平成24年版男女共同参画白書

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第8章 貧困など生活上の困難に直面する男女への支援

第1節 セーフティネットの機能の強化

1 社会保険の適用拡大の検討

厚生労働省としては,非正規労働者への雇用保険の適用拡大(6か月以上雇用→31日以上雇用)について,事業主に対する周知等を通じて,着実な実施に取り組んでいる。

また,雇用保険を受給できない求職者を対象に,職業訓練を実施するとともに,訓練期間中の生活を支援し,訓練の受講を容易にするための給付金を支給することなどにより早期の就職を支援する,「求職者支援制度」を実施している。さらに,社会保険制度を働き方に中立的な制度とするため,短時間労働者への厚生年金・健康保険の適用拡大等を内容とする「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案」を第180回国会に提出した(第3章第1節3参照)。

2 就労による経済的自立を目指す仕組みの確立

雇用保険制度において,基本手当の算定基礎となる賃金日額の引上げや早期再就職のインセンティブを強化するための再就職手当の給付率の引上げを行い,セーフティネットとしての機能強化を図った。

3 ナショナルミニマムの基準・指標の研究

ナショナルミニマムの考え方は,世界に例を見ない少子高齢社会を迎えている我が国において,貧困や格差を縮小し,地域で安心して暮らせる豊かな社会を目指して,あらゆる社会保障制度や雇用政策の設計の根幹となるものである。

このため,平成22年6月のナショナルミニマム研究会の中間報告で示された課題については,厚生労働省が23年5月12日に公表した「社会保障制度改革の方向性と具体策」において,指標の開発等,貧困・格差対策として今後取り組むべき事項を示しており,社会保障と税の一体改革に発展的に引き継いでいる。また,貧困・格差対策の強化を含め, 24年2月17日に「社会保障・税一体改革大綱」が閣議決定され,さらに同年3月30日には社会保障改革の工程表が閣議決定された。