第1節 男女共同参画社会に向けた施策の総合的な推進

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第1章 男女共同参画社会に向けた施策の総合的な推進

第1節 国内本部機構の強化

(1) 男女共同参画担当大臣等

平成4年以降,歴代内閣において男女共同参画を担当する大臣が置かれている。13年1月以降は,内閣府設置法(平成11年法律第89号)に基づき内閣府特命担当大臣が置かれ,男女共同参画社会の形成の促進に関する事項の企画立案及び総合調整を行っている。また,26年9月以降,女性活躍担当大臣が内閣に置かれている。

(2) 男女共同参画会議の活動

男女共同参画会議は,内閣府設置法及び男女共同参画社会基本法(平成11年法律第78号)に基づき,内閣官房長官を議長として内閣府に設置されている。

第49回男女共同参画会議(平成28年5月13日)では,重点方針専門調査会における計3回の調査検討を踏まえ,次年度予算等に反映することなどにより重点的に取り組むべき事項について,男女共同参画社会基本法第22条第3号に基づく意見として,「男女共同参画・女性活躍の推進に向けた重点取組事項」が決定された。これを受けて,すべての女性が輝く社会づくり本部は,平成28年5月に「女性活躍加速のための重点方針2016」(以下「重点方針2016」という。)を決定した。

平成28年9月には,重点方針専門調査会を2回,女性に対する暴力に関する専門調査会を1回開催し,「重点方針2016」に盛り込まれた施策の29年度予算概算要求,28年度第2次補正予算案等への反映状況及び主要施策の取組状況等について各府省からのヒアリングも踏まえ,調査検討し,第50回男女共同参画会議(28年10月7日)に報告した。同会議では,これら2つの専門調査会の報告を受け,「重点方針2016」に基づく施策の取組状況について審議された。

女性に対する暴力に関する専門調査会では,若年層を対象とした暴力の多様化を踏まえ,民間団体,研究者,関係省庁それぞれの取組や課題等についての調査検討を行い,「若年層を対象とした性的な暴力の現状と課題~いわゆる『JKビジネス』及びアダルトビデオ出演強要の問題について~」を取りまとめ,第51回男女共同参画会議(平成29年3月24日)に報告した。本報告書の提言も踏まえ,平成29年3月に,男女共同参画担当大臣を議長とし,関係府省の部局長を構成員とする「いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・『JKビジネス』問題等に関する関係府省対策会議」が設置され,同月末,取締り等の強化,教育・啓発の強化,相談体制の充実など,4月から緊急に講ずる対策を取りまとめた(第8章第4節2参照)。

働き方改革と表裏一体として女性活躍を加速するために第50回会議で新たに設置された,「男性の暮らし方・意識の変革に関する専門調査会」では,男性が家事,育児,介護等の家庭生活を営む上で生じる様々な活動に積極的に参画していくことについて計5回の調査検討を行い,広報展開を通じた男性が 家事・育児等を行うことの意義の理解促進,先進的な事例収集及び情報提供を含む,男性の家事・育児等への参画促進,乳児用液体ミルクの普及に向けた取組を含む,家事・育児等を軽減する取組の推進等,「男性の暮らし方・意識の改革に向けた課題と方策」を平成29年3月に取りまとめ,第51回会議に報告した。なお,同年2月には,男女共同参画担当大臣,東京都知事,横浜市男女共同参画担当理事,同専門調査会会長,事業者団体,普及を希望する民間団体の代表,関係府省庁の部局長級が出席した関係者会合を開催し,乳児用液体ミルクに関する現状の取組状況や今後の対応方針等について認識を共有した。

平成30年度予算に向けては,第51回会議において,新たな「女性活躍加速のための重点方針」の策定に向けて,重点方針専門調査会及び女性に対する暴力に関する専門調査会で調査検討を行うこととされ,29年3月の重点方針専門調査会で調査検討を開始した。

