男女共同参画白書(概要版) 平成26年版

本編 >第1部 男女共同参画社会の形成の状況 > 特集 変わりゆく男性の仕事と暮らし > 第1節 家族・世帯及び男女の仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の現状と変化

第1節 家族・世帯及び男女の仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の現状と変化

1 家族・世帯の現状と変化

(平均寿命)

我が国の平成24年における平均寿命は,男性で79.94年,女性で86.41年と,男女とも世界でトップクラスとなっている。生命表上の死亡数が最も多くなるのは,男性で86歳,女性で91歳と,男女とも平均寿命よりさらに5~6歳ほど上の年齢においてである。多くの人にとって,一般的に定年を迎える60歳代以降の第二の人生の時間は非常に長いと言える。

(世帯構造の変化)

世帯の家族類型別構成割合について昭和55年から平成22年の変化を見ると,「夫婦と子供」から成る世帯及び「3世代等」の世帯の割合が低下し,「単独」世帯及び「夫婦のみ」の世帯が増加している。また,1世帯当たり人員は昭和55年の3.22人から平成22年の2.42人へと減少している(第1図)。この傾向は今後も続き,2035(平成47)年には1世帯当たり人員は2.20人まで減少し,単独世帯の割合は37.2%まで増加する見通しである。

第1図 世帯の家族類型別割合の推移(昭和55年→平成22年)

30歳代以上の男女における「単独」世帯数や,ひとり親と子供の世帯(「女親と子供」及び「男親と子供」の合計)の割合が増加するなど,もはや,特定の家族類型をもって標準的な家族構成とすることができない状況になってきている。

働き手という観点から世帯を見ると,平成9年以降は共働き世帯数が男性雇用者と無業の妻から成る世帯数を上回っている(第19図参照)。仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)は,既に,性別,年齢,家族類型を問わない普遍的な問題になっていると考えられる。

なお,単独世帯数の増加には,高齢者人口の増加に伴い配偶者と離別した者が増加していることに加え,未婚率が上昇していることが影響していると考えられる。

(未婚者の割合と特徴)

就業形態(従業上の地位及び雇用形態)別の未婚者の割合を年齢階級別に見ると,男性では「非正規雇用者」の未婚率が,女性では「正規雇用者」の未婚率が,全年齢階級を通じてそれぞれ「就業者全体」の未婚率と同値または上回っている(第2図)。

また,生涯未婚率を教育(卒業)別に見ると,男性では,到達した教育段階が低いほど生涯未婚率が高い傾向が見られ,平成2年から22年にかけて,いずれの教育段階においても未婚率が上昇している。女性では,「小学校・中学校」卒業者の生涯未婚率が大きく上昇しており,U字カーブの形状が顕著になっている。

第2 図 就業状態(従業上の地位及び雇用形態)別に見た年齢階級別未婚者の割合(男女別,平成25年)

(結婚・独身に関する独身者の意識の変化)

独身に利点があると感じている独身者の割合は,男性で80%台前半,女性で80%台後半と,昭和62年以降いずれも高い水準で推移している。独身の利点としては,男女とも「行動や生き方が自由」が最も多く挙げられている。結婚に利点があると感じている独身者男性は,62年以降60%台で微減傾向にある一方,独身者女性は70%前後で横ばいが続いた後,平成17年以降は微増に転じている。結婚することの利点としては,男女とも「子どもや家族をもてる」ことを挙げる割合が上昇しているほか,女性では「経済的余裕がもてる」ことも上昇している。独身者女性において,結婚に利点を感じる者の割合が増加するとともに,配偶者に対する経済的な期待が強まっていることがうかがわれる。

(子ども数の理想と現実)

初婚どうしの夫婦の妻が理想とする子ども数及び予定する子ども数とも,昭和62年をピークに減少しており,平成22年には,理想とする子ども数は2.42人,予定する子ども数は2.07人となっている。他方で,独身者が希望する子ども数は,14年以降,男性はほぼ横ばいとなっている一方,女性については上昇に転じている。

平成22年において,予定子ども数が理想子ども数を下回る夫婦は全体の32.7%となっている。予定子ども数が理想子ども数を下回る理由について,14年から22年の推移を妻の従業上の地位別に見ると,正規雇用者である妻において,「自分の仕事に差し支えるから」を選択する割合が高い傾向が見られる。「夫の家事・育児への協力が得られないから」等の夫に関する理由は,全般として上位には挙がっておらず,正規雇用者である妻が「夫の家事・育児への協力が得られないから」を選択する割合は,14年の12.6%から22年の9.4%へと減少している(第3図)。

