第2節 就労の場における女性

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第2節 就労の場における女性

(有配偶者で低い女性の労働力率)

女性の年齢階級別労働力率を未婚者,有配偶者別に見ると,20歳代から40歳代にかけて有配偶者の労働力率は未婚者の労働力率よりかなり低くなっている。未婚者は20歳代後半をピークに年齢とともに徐々に下降するのに対し,有配偶者では40歳代後半がピークとなっており,この傾向は昭和50年,平成2年,24年とも変わらない。

有配偶の女性について,年齢階級別に年を追って見ると,20歳代後半の労働力率は過去に比べ大きく上昇しているが,30歳代前半の変化はそれほど大きくなく,平成24年の30歳代後半及び40歳代前半の労働力率は, 2年とほとんど変化がない。これは,子育ての時期が遅くなったことなどにより,労働市場から離れる時期が高い年齢層に移行したことも影響していると考えられる(第1-2-12図)。

第1-2-12図 配偶関係・年齢階級別女性の労働力率の推移 別ウインドウで開きます
第1-2-12図 配偶関係・年齢階級別女性の労働力率の推移

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(女性の勤続年数は長期化傾向)

女性雇用者の勤続年数には長期化傾向が見られる。厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(平成24年)によると,平成24年の雇用者のうち女性の平均年齢は40.0歳(23年:39.9歳),平均勤続年数は8.9年(23年:9.0年)であった。男性は平均年齢42.5歳(23年:42.3歳),平均勤続年数13.2年(23年:13.3年)となっている。

雇用者構成を勤続年数階級別に見ると,10年以上の勤続者割合は,女性では約3分の1であるのに対し,男性では約半数となっている (第1-2-13図)。

第1-2-13図 勤続年数階級別一般労働者の構成割合の推移(男女別) 別ウインドウで開きます
第1-2-13図 勤続年数階級別一般労働者の構成割合の推移(男女別)

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(管理職に占める女性割合の推移)

女性の勤続年数は徐々に長期化傾向にあるが,管理職に占める女性割合は依然として低い。

総務省「労働力調査(基本集計)」(平成24年平均)によると,管理的職業従事者(公務及び学校教育を除く)に占める女性の割合は,平成24年は11.6%で,依然として低い水準にある。

厚生労働省「賃金構造基本統計調査」(平成24年)で女性管理職を役職別に見ると,係長相当職の割合が最も高く,平成24年は14.4%となっている。上位の役職では女性の割合が更に低く,課長相当職は7.9%,部長相当職では4.9%であり,いずれも長期的には上昇傾向にはあるものの低い水準にとどまっている(第1-2-14図)。

第1-2-14図 役職別管理職に占める女性割合の推移 別ウインドウで開きます
第1-2-14図 役職別管理職に占める女性割合の推移

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(就業形態や役職,勤続年数の違いを背景とした男女の給与所得格差,女性の6割以上が300万円以下の所得者)

男女の給与所得には大きな差がある。

国税庁「民間給与実態統計調査」(平成23年分)により1年間を通じて勤務した給与所得者について男女別に給与水準を見ると,300万円以下の所得者の割合が男性では23.9%であるのに対し,女性では66.1%に達している。また,700万円超の者は,男性では18.0%となっているのに対し,女性では2.8%に過ぎない(第1-2-15図)。

第1-2-15図 給与階級別給与所得者の構成割合(男女別,平成23年) 別ウインドウで開きます
第1-2-15図 給与階級別給与所得者の構成割合(男女別,平成23年)

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この状況の背景としては,正社員に比べて賃金水準が低い短時間労働に女性の就労が多いなど,雇用形態において男女間に違いがあること,また,パートタイム等に従事する女性では,収入が一定範囲を超えないよう調整する者もいることなどが考えられる。さらに,正規雇用者であっても,役職や残業時 間,勤続年数の男女差が大きく影響しているものと考えられる。

(所定内給与格差は,一般男女労働者間は長期的に は縮小傾向,短時間労働者と一般労働者間も長期 的にはやや縮小)

一般労働者における男女の平均所定内給与額の差は,長期的に縮小傾向にあり,平成24年については,男性一般労働者の給与水準を100としたとき,女性一般労働者の給与水準は70.9と前年に比べ0.3ポイント縮小した。また,一般労働者のうち,正社員・正職員の男女の所定内給与額の差は73.4となっており,前年に比べ0.1ポイント縮小した(第1-2-16図)。

第1-2-16図 男女間所定内給与格差の推移 別ウインドウで開きます
第1-2-16図 男女間所定内給与格差の推移

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次に男性一般労働者と男女の短時間労働者の1時間当たり平均所定内給与額の差について見ると,平成24年では,男性一般労働者の給与水準を100としたとき,男性短時間労働者は55.2となっており,依然としてその格差は大きい。また,男性の短時間労働者に対して女性の短時間労働者の水準は更に低く,男性一般労働者と比較すると,女性の短時間労働者の給与水準は50.5となっている。24年も前年に比べ0.2ポイント格差が縮小し男性一般労働者に対する格差は縮小傾向にあるが,依然低い水準にとどまっている。男性短時間労働者に対しても長期的には格差が縮小しているものの,引き続き5ポイント程度の差がある(第1-2-17図)。

第1-2-17図 労働者の1時間当たり平均所定内給与格差の推移 別ウインドウで開きます
第1-2-17図 労働者の1時間当たり平均所定内給与格差の推移

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このような背景には,一般労働者間であっても男性に比べて女性の勤続年数が短かったり,職階が低かったりすることなどを主な理由とする男女間の賃金格差がある(第1-2-18表)。

第1-2-18表 男女間の賃金格差の要因(単純分析) 別ウインドウで開きます
第1-2-18図 男女間の賃金格差の要因(単純分析)

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