(3) 男女共同参画推進本部及び男女共同参画担当官会議の開催

男女共同参画推進本部は,男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の円滑かつ効果的な推進を図るため,内閣総理大臣を本部長とし,全閣僚を本部員として,閣議決定により内閣に設置されている。同本部には男女共同参画担当官が置かれ,本部員を補佐するとともに,関係行政機関において所要の調整の事務を行っている。また,本部には,関係行政機関相互の機動的な連携を図るために,男女共同参画担当官会議が置かれている。

(4) すべての女性が輝く社会づくり本部の活動

すべての女性が輝く社会づくり本部は,平成26年10月,様々な状況に置かれた女性が,自らの希望を実現して輝くことにより,日本の最大の潜在力である「女性の力」が十分に発揮され,社会の活性化につながるよう,内閣総理大臣を本部長とし,全閣僚を構成員として,閣議決定により内閣に設置された。28年5月,女性活躍の動きを更に加速するため,今後政府が重点的に取り組むべき事項として「重点方針2016」を決定した(本節(2)参照)。

(5) 男女共同参画推進連携会議を通じた連携強化

内閣府では,各界各層との情報・意見交換やNPO,NGOとの交流による連携を図ることを目的として,男女共同参画推進連携会議を開催している。同会議においては,全体会議のほか,「女性のエンパワーメント促進」,「女性の起業支援」及び「次世代への働きかけ」という3つの重要テーマごとにチームを組織し,情報・意見交換,普及促進の活動を通じて,取組の裾野の拡大や連携の強化を図った。第35回全体会議(平成28年10月13日)では,各チームや,国・地方連携会議ネットワークを活用した男女共同参画推進事業についての報告等が行われた。また,同会議の企画委員会主催による情報・意見交換会として,「聞く会」を開催した。

(6) 国際機関・諸外国の国内本部機構との連携・協力の推進

我が国は,男女共同参画社会の形成の促進に関する各種国際会議への出席,相互交流,情報交換等を通じて,国際機関及び諸外国の国内本部機構との連携・協力に努めた(第13章第2節及び第3節参照)。

(7) 年次報告書及び男女共同参画社会の形成に関する調査研究

内閣府では,男女共同参画社会基本法第12条に基づき,「平成28年版男女共同参画白書」(「平成27年度男女共同参画社会の形成の状況」及び「男女共同参画社会の形成の促進に関する施策」)を作成した。これに併せて,第4次基本計画に掲げられた施策の推進に関連した予算額及び第3次男女共同参画基本計画に掲げられた施策の推進に関連した決算額を取りまとめ,公表した。

また,平成28年9月に男女共同参画社会に関する世論調査を実施し,その結果を同年10月に公表した。

(8) 男女の置かれている状況を客観的に把握するための統計(ジェンダー統計)の充実等

「公的統計の整備に関する基本的な計画」(平成26年3月閣議決定)において,男女別等統計(ジェンダー統計),地域別表章及び各歳別表章の充実を図るとされている。

総務省統計研修所及び国連アジア太平洋統計研修所では,ジェンダー統計に関する講義を行い,国内外の統計担当者の育成を図った。

厚生労働省では,「働く女性の実情」を取りまとめ,毎年公表するほか,「女性就業支援バックアップナビ」1において,働く女性に関する統計の情報提供を行っている。

内閣府では,「地方公共団体における男女共同参画社会の形成又は女性に関する施策の推進状況(平成28年度)」の中で,地方公共団体で行われている調査や統計における男女別等統計の状況について調査し,公表した。

(9) 苦情の処理及び人権侵害に対する被害者救済の充実

内閣府では,国及び地方公共団体(都道府県及び政令指定都市)における男女共同参画社会の形成に関する苦情処理や人権侵害事案の被害者救済体制,平成27年度の苦情処理件数等の把握を行い,取りまとめ結果を重点方針専門調査会に報告した。

総務省では,行政相談委員の中から指名した男女共同参画担当委員(平成29年4月1日現在全国で199人を指名)が,男女共同参画の認識を高めるため,研修会等に参画した。また,男女共同参画センターに開設された行政相談所等において,男女共同参画に関する施策についての苦情等を受け付けている。法務省では,人権擁護委員に対し,「人権擁護委員男女共同参画問題研修」を実施している。

1http://joseishugyo.mhlw.go.jp/