第3図 妻の従業上の地位別予定子ども数が理想子ども数を下回る理由の推移(平成14年→22年,複数回答)

2 男女の仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の現状と変化

(就業時間の推移)

年間就業日数が200日以上の就業者の週間就業時間を見ると,週60時間以上就業している者の割合は,性別では,就業形態を問わず女性より男性の方が高い。また,就業形態別では,性別を問わず「自営業主」で最も高く,「非正規の職員・従業員」で最も低くなっている(第4図)。

年間就業日数が200日以上の就業者に占める週間就業時間が60時間以上の就業者の割合は,昭和62年の男性20.0%,女性9.9%から,平成24年には男性16.8%,女性6.1%と,男女とも大きく低下している。しかし,男女それぞれについて就業形態別に推移を見ると,長期的な減少傾向は特定することができない。このことより,年間就業日数が200日以上の就業者に占める週間就業時間が60時間以上の就業者の割合が昭和62年以降長期的に低下している一因として,雇用者に占める「非正規の職員・従業員」の割合の上昇が影響していることが考えられる。

第4図 年間就業日数200日以上の就業者の就業形態別週間就業時間の推移(男女別,昭和62年→平成24年)

(有業・有配偶男女の仕事時間及び家事関連時間の推移)

有業・有配偶の男女の「仕事時間」(週全体平均)については,男女とも平成13年から23年にかけて仕事に従事した者の割合(行動者率)が低下した一方で,就業した者が仕事に従事した1日当たりの平均時間(行動者平均時間)は伸びており,23年における男性の1日当たりの行動者平均時間は536分,女性は390分となっている。13年,23年ともに行動者率,行動者平均時間とも男性が女性を上回っている。

また,家事関連活動(「家事」,「介護・看護」,「育児」及び「買い物」)に従事した者の1日当たりの平均従事時間(行動者平均時間)は,有業・有配偶の男女とも平成13年から23年にかけて増加しており,23年における行動者平均時間は,男性が358分,女性が530分となっている。男性の家事活動に従事した者の割合(行動者率)の女性比は,全ての活動について13年から23年にかけて増加しているが,行動者平均時間の女性比はほぼ横ばいとなっている(第5図)。

第5図 配偶関係別に見た有業者の時間の使い方の特徴(男女別,平成23年)

(男性の育児休業等制度の利用状況)

男性の育児休業取得率は,長期的には増加傾向にあるものの,平成24年度において1.89%にとどまっている(第6a図)。

6歳未満の子供がいる世帯における有業の夫の,短時間勤務制度や企業独自の制度を含む育児休業等制度の利用状況を見ると,平成24年における利用者は10.6%となっている(第6b図)。利用者の妻の48.7%は無業者である。また,妻が有業で育児休業等制度を利用していない割合は,男性の育児休業等制度利用者の妻全体の12.2%となっている。

第6図 男性の育児休業等制度の利用状況

(介護者の状況)

平成22年における要介護者10万人に対する同居の介護看護者数を見ると,男女とも50歳代から70歳代にかけて人数が多くなるとともに,男女の差も大きくなっている。

介護・看護を理由とした離職者数は,年によって変動が見られるものの,男性に比べて女性が大幅に多い傾向が続いている。男女とも,就業しながらの介護・看護,あるいは将来的な就業復帰を希望する割合が高い。

(配偶関係別に見た有業者の時間の使い方)

有業者の「仕事時間」を配偶関係別に見ると,仕事に従事した者の割合(行動者率)及び従事者の1日当たりの平均従事時間(行動者平均時間)とも,配偶関係にかかわらず男性の方が高く(長く)なっている。未婚の男女を「家事」について見ると,活動従事者の割合(行動者率)では男女差が大きいが,活動従事者の1日当たりの平均従事時間(行動者平均時間)はほぼ同水準となっている。「自由時間」については,活動に従事した者の割合(行動者率)は,性別,配偶関係による大きな差は見られないが,従事者の1日当たりの平均従事時間(行動者平均時間)では,おおむね男性が女性より30分程度長くなっている。なお,有配偶の男女と未婚の男女について自由時間(行動者平均時間)を比べると,男女ともに未婚者の方が30分程度長くなっており,多くの独身者が「行動や生き方が自由」であることを独身の利点と考えていること(第1節1参照)と整合している(第5図参照)。