本編 > 第1部 > 第1章 > 第3節 様々な分野における女性の参画
第3節 様々な分野における女性の参画
(着実に増加する司法分野における女性割合)
裁判官,検察官,弁護士に占める女性割合は,着実に増加している。
司法試験合格者に占める女性割合は,年によって増減があるが,平成22年度は旧司法試験については10.2%,新司法試験については28.5%である。また,法曹養成に特化した教育を行う専門職大学院である法科大学院において女子学生の比率は約3割を占めていることから,今後の司法分野での女性の参画拡大が期待される(第1-1-12図)。
なお,平成23年1月11日現在,女性2名が最高裁判所の裁判官に,1名が高等裁判所長官に任命されている。
(農山漁村における政策・方針決定過程への女性の参画)
農林水産業に従事する女性は,それぞれの産業の重要な担い手であるとともに,地域社会の活性化に大きく貢献している。
しかしながら,農業委員会,農業協同組合,沿海地区出資漁業協同組合など,地域における政策・方針決定過程への女性の参画は徐々に増加しているものの,その比率はまだ低いものとなっている(第1-1-13表)。
第1-1-13表 農業委員会,農協,漁協への女性の参画状況の推移
(メディアにおける女性の参画)
新聞や放送などのメディア分野における女性の参画は,提供する情報の内容が偏ることを防止したり,性・暴力表現に関する有効な対策等,メディアが自主的に女性や子どもの人権に配慮した表現を行うように取り組んでいく上で重要な役割を果たすものと期待されている。新聞及び放送業界における女性の参画状況について見ると,新聞,民間テレビ・ラジオ,日本放送協会の全従業員に占める女性の割合,女性記者の割合,管理職割合は,全体として徐々にではあるが増加している(第1-1-14図)。
(国際的にみても低い水準にある我が国の状況)
以上見てきたとおり,政策・方針決定過程において「指導的地位」に占める女性の割合は緩やかに増加しているものの,その水準は依然として低く,政府が定める「2020年30%の目標」を達成していないものがほとんどである(第1-1-15図)。
また,国際的には,2010(平成22)年に国連開発計画(UNDP)が発表した「人間開発報告書」によると,日本は人間開発指数(HDI)が測定可能な169か国中11位であり,また,2010年に新たに作成・公表されたジェンダー不平等指数(GII)は測定可能な138か国中12位となっている。一方,世界経済フォーラムが2010年に発表したジェンダー・ギャップ指数(GGI)は,測定可能な134か国中94位となっている。
GGIの順位はHDIやGIIの順位に比して著しく低く,我が国は,人間開発の達成度では実績を上げているが,女性が政治・経済活動に参画し,意思決定に参加する機会が不十分であることが分かる(第1-1-16表)。
第1-1-15図 各分野における「指導的地位」に女性が占める割合
第1-1-16 表 HDI,GII,GGI における日本の順位
(注)
HDI 人間開発指数(Human Development Index)
国連開発計画(UNDP)による指数で,「長寿で健康な生活」,「知識」及び「人間らしい生活水準」という人間開発の3つの側面を測定したもの。具体的には,出生時の平均寿命,知識(平均就学年数及び予想就学年数),1人当たり国民総所得(GNI)を用いて算出している。
GII ジェンダー不平等指数(Gender Inequality Index)
国連開発計画(UNDP)による指数で,国家の人間開発の達成が男女の不平等によってどの程度妨げられているかを明らかにするもの。次の3側面5指標から構成されている。
【保健分野】
・妊産婦死亡率 ・15―19歳の女性1,000人当たりの出生数
【エンパワーメント】
・国会議員女性割合 ・中等教育以上の教育を受けた人の割合(男女別)
【労働市場】
・労働力率(男女別)
GGI ジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index)
世界経済フォーラムが,各国内の男女間の格差を数値化しランク付けしたもので,経済分野,教育分野,政治分野及び保健分野のデータから算出され,0が完全不平等,1が完全平等を意味しており,性別による格差を明らかにできる。具体的には,次のデータから算出される。
【経済分野】
・労働力率 ・同じ仕事の賃金の同等性 ・所得の推計値 ・管理職に占める比率 ・専門職に占める比率
【教育分野】
・識字率 ・初等,中等,高等教育の各在学率
【健康分野】
・新生児の男女比率 ・健康寿命
【政治分野】
・国会議員に占める比率 ・閣僚の比率 ・最近50年の国家元首の在任年数