コラム3 「けんせつ小町」が変える建設業

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コラム3

「けんせつ小町」が変える建設業


男性中心の業界だった建設業で,女性の活躍を進める動きが本格化している。国土交通省と建設業5団体が平成26年8月,「5年以内に女性倍増」を目標に掲げた「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」を公表して以降,官民を挙げて,女性も働きやすい職場・業界づくりに向けた各種の取組が進められている。業界団体である一般社団法人日本建設業連合会では,27年10月に建設業で活躍する女性の愛称を「けんせつ小町」と定めた。

すでに女性が活躍する企業も出てきている。住宅や店舗の設計施工・デザイン・ブランディングを手がける有限会社ゼムケンサービス(福岡県北九州市)では,時間的制約のある女性が活躍できるよう,建築設計の世界では珍しいワークシェアリングに取り組み,通常一人で担うことの多い設計業務をチームで行うようにしたほか,テレワークシステムを導入し,在宅勤務も推進した。また教育研修も充実させて女性建築士の育成に努めている。同社が女性の感性を生かして打ち出した,視覚だけでなく聴覚・嗅覚等の五感に訴える新しいコンセプトの空間設計は,多くの顧客から高い評価を得ている。

他の多くの企業も,女性の活躍に向けて前向きに取り組み始めている。国土交通省「建設業における女性の活躍推進に関する取組実態調査」(平成27年12月)によると,回答企業(1,588社,うち従業員300人未満が94.0%)のうち76.0%が,女性の採用や登用に関する目標を「設定している」又は「今後設定する予定」としている。

女性も働きやすい建設業にしていくことは,建設業の魅力を高め,担い手確保に向けた原動力となる。また,効率的で快適な職場環境の整備にもつながっていく。「けんせつ小町」への期待は大きい。

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