平成24年版男女共同参画白書

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コラム16

国際会議で再確認された「災害とジェンダー」の視点


国連本部で開催された第56回国連婦人の地位委員会(以下「CSW」という。)において,「自然災害におけるジェンダー平等と女性のエンパワーメント」決議案が2012年3月9日にコンセンサスで採択された。本決議は,東日本大震災から1年になるに当たり,日本の経験や教訓を各国と共有し国際社会の理解を深めるとともに,より女性に配慮した災害への取組を促進することを目指して,我が国として初めてCSWに提出したものである。

国際社会ではこれまでも,災害対応や復興,防災にジェンダーの視点や女性の政策決定過程への参画促進が必要であると繰り返し指摘されてきた。CSWにおいては,これまで合意結論(第46回,2002年)や決議(第49回,2005年)がまとめられ,第4回世界女性会議「北京行動綱領」(1995年),国連防災世界会議「兵庫行動枠組」(2005年)等でも同様に,災害におけるジェンダーの視点の必要性について言及された。

本決議には,こうした既存の文書を基に,今回の震災対応から得られた内容が更に盛り込まれた。具体的には女性及び子ども,高齢者,障害者等の脆弱な人々への配慮の必要性とともに,それらの人々が参画することで包摂型の社会づくりを行うことの重要性を強調しつつ,ア女性や子育て家庭の視点やニーズへの配慮,ジェンダーに配慮した復興プロジェクトの策定・実施,イ女性に対する暴力への特別な配慮と人身取引を含む搾取の予防,暴力被害者の保護,法的その他のサービスの提供,ウ性別や年齢別のデータを整備し,ジェンダーの視点から災害救援を記録し,好事例を共有するとともに,防災計画等に活用,エ女性ニーズに配慮するための女性ボランティアの役割の重要性の認識・奨励等を各国,国際機関等に求める内容となっている。