第1節 コロナ下で顕在化した男女共同参画の課題~就業面~

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第1節 コロナ下で顕在化した男女共同参画の課題~就業面~

この節では,男女共同参画の視点からの新型コロナの感染拡大の影響,特に令和2(2020)年4月に発出された緊急事態宣言の影響と新型コロナの感染拡大を契機に顕在化した課題について把握するため,我が国で新型コロナの感染が拡大した令和2(2020)年以降(以下,「コロナ下」という。)の男女の就業に関する状況を概観する。

1 就業をめぐる環境の変化

(1) 労働市場への影響

(男女別の就業者数の推移)

コロナ下の就業状況を概観するため,平成31(2019)年1月以降の就業者数の推移を見ると,男女ともに,緊急事態宣言が発出された令和2(2020)年4月に前の月と比べて就業者数が大幅に減少しており,男女で比較すると,女性は70万人の減少,男性は39万人の減少と,女性の減少幅の方が大きい。また,緊急事態宣言後の推移を見ると,就業者数は男女ともに持ち直しの動きが見られるものの,令和2(2020)年11月頃からおおむね横ばい圏内で推移しており,依然としてコロナ下以前の水準を下回っている(I-特-1図)。

I-特-1図 就業者数の推移別ウインドウで開きます
I-特-1図 就業者数の推移

I-特-1図[CSV形式:2KB]CSVファイル

次に,就業者数の推移を年齢階級別に前年同月差で見ると,男女ともに,緊急事態宣言が発出された令和2(2020)年4月以降,54歳以下の幅広い年齢階級において,減少幅の拡大や,減少に転じる動きが見られる(I-特-2図)。

I-特-2図 年齢階級別就業者数の前年同月差の推移別ウインドウで開きます
I-特-2図 年齢階級別就業者数の前年同月差の推移

I-特-2図[CSV形式:2KB]CSVファイル

就業者数の増減を産業別に見ると,緊急事態宣言中の令和2(2020)年4月から5月の前年同月差の一月当たり平均は,女性は「飲食サービス業(25.0万人減少)」,「生活関連サービス業,娯楽業(17.0万人減少)」,「小売業(15.5万人減少)」の順に,男性は「飲食サービス業(13.0万人減少)」,「建設業(12.0万人減少)」,「製造業(10.5万人減少)」・「小売業(10.5万人減少)」の順に,減少幅が大きい。

令和2(2020)年6月から12月の前年同月差の一月当たり平均では,女性は「飲食サービス業(18.0万人減少)」,「製造業(10.7万人減少)」,「生活関連サービス業,娯楽業(6.4万人減少)」の順に,男性は「製造業(9.1万人減少)」,「飲食サービス業(8.7万人減少)」,「建設業(6.1万人減少)」の順に,減少幅が大きい。なお,令和2(2020)年6月から12月の前年同月差の一月当たり平均で,就業者数の増加幅が大きい産業は,女性は「医療(8.3万人増加)」,「金融業,保険業(4.9万人増加)」,「福祉(4.4万人増加)」,男性は「情報通信業(9.7万人増加)」,「不動産業,物品賃貸業(8.6万人増加)」となっている(I-特-3図)。

I-特-3図 産業別就業者数の前年同月差の推移別ウインドウで開きます
I-特-3図 産業別就業者数の前年同月差の推移

I-特-3図[CSV形式:1KB]CSVファイル

就業時間の追加を希望する就業者数1の推移を前年同期差で見ると,男女ともに,令和2(2020)年4~6月期の増加幅が最も大きい(女性は34万人増加,男性は53万人増加)ことが分かる。また,同時期の女性の追加就労希望就業者数を年齢階級別に前年同期差で見ると,45~54歳が17万人で,最も多い(I-特-4図)。

I-特-4図 追加就労希望就業者数の前年同期差の推移別ウインドウで開きます
I-特-4図 追加就労希望就業者数の前年同期差の推移

I-特-4図[CSV形式:1KB]CSVファイル

休業者数の推移を見ると,男女ともに,緊急事態宣言が発出された令和2(2020)年4月に大幅に増加しており,男女で比較すると,女性は前年同月差で249万人の増加,男性は171万人の増加と,女性の増加幅の方が大きい。以降は,令和2(2020)年10月までは減少し,その後は増加傾向にあるが,令和3(2021)年1月以降の緊急事態宣言下においても令和2(2020)年4月のような大幅な増加は見られない(I-特-5図)。

