第4節 まとめと今後の展望

本編 > I > 特集 > 第4節 まとめと今後の展望

第4節 まとめと今後の展望

ここまで見てきたように,女性の活躍の状況や,就業・生活の状況は,地域により様々な特徴があり,一様ではないことから,それぞれの地域の特徴を十分踏まえた上で今後の取組を進めていくことが求められる。

まず政治分野では,現在は東京圏,近畿地方等,どちらかというと都市部で地方議会への女性の参画が進んでいるが,それ以外の地域でも,地方政治そのものを活性化させていく過程で女性の立候補者を増やしていくことで,女性の参画が進んでいくことが期待される。

地方公共団体や民間企業における女性の活躍は,地域によりばらつきがあるが,管理的職業従事者の女性割合については,近畿地方以西で全国平均より高い傾向が見られた。

地方公共団体においても,民間企業においても,女性の採用拡大の取組とあわせ,働き続けやすい環境づくりや管理職登用に向けた人材育成等,息の長い総合的な取組を計画的に進めていくことが重要である。

また,女性の有業者に占める起業者割合は,中国地方,四国地方及び九州地方で,平均より高いところが比較的多く見られた。起業は,地域の活性化に貢献することは言うまでもないが,女性にとっては多様な能力の発揮や自己実現につながる意義も大きく,女性が起業という手段を選びやすくなるような環境整備が重要である。

男女の就業や労働時間に着目すると,東京圏や大阪圏,北海道や福岡県といった,大都市を抱える都道府県やその近隣で,男性の長時間労働が多く,かつ女性の有業率が低い傾向が見られた。また,これらの地域では,性別役割分担意識も強い傾向が見られた。女性がその希望に応じた就業を実現できるようにするため,男性の家事や育児への参画意識を高め,男性の長時間労働の是正を図ることが重要と考えられる。長時間労働の是正はまた,地域活動の活性化のためにも重要である。

また,子育てに関する意識を見ると,理想の子供数を実現するために必要なこととして,経済的な負担の問題のほか,女性は周囲からのサポートを男性よりも重視している傾向が見られた。子育てを女性だけの負担にせず,家庭や職場,社会が支えることで,理想の子供数の実現につなげていくことが重要である。

他方で,東京圏への女性の流入が近年増加しており,女性の就業率が高まる中,現役世代の女性の就業の場は,東京圏で拡大してきている。しかし,女性は必ずしも都市部で仕事をすることにあこがれているというわけではない。一方,都市部でも地方でも,地域とのつながりが女性の居住意向に影響を与えている可能性がある。地域のつながりを生かしつつ,女性の就業意欲の高まりに対応できる就業の場の拡大が地方で進めば,地方は女性にとってより魅力ある場所となると考えられる。

地域がその活力を高めていくためには,男女が共に暮らし,働き,子供を産み育てることを通じて理想を実現できる地域にしていくことが重要である。それぞれの地域の特色を生かしながら,活力のある地域づくりを進めていくことが期待される。