第6節 女性の活躍による経済社会の活性化

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第6節 女性の活躍による経済社会の活性化

(1)女性の活躍の推進基盤の構築

「女性の力」を最大限発揮できるようにすることは,我が国の経済社会の活性化のために不可欠との認識の下,平成26年6月,「『日本再興戦略』改訂2014」において,女性の活躍推進の取組をより一層進めるための施策方針を示し,同年10月には「すべての女性が輝く社会づくり本部」を設置した。また,女性活躍推進法案を国会に提出した(特集第1節参照)。

また,企業における女性の活躍推進のため,平成26年6月,安倍総理大臣から経済界に対して,女性の登用に向けた目標の設置及びその達成に向けた自主行動計画の策定,女性の活躍に関する情報の積極的な開示等,更なる女性の活躍推進のための取組を要請した。

(2)女性の活躍状況の「見える化」の推進

女性の活躍推進に向けた企業の取組を,投資家,就業希望者,消費者等から「見える」ようにすることは,当該企業の取組が市場で評価されることを通じ,他の企業にも自主的な取組が波及する好循環が期待される。

金融庁では,平成26年10月,企業内容等の開示に関する内閣府令を改正し(27年3月施行),有価証券報告書等における役員の女性比率等の記載を義務付けた。

内閣府では,平成26年1月から「女性の活躍『見える化』サイト」8を開設し,上場企業1,232社(全上場企業の34.7%)について,役員・管理職の女性比率や女性登用に関する目標のほか,男女別の勤続年数,新卒者の定着率,育児休業の取得者数・復職率,残業時間,年休取得率等13項目のデータを公表している。また,「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」での役員への女性の登用状況等の記載について調査を行い,その結果を平成27年3月に公表した。

厚生労働省では,個別企業に対し,ポジティブ・アクションの取組と併せ,企業の取組内容等を閲覧・検索できる「ポジティブ・アクション応援サイト」や自社の女性活躍推進についてサイト上で宣言できる「女性の活躍推進宣言コーナー」等各種コンテンツを備えた「ポジティブ・アクション情報ポータルサイト」を活用した女性の活躍状況の情報開示を働きかけるとともに,当該サイトによりポジティブ・アクションに関する総合的な情報提供を行っている。

内閣府では,女性の登用に関する取組及び実績並びにそれらの情報開示において顕著な功績があった企業を対象とした「女性が輝く先進企業表彰」(内閣総理大臣表彰,内閣府特命担当大臣(男女共同参画)表彰)を創設し,平成27年1月に合計7社を表彰した。

経済産業省では,平成24年度から女性等の多様な人材をいかす経営に取り組む企業を表彰する「ダイバーシティ経営企業100選」を開始し,26年度は,大企業28社,中小企業24社の計52社を選定した。ダイバーシティ企業の取組を発信し,積極的に取り組む企業の裾野の拡大を通じて,女性活躍推進の加速化を図っている。

また,女性活躍に優れた上場企業を選定する「なでしこ銘柄」の発表を平成24年度から東京証券取引所と共同で実施しており,26年度は,選定枠を拡大して実施し,40社を選定した。

さらに,企業の経営戦略としての女性活躍推進を進めるため,「ダイバーシティ経営企業100選」や「なでしこ銘柄」の選定企業が登壇して,その取組や成果について,企業経営者や学生に向けて発信するセミナーを全国11箇所で開催した。

8内閣府 女性の活躍「見える化」サイト http://www.gender.go.jp/policy/mieruka/company/mierukasite.html

(3)女性が活躍できるようにするための環境整備

内閣府では,家事・子育て等の経験を活かしてチャレンジしたいという希望を持つ女性に対して身近で挑戦しやすい支援策を情報発信する「女性のチャレンジ応援プラン」を平成27年1月に取りまとめて公表した。

また,女性のライフステージや個々の希望に応じた支援情報が実施機関ごとに点在しているなど,必要な情報にアクセスしにくい状況を踏まえ,様々な支援情報を集約・整理し,分かりやすく案内する「女性応援ポータルサイト」を,平成27年3月に内閣府ホームページに開設した。

女性が活躍できるようにするためには,安価で安心な家事支援サービスを利活用できる環境整備を図ることも重要である。経済産業省では,主要事業者等から成る「家事支援サービス推進協議会」を開催して検討を行い,平成27年1月,品質確保に向けた家事支援サービス事業者の取組指針となる「家事支援サービス事業者ガイドライン」を策定・公表した。

企業で女性が活躍しやすい環境づくりの一つとして,法務省は,平成27年2月,商業登記規則を一部改正し,商業・法人登記簿の役員欄に戸籍名とともに婚姻前の氏も記録することができるようになった。

平成26年6月,企業の経営トップ等による「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」が発足し,「行動宣言」が取りまとめられた。「行動宣言」では,「自ら行動し,発信する」,「現状を打破する」,「ネットワーキングを進める」の三つの視点から,さまざまな女性の意欲を高め,その持てる力を最大限発揮できるよう経営者(男性リーダー)が率先して取り組んでいくことを宣言している。内閣府では,男女共同参画局のホームページで「行動宣言」の賛同者を募るとともに,男性経営者による取組の好事例を広報誌,Facebook等で情報発信した。

女性の参画が少ない分野での就業等を支援するため,国土交通省では,自動車運送事業等における女性活用に向けた取組として,平成26年7月に「自動車運送事業等における人材の確保及び育成に向けたプロジェクトチームとりまとめ」を公表し,女性向け短時間勤務の導入による「働き方」改革や女性の活躍のための環境整備等を提言した。

また,女性トラックドライバーに「トラガール」という愛称をつけ,業界イメージの改善に向けた積極的な情報発信を行うため,自動車局ウェブサイト内に「トラガール促進プロジェクトサイト」を開設するとともに,経営者の意識啓発のために事業者向けのパンフレットを作成した。

建設業においては,5年以内に女性の技術者及び技能者を倍増することを目指し,平成26年8月に国土交通省と建設業団体が共同で「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」を策定し,男女問わず誰もが働きやすい建設業を目指す官民挙げた取組をスタートした。

そして,平成26年9月に「トラガール」と建設業で活躍する女性が総理表敬を行い,両分野での女性の活躍の姿や政府等の取組を広く社会に発信した。

独立行政法人国立女性教育会館では,企業の管理職等を対象に,女性の活躍事例等を取り上げた「企業を成長に導く女性活躍促進セミナー」及び「ダイバーシティ推進リーダー会議」を実施した。