I-特-5図 休業者数の推移別ウインドウで開きます
I-特-5図 休業者数の推移

I-特-5図[CSV形式:1KB]CSVファイル

1就業時間が週35時間未満で,就業時間の追加を希望しており,追加できる就業者(追加就労希望就業者)。(総務省「労働力調査」)

(男女別の雇用者数の推移)

続いて,雇用者数について平成31(2019)年1月以降の推移を見ると,男女ともに,緊急事態宣言が発出された令和2(2020)年4月に前の月と比べて雇用者数が大幅に減少しており,男女で比較すると,女性は74万人の減少,男性は35万人の減少と,女性の減少幅は男性の約2倍となっている。また,緊急事態宣言後の推移を見ると,雇用者数は男女ともに持ち直しの動きが見られるものの,令和2(2020)年11月頃からおおむね横ばい圏内で推移しており,依然としてコロナ下以前の水準を下回っている(I-特-6図)。

I-特-6図 雇用者数の推移別ウインドウで開きます
I-特-6図 雇用者数の推移

I-特-6図[CSV形式:2KB]CSVファイル

雇用形態別雇用者数(役員を除く)の前年同月差の推移を見ると,女性は正規雇用労働者の増加が続く一方,非正規雇用労働者は令和2(2020)年3月以降,13か月連続の減少となっている。また,男性は,緊急事態宣言が発出された令和2(2020)年4月以降,非正規雇用労働者の減少が続いていることに加え,令和2(2020)年12月頃から令和3(2021)年2月にかけて,正規雇用労働者の減少幅が拡大している(I-特-7図)。

I-特-7図 雇用形態別雇用者数の前年同月差の推移別ウインドウで開きます
I-特-7図 雇用形態別雇用者数の前年同月差の推移

I-特-7図[CSV形式:2KB]CSVファイル

令和2(2020)年における産業別雇用者の雇用形態別の割合を男女別に見ると,女性は非正規雇用労働者の割合が高く,女性雇用者(役員を除く)の半分以上が非正規雇用労働者となっている。一方,男性は正規雇用労働者の割合が高く,男性雇用者(役員を除く)の約8割が正規雇用労働者となっている。また,非正規雇用労働者全体における割合を男女で比較すると,男性よりも女性の割合が高いことが分かる。産業別に見ると,女性雇用者の割合が高い「医療,福祉」,「宿泊業,飲食サービス業」,「生活関連サービス業,娯楽業」,「卸売業,小売業」において,雇用者(役員を除く)全体における非正規雇用労働者の割合も高い。女性の非正規雇用労働者を人数別に見ると,「卸売業,小売業」,「医療,福祉」,「宿泊業,飲食サービス業」が多い(I-特-8図)。

I-特-8図 産業別雇用者の雇用形態別割合(令和2(2020)年)別ウインドウで開きます
I-特-8図 産業別雇用者の雇用形態別割合(令和2(2020)年)

I-特-8図[CSV形式:2KB]CSVファイル

非正規雇用労働者について,現職の雇用形態に就いた主な理由別にその動向を見ると,令和2(2020)年4~6月期は,女性はこれまで前年同期差で増加が続いていた「自分の都合のよい時間に働きたいから」が減少に転じ,「家計の補助・学費等を得たいから」が28万人増加し,「家事・育児・介護等と両立しやすいから」が55万人減少した。令和2(2020)年10~12月期は,男女ともに「正規の職員・従業員の仕事がないから」が前年同期差で増加に転じているほか,女性の「家計の補助・学費等を得たいから」が14万人増加している(I-特-9図)。

I-特-9図 非正規の職員・従業員に就いた主な理由の前年同期差の推移別ウインドウで開きます
I-特-9図 非正規の職員・従業員に就いた主な理由の前年同期差の推移

I-特-9図[CSV形式:2KB]CSVファイル

こうした中,雇用形態別の年収とその変化を見ると,男女ともに非正規雇用労働者の約7 割が年収400万円未満であり, 令和2(2020)年と平成31・令和元(2019)年を比較して年収が「減った」と回答した割合は約3割となっている(I-特-10図)。

