第1節 就業者をめぐる状況

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第1節 就業者をめぐる状況

(労働力人口の推移)

総務省「労働力調査(基本集計)」(平成24年平均)によると,全国の労働力人口は6,555万人で,前年に比べ36万人減少した。男女別に見ると,男性が3,789万人(前年比33万人減)となり,女性は2,766万人(前年比2万人減)となった。平成24年の労働力人口に女性が占める割合は42.2%となっている。

労働力率を見ると,全国の平成24年平均は59.1%で前年比0.2ポイントの低下となった。男女別の労働力率では,女性は48.2%で前年と変わらず,男性は70.8%で前年比0.3ポイントの低下となった。

(女性の年齢階級別労働力率(M字カーブ)の変化)

女性の年齢階級別労働力率について昭和50年からの変化を見ると,現在も依然として「M字カーブ」を描いているものの,そのカーブは以前に比べて浅くなっており,M字の底となる年齢階級も上昇している。

昭和50年では25~29歳(42.6%)がM字の底となっていたが,25~29歳の労働力率は次第に上がり,平成24年では,年齢階級別で最も高い労働力率(77.6%)となっている。24年を見ると35~39歳(67.7%)の年齢階級がM字の底となっているが,30~34歳の年齢階級と共に30代の労働力率は上昇しており,M字カーブは台形に近づきつつある(第1-2-1図)。

第1-2-1図 女性の年齢階級別労働力率の推移 別ウインドウで開きます
第1-2-1図 女性の年齢階級別労働力率の推移

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なお,女性の25~54歳の就業率を他のOECD諸国と比較すると,我が国は30か国中22位である(第1-2-2図)。また,女性労働力率のM字カーブは欧米諸国では既に見られない(第1-2-3図)。

第1-2-2図 OECD諸国の女性(25~54歳)の就業率 別ウインドウで開きます
第1-2-2図 OECD諸国の女性(25~54歳)の就業率

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第1-2-3図 女性の年齢階級別労働力率(国際比較) 別ウインドウで開きます
第1-2-3図 女性の年齢階級別労働力率(国際比較)

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(女性の約8割が第3次産業従事者)

産業別に就業者割合を見ると,男女共に第3次産業の割合が高い。女性で特にその傾向が顕著であり,第2次産業の割合は一貫して低下し,平成24年において第3次産業の就業者は8割程度を占めている。これに対し男性は,女性に比して第2次産業の低下が緩やかであり,24年においても第3次産業の就業者は6割程度を占めている(第1-2-4図)。

第1-2-4図 産業別就業者構成比の推移(男女別) 別ウインドウで開きます
第1-2-4図 産業別就業者構成比の推移(男女別)

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職業別の就業者割合については,平成23年から職業分類が大幅に改定されたため,過去からの比較は困難であるが,女性は,事務従事者とサービス職業従事者の割合を合わせると約5割となり,男性に比べ2倍以上になっている(第1-2-5図)。

第1-2-5図 職業別就業者構成比(男女別,平成24年) 別ウインドウで開きます
第1-2-5図 職業別就業者構成比(男女別,平成24年)

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(就業者に占める雇用者割合の上昇)

就業者を従業上の地位別に見ると,男女共に,就業者に占める雇用者の割合が上昇し続け,自営業者及び家族従業者の割合は低下し続けている。平成24年では,就業者に占める雇用者割合は女性で88.8%,男性で87.1%となっている(第1-2-6図)。

第1-2-6図 就業者の従業上の地位別構成比の推移(男女別) 別ウインドウで開きます
第1-2-6表 就業者の従業上の地位別構成比の推移(男女別)

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(増加する女性雇用者数)

平成14年から24年までの間の男女雇用者数の推移を見てみると,男性雇用者数が約22万人減少している一方で女性雇用者数は約196万人増加している。男性雇用者が多い産業で雇用者数が減っているのに対して,女性雇用者が多い産業では雇用者数が増えている(第1-2-7図)。

第1-2-7図 産業別雇用者数の増減(男女別,平成14年→24年)別ウインドウで開きます
第1-2-7図 産業別雇用者数の増減(男女別,平成14年→24年)

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(非正規雇用者率の増加)

正規の職員・従業員が役員を除く雇用者全体に占める割合を男女別に見ると,女性は昭和60年に67.9%であったが,平成24年には45.5%にまで減少している。男性についても,昭和60年は92.6%であったが,平成24年には80.3%に減少している。男女ともパート・アルバイト等の非正規雇用者の割合は上昇傾向にあり,特に女性はその割合が昭和60年の32.1%から平成24年には54.5%にまで上昇しており,過半数を占めるに至っている(第1-2-8図)。

第1-2-8図 雇用形態別に見た役員を除く雇用者の構成割合の推移(男女別)
第1-2-8図 雇用形態別に見た役員を除く雇用者の構成割合の推移(男女別)

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一方で,男女別・年齢階級別に非正規雇用者の割合の推移を見てみると,女性の25~34歳を除く全ての層で50%を超えていること,男女の若年層(15~24歳,25~34歳)や男女の高年層(55~64歳)で上昇傾向となっていることが特徴的である(第1-2-9図)。

第1-2-9図 年齢階級別非正規雇用者の割合の推移(男女別)別ウインドウで開きます
第1-2-9図 年齢階級別非正規雇用者の割合の推移(男女別)

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また,総務省「労働力調査(詳細集計)」(年平均)によると,労働者派遣事業所の派遣社員数は平成20年まで増加傾向にあったが,21年には108万人(うち女性は72万人)で前年より32万人減(うち女性は13万人減),22年には96万人(うち女性は62万人)で前年より12万人減(うち女性は10万人減)となっている。24年には90万人(うち女性は55万人)で,前年からほぼ横ばい(うち女性は4万人減)となっている(第1-2-10図)。

第1-2-10図 労働者派遣事業所の派遣社員数の推移(男女別) 別ウインドウで開きます
第1-2-10図 労働者派遣事業所の派遣社員数の推移(男女別)

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(雇用者の高学歴化の進展)

雇用者の教育別の構成を見ると,男女共に中学卒及び高校卒が減少傾向にある一方で高専・短大卒及び大学・大学院卒は増加傾向にある。これは,近年の高等教育機関への進学率上昇に伴い,新規学卒就職者が高学歴化しているためと考えられる。

男女別に見ると,女性については,雇用者に占める大学・大学院卒の割合が上昇傾向にあり,平成24年では22.7%となっているものの,女性雇用者全体に占める割合では,高専・短大卒の方が大学・大学院卒より依然として高くなっている。男性については,大学・大学院卒の割合は24年で37.9%と,女性よりも相当高くなっている(第1-2-11図)。

第1-2-11図 教育別一般労働者の構成割合の推移(男女別) 別ウインドウで開きます
第1-2-11図 教育別一般労働者の構成割合の推移(男女別)

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