平成24年版男女共同参画白書

本編 > コラム5 福島原発避難者を迎えて女性消防団の活躍(女性団員ならではの配慮)

コラム5

福島原発避難者を迎えて女性消防団の活躍(女性団員ならではの配慮)


福島原発避難者を迎えて女性消防団の活躍(女性団員ならではの配慮)

福島県田村市は,福島第一原子力発電所から西方へ約40キロに位置し,国や県の要請で原発避難者を受け入れた。

田村市消防団は,1本部5地区隊で構成され,女性部を設けているのは大越地区隊と常葉地区隊の2地区隊である。このうち,常葉地区隊女性部(所属20人)では,発災翌朝から,男性団員及び行政職員とともに,田村市常葉体育館において,近隣の富岡町及び大熊町からの避難者の受入準備を行った。体育館には約600人が避難してきた。避難者の中には乳児や高齢者がおり,暖房器具が2台しかなかったため,寒さ対策が急務だった。こうした緊急事態であり,市の指示を仰ぐいとまもなかったが,女性団員は,乳児とその家族は絨毯がある保健センターへ,高齢者は和室があり多少暖かい公民館へ移ったらどうかと考え,避難者が体育館に落ち着いた後,該当する人に声をかけ,移動してもらった。

市民や商店から届けられた毛布や支援物資を女性団員が振り分ける際は,公平性に配慮しつつ,例えば持病のある人にはなるべく厚い布団等が行きわたるようにするなど,特別に支援が必要な人にも配慮した。また,配布後も女性団員が体育館を巡回し,不足している人には毛布の追加配布等を行った。

発災後4,5日経つと,避難者の方が自ら避難所の仕事をしてくれるようになり,女性団員はそれを手伝う程度となったが,行政職員の方々は依然として多忙で,1週間は寝られず顔がやつれていた。

この間,避難者からの苦情等は一つもなかった。女性団員は赤い揃いのジャンパーを着ていたので声がかけやすかったのか,何かあれば行政よりも先に声をかけてもらえた。また,女性なので生理用品等の話もしやすかったとのことである。

(参考)財団法人 日本消防協会編「消防団の闘い?3.11東日本大震災-」(平成24年)。