I-特-10図 雇用形態別個人年収,雇用形態別個人年収の変化別ウインドウで開きます
I-特-10図 雇用形態別個人年収,雇用形態別個人年収の変化

I-特-10図[CSV形式:1KB]CSVファイル

(男女別の完全失業者数の推移)

平成31(2019)年1月以降の完全失業者数の推移を見ると,男女ともに,緊急事態宣言が発出された令和2(2020)年4月以降,増加傾向で推移している。女性は令和2(2020)年8月頃からおおむね横ばい圏内で推移し,足下の令和3(2021)年3月は前の月と比べて減少,男性は令和2(2020)年10月まで増加した後,減少に転じているが,男女ともに依然としてコロナ下以前の水準を上回っている(I-特-11図)。

I-特-11図 完全失業者数の推移別ウインドウで開きます
I-特-11図 完全失業者数の推移

I-特-11図[CSV形式:1KB]CSVファイル

また,完全失業者数を求職理由別に見ると,男女ともに,令和2(2020)年3月以降,前年同月差で「勤め先や事業の都合」が増加している(I-特-12図)。

I-特-12図 求職理由別完全失業者数の前年同月差の推移別ウインドウで開きます
I-特-12図 求職理由別完全失業者数の前年同月差の推移

I-特-12図[CSV形式:1KB]CSVファイル

(男女別の非労働力人口の推移)

平成31(2019)年1月以降の非労働力人口の推移を見ると,男女ともに,緊急事態宣言が発出された令和2(2020)年4月に前の月と比べて大幅に増加しており,男女で比較すると,女性は64万人の増加,男性は25万人の増加と,女性の増加幅は男性の約2.5倍となっている。その後は,男女ともに減少傾向で推移し,令和3(2021)年1月頃からコロナ下以前とおおむね同水準まで持ち直していたところ,足下の令和3(2021)年3月は,単月の動きであることに留意が必要であるものの,前の月と比べて男性の非労働力人口が22万人の増加となっている(I-特-13図)。

I-特-13図 非労働力人口の推移別ウインドウで開きます
I-特-13図 非労働力人口の推移

I-特-13図[CSV形式:2KB]CSVファイル

(2) ひとり親世帯等の状況

(ひとり親世帯への影響)

子供のいる世帯は徐々に減少しているが,ひとり親世帯は昭和63(1988)年から平成28(2016)年までの約30年間に102.2万世帯(母子世帯数84.9万世帯, 父子世帯数17.3万世帯)から141.9万世帯(母子世帯数123.2万世帯,父子世帯数18.7万世帯)へと増加しており,母子世帯で見ると約1.5倍,父子世帯で見ると約1.1倍となっている。また,平成28(2016)年のひとり親世帯における母子世帯の割合は,86.8%となっている(I-特-14表)。一方,厚生労働省「国民生活基礎調査」(令和元(2019)年)によると,母子世帯のうち31.0%が年間所得金額200万円未満で,41.9%が生活を「大変苦しい」と感じている。雇用者に占める非正規雇用労働者の割合も高く(母子世帯の場合,雇用者に占める非正規雇用労働者の割合は52.3 %,正規雇用労働者の割合は47.7 %(I-特-14表)。),ひとり親世帯は経済的に厳しい状況に置かれていることが多い。

I-特-14表 ひとり親世帯の状況別ウインドウで開きます
I-特-14表 ひとり親世帯の状況

I-特-14表[CSV形式:1KB]CSVファイル

I-特-15図 離婚件数の推移別ウインドウで開きます
I-特-15図 離婚件数の推移

I-特-15図[CSV形式:1KB]CSVファイル

こうした中,コロナ下におけるひとり親世帯への影響を見ると,令和2(2020)年7~9月期平均の完全失業率への影響2は,子供のいる有配偶の女性にはほとんど影響が見られない一方,母子世帯の親には約3%ポイントの押し上げ要因となっている(I-特-16図)。

I-特-16図 コロナ下の比較:子供のいる有配偶者とシングルマザー(令和2(2020)年7~9月期平均)別ウインドウで開きます
I-特-16図 コロナ下の比較:子供のいる有配偶者とシングルマザー(令和2(2020)年7~9月期平均)

