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第3節 様々な分野における女性の参画
(着実に増加する司法分野における女性割合)
内閣府「女性の政策・方針決定参画状況調べ」(平成26年度)によると,裁判官に占める女性の割合は,女性の新任判事補採用者数の増加に伴い着実に増加しており,平成26年は18.7%となっている。なお,27年4月1日現在,女性3人が最高裁判所の裁判官に任命されている。
検察官,弁護士についても,平成26年の女性の割合がそれぞれ15.8%,18.1%となっており,着実に増加している。
司法試験合格者に占める女性割合は,平成4年以降はおおむね2~3割で推移しており,26年は22.5%と前年に引き続き減少となった(I-1-11図)。なお,法曹養成に特化した教育を行う専門職大学院である法科大学院では,女子学生が約3割を占めていることから(第6章第1節参照),今後の司法分野での女性の参画拡大が期待される。
(農山漁村における政策・方針決定過程への女性の参画)
農林水産業に従事する女性は,産業の重要な担い手として,地域社会の活性化に大きく貢献している。
農業委員会の委員や,農業協同組合及び沿海地区出資漁業協同組合の役員に占める女性の割合は,徐々に増加している。平成26年度(速報値)において女性委員のいない農業委員会数は529(全農業委員会の31.0%),女性役員のいない農業協同組合数は159(全農業協同組合の22.7%)となっている(I-1-12図)。
I-1-12図 農業委員会,農協,漁協への女性の参画状況の推移
(メディアにおける女性の参画)
新聞や放送等のメディア分野における女性の参画は,提供する情報の内容が偏ることを防止したり,性・暴力表現に関する有効な対策等,メディアが自主的に女性や子供の人権に配慮した表現を行うなどの取組を進めていく上で重要な役割を果たすものと期待されている。
新聞及び放送業界における女性の参画状況について見ると,新聞・通信社等及び日本放送協会の全従業員に占める女性の割合,新聞・通信社等の女性記者の割合,民間放送及び日本放送協会の女性管理職の割合は,おおむね増加傾向にある。平成26年における全従業員に占める女性の割合は,それぞれ,新聞・通信社等は15.8%,民間放送は20.9%,日本放送協会は15.2%となっている(I-1-13図)。
(国際的に見て低い水準にある我が国の状況)
以上のとおり,政策・方針決定過程において「指導的地位23」に占める女性の割合は緩やかに増加しており,その水準は依然として低いものの,政府が定める「2020年30%の目標」を達成している分野も出てきている(I-1-14図)。
国際的には,2014(平成26)年に国連開発計画(UNDP)が発表した「人間開発報告書」によると,我が国は,人間開発指数(HDI)が測定可能な187の国と地域中17位であり,ジェンダー不平等指数(GII)は測定可能な149か国中25位となっている。一方,世界経済フォーラムが2014(平成26)年に発表したジェンダー・ギャップ指数(GGI)は,測定可能な142か国中104位となっている。
GGIの順位はHDIやGIIの順位と比べて著しく低くなっており,我が国は,人間開発の達成度では実績を上げているが,政治・経済活動や意思決定に参加する機会においては,諸外国と比べて男女間の格差が大きいと考えられる(I-1-15表)。
I-1-14図 各分野における「指導的地位」に女性が占める割合
23「指導的地位」の定義:①議会議員,②法人・団体等における課長相当職以上の者,③専門的・技術的な職業のうち特に専門性が高い職業に従事する者とするのが適当(男女共同参画会議決定(平成19年2月14日))。
(注)
HDI 人間開発指数(Human Development Index)
国連開発計画(UNDP)による指数で,「長寿で健康な生活」,「知識」及び「人間らしい生活水準」という人間開発の3つの側面を測定したもの。具体的には,出生時の平均寿命,知識(平均就学年数及び予想就学年数),1人当たり国民総所得(GNI)を用いて算出している。
GII ジェンダー不平等指数(Gender Inequality Index)
国連開発計画(UNDP)による指数で,国家の人間開発の達成が男女の不平等によってどの程度妨げられているかを明らかにするもの。次の3側面5指標から構成されている。
【保健分野】・妊産婦死亡率 ・15~19歳の女性1,000人当たりの出生数
【エンパワーメント】・国会議員女性割合 ・中等教育以上の教育を受けた人の割合(男女別)
【労働市場】・労働力率(男女別)
GGI ジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index)
世界経済フォーラムが,各国内の男女間の格差を数値化しランク付けしたもので,経済分野,教育分野,政治分野及び保健分野のデータから算出され,0が完全不平等,1が完全平等を意味しており,性別による格差を明らかにできる。具体的には,次のデータから算出される。
【経済分野】・労働力率 ・同じ仕事の賃金の同等性 ・所得の推計値 ・管理職に占める比率 ・専門職に占める比率
【教育分野】・識字率 ・初等,中等,高等教育の各在学率
【保健分野】・新生児の男女比率 ・健康寿命
【政治分野】・国会議員に占める比率 ・閣僚の比率 ・最近50年の国家元首の在任年数