の中で、地方公共団体における職員の通称又は旧姓使用に関する規定等の整備状況を調査し、公表した。また、職員が旧姓を使用しやすい職場環境づくりを促進している。【内閣府(男女共同参画局)、総務省】

○ 非常勤職員を含めた全ての女性職員が、その個性と能力を十分に発揮できるよう、育児休業や介護休暇等の普及・啓発の実施や、ハラスメント等の各種相談体制の整備等を促進している。あわせて、男性に比べて女性の割合が高い非常勤職員について、各地方公共団体における会計年度任用職員制度の施行状況等に関する調査を実施し、その結果を踏まえ、制度の適切な運用について助言を行った。【総務省】

○ 消防吏員の女性比率については、令和8(2026)年度当初までに5%に増加させることを全国の目標としており、消防本部等に対し数値目標の設定による計画的な増員の確保、女性消防吏員の職域の拡大等、ソフト・ハード両面での環境整備に取り組むよう引き続き要請するとともに、消防署所等における職場環境の整備が図られるよう、女性専用施設(浴室・仮眠室等)の整備に要する経費を支援した。また、消防吏員を目指す女性の増加を図るため、女子学生等を対象とした職業説明会の開催や消防本部に対する女性消防吏員活躍推進アドバイザーの派遣、先進的取組の支援に加え、ターゲットを明確にした採用PR広報等を展開するなどの取組を推進した。

警察では、男女共同参画に関する施策についての都道府県警察の幹部職員への教育を実施するなど、女性がその個性と能力を十分に発揮して活躍できるような様々な取組を推進している。また、令和8(2026)年度当初までに地方警察官に占める女性の割合を全国平均で12%程度とすることを目標として、各都道府県警察が、それぞれにおいて策定している計画等を踏まえ女性警察官の採用・登用の拡大に向けた取組を推進しており、令和3(2021)年4月1日現在で、その割合は10.6%となっているほか、女性警察官の職域は全ての分野に拡大しており、警察署長を始めとする幹部への登用も進んでいる。【警察庁、総務省】

(イ) 地方公共団体の審議会等委員への女性の参画拡大

○ 各都道府県・政令指定都市が設定している審議会等委員への女性の参画に関する数値目標や、これを達成するための様々な取組、女性比率の現状、女性が1人も登用されていない審議会等の状況等を調査し取りまとめて提供し、審議会等委員への女性の参画を促進している。【内閣府(男女共同参画局)、関係府省】