I-特-16図[CSV形式:1KB]CSVファイル

令和2(2020)年に実施された調査3によると,令和2(2020)年末に向けての暮らし向きが「苦しい」と回答したひとり親は60.8%に上った(I-特-17表)。また,直近1か月間に必要とする食料が買えないことが「あった」と回答したひとり親は35.6%であった(I-特-18表)。

I-特-17表 年末に向けての暮らし向き(令和2(2020)年)別ウインドウで開きます
I-特-17表 年末に向けての暮らし向き(令和2(2020)年)

I-特-17表[CSV形式:1KB]CSVファイル

I-特-18表 直近1か月間に(世帯が)必要とする食料が買えないことの有無別ウインドウで開きます
I-特-18表 直近1か月間に(世帯が)必要とする食料が買えないことの有無

I-特-18表[CSV形式:1KB]CSVファイル

2令和2(2020)年の実測値と,平成27(2015)年から平成31・令和元(2019)年までのデータから作成した予測モデルで算出した令和2(2020)年の予測値の差で評価。

3独立行政法人労働政策研究・研修機構「新型コロナウイルス感染症のひとり親家庭への影響に関する緊急調査」

(様々な困難を抱える女性)

家計が厳しい状況にある世帯は,ひとり親世帯に限らない。令和2(2020)年に実施された別の調査4によると,女性の収入が1割以上減った家庭では,5世帯に1世帯で食費の切詰めを行っており,1割弱が公共料金等の滞納をしているとの結果も出ている(I-特-19図)。

I-特-19図 女性の収入減少の有無別,家計のひっ迫度(令和2(2020)年8月調査)別ウインドウで開きます
I-特-19図 女性の収入減少の有無別,家計のひっ迫度(令和2(2020)年8月調査)

I-特-19図[CSV形式:1KB]CSVファイル

また,コロナ下では,経済的な理由で生理用品を購入できない女性や女の子がいる「生理の貧困」が,注目されている。生理の貧困は,女性の健康の観点に加えて,女性の女性としての尊厳の観点からも重要である。

このように,ひとり親世帯や若年女性,単身女性など,様々な困難を抱える女性に寄り添う,多様な支援の必要性が高まっている。

4独立行政法人労働政策研究・研修機構「第3回コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会 資料2」(令和2(2020)年10月29日)

(3) コロナ下でストレスを感じやすい仕事

(コロナ下でストレスを感じやすい仕事に従事する者の特徴)

コロナ下では,感染拡大の防止と社会経済活動の維持との持続的な両立を図っていくにあたり,十分な感染防止策を講じながら仕事を行う必要がある。ここでは,「仕事に感染症リスクがある」,「不特定多数の人と接触を伴う仕事である」など,仕事におけるコロナ下特有のストレスの感じ方についての調査結果を見ていく。

まず,自身の仕事について,コロナ下でストレスを感じやすいと思われる項目にいくつ当てはまるか(以下,「コロナ下でストレスを感じやすい仕事度合い」という。)を聞いた結果では,「いずれか1つ以上当てはまる」と回答した割合は, 女性79.3 %, 男性76.9%であり,男女で大きな差異はなかった(I-特-20図)。

I-特-20図 自身の仕事に当てはまるもの別ウインドウで開きます
I-特-20図 自身の仕事に当てはまるもの

I-特-20図[CSV形式:1KB]CSVファイル

次に,コロナ下でストレスを感じやすい仕事度合いを業種別に見ると,男女ともに,「医療・福祉業」が最も高い業種となった。「医療・福祉業」以外では,女性は「宿泊業・飲食サービス業」,「小売業」で,男性は「運輸業・郵便業」,「教育・学習支援業」で,それぞれコロナ下でストレスを感じやすい仕事度合いが高い結果となった(I-特-21表)。職種別に見ると,女性は「保安の職業」,「介護士・ヘルパー等」,「看護師」の順に高く,男性は「保育士」,「医師」,「介護士・ヘルパー等」の順に高い結果となった(I-特-22表)。

