はじめに 平成26年度を振り返って

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第1部 平成26年度に講じた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策

はじめに 平成26年度を振り返って

1 「すべての女性が輝く社会」の更なる推進

我が国最大の潜在力である「女性の力」を最大限発揮できるようにすることは,我が国の経済社会の活性化のために不可欠との認識の下,政府は平成26年度においても,女性が輝く社会づくりを政府の最重要課題の一つとして推進した。

「『日本再興戦略』改訂2014」(平成26年6月閣議決定)において,女性の活躍推進の取組をより一層進めるための施策方針を示すとともに,26年9月の第2次安倍改造内閣発足時には,新たに女性活躍担当大臣を内閣に置き,同年10月には,女性活躍推進に関する政府の司令塔として,全閣僚を構成員とする「すべての女性が輝く社会づくり本部」を設置した。同月に同本部で「すべての女性が輝く政策パッケージ」を決定するとともに,27年1月には「女性のチャレンジ応援プラン」を策定し,女性が置かれる様々な状況に対応した支援策を提示した。また,女性の活躍推進の取組を一過性のものに終わらせず,着実に前進させるための新たな枠組みとして,「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案」(以下「女性活躍推進法案」という。)を国会に提出するなど,すべての女性が輝く社会に向けた基盤整備が進められた(特集第1節参照)。

また,第3次男女共同参画基本計画(平成22年12月閣議決定。以下「第3次基本計画」という。)についても,平成27年末の新たな計画の策定に向けた検討が開始された(第1章第2節1参照)。

平成27年1月の産業競争力会議で決定された「成長戦略進化のための今後の検討方針」では,女性の更なる活躍促進に向け,(ア)「待機児童解消」に向けた施策の確実な実行,(イ)長時間労働の是正や柔軟な勤務形態の導入等に向けた企業等の取組促進及び(ウ)男性が育児を行うことや家族の介護による離職への対応を,27年年央の成長戦略改訂に向けた検討課題として示した。

このほか,少子化による人口減少は,地域や国家に多大な影響を及ぼす問題であるとの認識の下,「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(平成26年12月閣議決定)において,地域における女性の活躍推進を主な施策の一つとして掲げたほか,「少子化社会対策大綱」(平成27年3月閣議決定)においても,少子化対策の重点課題の一つとして,男女の働き方改革(男性の意識・行動改革及び「ワーク・ライフ・バランス」・「女性の活躍」の推進)を掲げた。

2 男女共同参画に関わりの深い制度改革の動き

平成26年度は,上述のとおり女性活躍推進法案が国会に提出されるなど,政策・方針決定過程への女性の参画拡大に向けた節目の年となった。

企業における女性の活躍状況が目に見えるものとなるよう,平成26年10月,企業内容等の開示に関する内閣府令(昭和48年大蔵省令第5号)が一部改正され(27年3月施行),有価証券報告書等における役員の女性比率等の記載が義務付けられた。また,企業で女性が活躍しやすい環境づくりの一つとして,27年2月,商業登記規則(昭和39年法務省令第23号)が一部改正され,商業・法人登記簿の役員欄に戸籍名とともに婚姻前の氏も記録することができるようになった(第5章第6節参照)。

子育てに関連する分野では,子ども・子育て関連3法に基づく新たな子ども・子育て支援制度の施行(平成27年4月)に向け,基本指針の制定等の準備が進められた(第6章第2節1(1)参照)。また,次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号。以下「次世代法」という。)が平成26年4月に改正され,同法の有効期限が10年間延長された(第6章第1節2(3)参照)。

3 国際的な動向への対応

平成26年度は,国際的な側面からも,「女性が輝く社会」の実現に向けた取組が進められた。

2014(平成26)年9月に,東京において,「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」(WAW!)が開催された。また,同年5月,中華人民共和国の北京で開催されたアジア太平洋経済協力(以下「APEC」という。)女性と経済フォーラムには,内閣府副大臣及び民間からの代表者が参加した。

2015(平成27)年2月に閣議決定された「開発協力大綱」においては,我が国による開発協力の実施上の原則の一つとして「女性の参画の促進」が掲げられた。

2015(平成27)年3月に仙台市において開催された第3回国連防災世界会議では,女性のリーダーシップの発揮について議論されたハイレベル会合に安倍総理大臣が出席し,基調講演を行った。同会議で採択された「仙台防災枠組2015-2030」には,我が国が重視した女性のリーダーシップの重要性が盛り込まれた(第15章第4節3参照)。安倍総理大臣が発表した我が国の貢献策「仙台防災協力イニシアティブ」においても,女性の参画推進を基本方針の一つとしている。

国際的協調の分野では,2014(平成26)年9月,女子差別撤廃条約の実施状況に関する我が国の第7回及び第8回報告を国連に提出した。また,2015(平成27)年は「北京宣言」及び「北京行動綱領」の採択から20年に当たる(「北京+20」)ことから,我が国におけるそれらの実施状況に関する報告書等を国連に提出し,同年3月に「北京+20」を主要テーマとして開催された第59回国連婦人の地位委員会(以下「CSW」という。)に,外務大臣政務官を首席代表とする代表団が参加した。