平成24年版男女共同参画白書

本編 > 第2部 > 第3章 > 第1節 男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し

第3章 男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し,意識の改革

第1節 男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し

1 男女の社会における活動の選択に中立的な社会制度の検討

男女共同参画会議基本問題・影響調査専門調査会は,平成24年2月に「女性が活躍できる経済社会の構築に向けて」について報告書を取りまとめた。報告書は,女性の経済社会分野での活躍を進めるため,社会制度・慣行等の重点分野に関する施策の在り方等について提言している。

2 税制の見直しの検討

社会制度・慣行のうち,所得税・個人住民税の配偶者控除については,第3次男女共同参画基本計画で,「国民生活に与える影響に配慮しつつ,配偶者控除の縮小・廃止を含めた税制の見直しの検討を進める」とされたことなどを踏まえ,平成24年度税制改正要望において,厚生労働省と内閣府との共同で見直しの要望を行ったが,引き続き検討することとされた。

3 社会保障制度の検討

社会保険制度を働き方に中立的な制度とするため,短時間労働者への厚生年金・健康保険の適用拡大や産休期間中の厚生年金保険料・健康保険料の免除を行うとともに,遺族基礎年金の男女差を解消するため,遺族基礎年金の支給対象を父子家庭に拡大することなどを内容とする「公的年金制度の財政基盤及び最低保障機能の強化等のための国民年金法等の一部を改正する法律案」を第180回国会に提出した。

4 家族に関する法制の整備等

男女共同参画会議監視専門調査会は,平成23年5月,女子差別撤廃委員会の最終見解において同年8月までにフォローアップ報告を求められた選択的夫婦別氏制度の導入等の民法改正等に関するフォローアップを行った。

政府は,平成23年8月,男女共同参画会議監視専門調査会での議論を踏まえつつ,NGOとの意見交換を行いながら,同フォローアップ報告書(日本政府コメント)を取りまとめ,女子差別撤廃委員会に提出した。

平成23年11月,女子差別撤廃委員会は,民法改正に係る同委員会の勧告(2009年8月)について一部履行されたものと評価するとともに,1年以内に民法改正に係る取組の追加情報の提供を要請する見解を公表した。

法務省では,平成8年2月の法制審議会の答申(「民法の一部を改正する法律案要綱」)を踏まえ,選択的夫婦別氏制度の導入等を内容とする民法改正について引き続き検討を行っている。また,同答申及びそのうちの選択的夫婦別氏制度の概要について,ホームページへの掲載等を通じ,広く国民にその内容を公開している。

5 政府の施策等が男女共同参画社会の形成に及ぼす影響についての調査等

男女共同参画会議の下に置かれた基本問題・影響調査専門調査会では,特に女性の就業面における参画状況を踏まえ,女性の参画や能力発揮を阻む要因分析を行った上で,「新たな分野や働き方における女性の活躍」,「制度・慣行の見直し,意識の改革」及び「多様な選択を可能にする教育やキャリア形成支援」の3つの重点分野に関する施策の在り方等を提言した。