I-特-21表 業種別コロナ下でストレスを感じやすい仕事度合い別ウインドウで開きます
I-特-21表 業種別コロナ下でストレスを感じやすい仕事度合い

I-特-21表[CSV形式:2KB]CSVファイル

I-特-22表 職種別コロナ下でストレスを感じやすい仕事度合い別ウインドウで開きます
I-特-22表 職種別コロナ下でストレスを感じやすい仕事度合い

I-特-22表[CSV形式:2KB]CSVファイル

さらに,令和2(2020)年4月に発出された緊急事態宣言中に「仕事の負担が大きすぎると感じた」,「家計の先行きが不安に感じた」,「健康を守る責任が大きすぎると感じた」などと回答した割合を男女で比較すると,男性より女性の方が高くなることも分かった。また,同割合は,おおむねコロナ下でストレスを感じやすい仕事度合いに比例して高くなる傾向も見られた。コロナ下でストレスを感じやすい仕事に従事する女性が,様々な心理的不安を感じる機会が多かったことがうかがわれる結果となった(I-特-23図)。

I-特-23図 コロナ下でストレスを感じやすい仕事度合い別 第1回緊急事態宣言中(令和2(2020)年4~5月)の心理状況別ウインドウで開きます
I-特-23図 コロナ下でストレスを感じやすい仕事度合い別 第1回緊急事態宣言中(令和2(2020)年4~5月)の心理状況

I-特-23図[CSV形式:3KB]CSVファイル

(4) 学校の休校等による影響

(子供の有無別の影響)

ここでは,新型コロナの対策の一環として,令和2(2020)年2月28日に文部科学省より,学校保健安全法5に基づく,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における一斉臨時休業が要請されたこと等を踏まえた,子育て女性の就業状況について見ていく。

末子が未就学又は小学生である有配偶女性(以下,この節では「子供のいる女性」という。)と子供のいない有配偶女性(以下,この節では「子供のいない女性」という。)の就業率について,令和2(2020)年の実測値と予測値6の差(以下,「コロナ効果」という。)を比較する。次に,コロナ下における子育て女性の就業率低下の原因を,1新型コロナの感染拡大を原因とした労働需要の減少,2休校を原因とした労働供給の減少,3その他新型コロナの感染拡大を原因とした労働供給の減少(不安など)の3つとしたうえで,子供のいない女性については1及び3は当てはまるものの2は当てはまらないものとみなし,子供のいる女性と子供のいない女性のコロナ効果の差を計算することで,休校による影響を推定7する。

このようにして,子供のいる女性と子供のいない女性のコロナ効果の推移を見ると,子供のいない女性の就業率への効果と比べて,子供のいる女性の就業率への押し下げ効果が大きいことが分かる。また,子供のいない女性の就業率への効果はゼロに近い水準まで戻る動きも見られる一方,子供のいる女性の就業率への効果はマイナスの水準で推移している(I-特-24図)。

I-特-24図 2つのグループ間での「コロナ効果」の比較:就業率への効果別ウインドウで開きます
I-特-24図 2つのグループ間での「コロナ効果」の比較:就業率への効果

I-特-24図[CSV形式:1KB]CSVファイル

同様に,休業率,完全失業率,非労働力率を比較すると,特に非労働力率において差異が見られ,子供のいない女性の非労働力率より,子供のいる女性の非労働力率が高く推移していることが分かる(I-特-25図,I-特-26図,I-特-27図)。

I-特-25図 2つのグループ間での「コロナ効果」の比較:休業率への効果別ウインドウで開きます
I-特-25図 2つのグループ間での「コロナ効果」の比較:休業率への効果

I-特-25図[CSV形式:1KB]CSVファイル

I-特-26図 2つのグループ間での「コロナ効果」の比較:完全失業率への効果別ウインドウで開きます
I-特-26図 2つのグループ間での「コロナ効果」の比較:完全失業率への効果

I-特-26図[CSV形式:1KB]CSVファイル

I-特-27図 2つのグループ間での「コロナ効果」の比較:非労働力率への効果別ウインドウで開きます
I-特-27図 2つのグループ間での「コロナ効果」の比較:非労働力率への効果

I-特-27図[CSV形式:1KB]CSVファイル

以上から,休校の影響により,子供のいる女性の就業率が低下し,非労働力率が上昇している可能性がうかがえる。

5昭和33年法律第56号。

6平成27(2015)年から平成31・令和元(2019)年までのデータから予測モデルを作成して算出。

7当該推定に当たっては,子供がいる人といない人の間の,学歴,年齢,地域,産業,職業,雇用形態の差は除去している。