平成24年版男女共同参画白書

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コラム15

災害時に改めて認識された課題


避難所では,避難者のニーズ等を把握するために,避難者名簿を作成することが欠かせないが,配偶者からの暴力の被害者にとっては,避難者名簿に記載され,公表されてしまうことにより,加害者に居所が知られてしまうという問題があった。被害者から「避難者名簿に載せないでほしい」という要望があり,地方公共団体によっては,名前を載せないという配慮を行った。

配偶者からの暴力等の事情により,離婚していないが生活の本拠は別としている夫婦等の場合,被災者生活再建支援金は世帯主に対して支給されるため,支援金を受け取れなかったり,災害弔慰金や災害障害見舞金が,生計維持者とその他の者では金額が異なっているなどの課題もあった。義援金については,地方公共団体によっては,個人単位で支給している。

また,震災による突然の死別で父子家庭となった男性からは,「料理ができない」,「子どもを無認可保育所に入所させたが,残業・出張等になると預けるところがなく困っている」といった生活上の困難や,遺族基礎年金が父子家庭には支給されないなどの訴えがあった。

さらに,男女別のトイレ,更衣室等は重要であるが,性同一性障害等を有する人にとっては,トイレやシャワーが男女2つのみに分けられていることにより困難があった。これらの人々への支援を行った団体からは,男女別のものとともに,いずれの性別の人も利用できるものも設置してあるとよいとの声が寄せられた。