平成22年版男女共同参画白書

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第1節 国の政策・方針決定過程への女性の参画の拡大

1 女性国家公務員の採用・登用等の促進

(1) 女性国家公務員の採用・登用等の促進

各府省は,人事院が策定した「女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針」(平成17年に改定)に基づき,平成22年度(2010年度)までの目標を設定した「女性職員の採用・登用拡大計画」を策定し,具体的な取組を進めている。

また,平成16年4月に男女共同参画推進本部が決定した「女性国家公務員の採用・登用の拡大等について」において,女性国家公務員の採用・登用の拡大等に係る取組の大枠を定めるとともに,各省庁人事担当課長会議で,22年度頃までの政府全体としての採用者に占める女性の割合の目安として,国家公務員採用Ⅰ種試験の事務系の区分試験(行政,法律,経済)については30%程度,その他の試験については,Ⅰ種試験の事務系の区分試験の目標を踏まえつつ,試験毎の女性の採用に係る状況等も勘案して,できる限りその割合を高めることを目標とすること等を申し合わせている。本目標は「男女共同参画基本計画(第2次)」にも盛り込まれており,各府省は目標達成に向けて取組を進めている。

さらに,平成20年4月に男女共同参画推進本部が決定した「女性の参画加速プログラム」において,公務員は,活躍が期待されながら女性の参画が少ない3つの重点分野の1つとされ,国家公務員については,本省課室長相当職以上に占める女性の割合を22年度末までに5%程度とする目標等が設定された。これらに基づき,各府省においては,「女性職員の採用・登用拡大計画」等に,本省課室長相当職以上に占める女性の割合を現在の割合より少なくとも3%程度を基本として増加するという数値目標を設定する等きめ細かで具体的な行動計画とすべく充実・見直しを行うことに加え,柔軟な勤務体制の推進や働き方の見直し,職務経験を通じた積極的なキャリア形成の支援等の取組を進めている。

人事院では,公務に優秀な女性を確保するという観点から,女子学生セミナーを全国12都市延べ13回実施し,募集パンフレットの作成,動画を利用したHPによる情報提供等女子学生に対する人材確保活動を積極的に行うとともに,各府省の人事担当課長からなる「女性職員の採用・登用拡大推進会議」を平成22年2月23日に開催し,採用・登用拡大のための具体的取組事例等について,情報提供及び意見交換を行うなど,啓発に努めている。

総務省は,「男女共同参画基本計画(第2次)」及び「女性国家公務員の採用・登用の拡大等について」を受けた各省庁人事担当課長会議申合せ等に基づき,人事院と共同で,各府省における女性国家公務員の採用・登用の拡大等の取組状況についてのフォローアップを実施し,その結果を平成21年8月に公表した。21年度の国家公務員Ⅰ種試験等の事務系区分については,採用者に占める女性の割合は30.6%となり,前年度から6.4ポイント増加し,初めて「男女共同参画基本計画(第2次)」に目標として掲げる水準に達した。

「第3次男女共同参画基本計画」を踏まえ,人事院は,「女性国家公務員の採用・登用の拡大等に関する指針」を平成23年1月14日に改定し,各府省に発出した。主な改定の内容は,(ア)各府省は,平成27年度までの「女性職員の採用・登用拡大計画」を策定するものとし,当該計画は,職員への周知に努めること,(イ)各府省は,現状分析を行い,府省全体及び部局等の適切な区分について,目標,目標達成に向けての具体的取組等を定めること,(ウ)各府省は,人事評価の活用等による人材の育成・活用を図るとともに,登用を阻害する要因の見直しや転勤自体の必要性の見直し・キャリアパスの多様化等についても検討を行うこと,(エ)各府省は,職員への職務経験の付与に当たっては適切な指導・育成を,付与後においては必要な支援を行うこと等である。人事院は指針改正に併せ,各府省や職員への参考に資するため,官民双方の先行事例等をまとめた指針の参考資料を作成・配布した。同指針に基づき,各府省は27年(2015年)度までの目標及び目標達成のための具体的取組を設定した5年間の計画である「女性職員の採用・登用拡大計画」を策定することとしている。


(2) 仕事と育児・介護等家庭生活との両立支援

人事院及び政府は,育児・介護を行う職員の職業生活と家庭生活との両立を支援することが必要であるとして,これまで育児短時間勤務制を導入するなど,職場環境の整備に努めている。

また,我が国が直面している急速な少子化に対応するためには,家族を構成する男女が共に家庭生活における責任を担いつつ,仕事と生活の調和を図り得るような勤務環境を整備することが重要な課題となっていることから,平成21年8月に人事院は,配偶者が育児休業をしている職員についても育児休業等をすることができるようにすること及び子の出生の日から一定期間内に最初の育児休業をした場合に当該子について再度の育児休業をすることができるようにすることが適当と判断し,国家公務員の育児休業等に関する法律の改正を行うよう,国会と内閣に意見の申出を行った。

政府は,人事院の意見の申出を踏まえ,国家公務員の育児休業等に関する法律の一部改正法案を国会に提出した。同法案は平成21年11月に成立し,22年6月30日から施行されることとなった。

さらに,同法律の改正を踏まえて,平成22年3月に「育児・介護を行う職員の仕事と育児の両立支援制度の活用に関する指針」を改正するとともに,両立支援制度の周知を図るためのリーフレットを作成し,各府省に配布した。また,人事院では22年2月に各府省の両立支援の取組を促進するため,「仕事と育児・介護の両立支援に関する連絡協議会」を開催した。

また,平成21年8月の人事院勧告時の公務員人事管理に関する報告において,超過勤務の縮減は,政府全体として喫緊に取り組む必要のある課題であり,各府省において,幹部職員を始め組織全体として真しに取り組むことが強く求められること,計画的な在庁時間の削減の取組を推進する必要があることについて言及した。

経済産業省では,仕事と育児や介護等家庭生活との両立を始め,多様な働き方を実現しながら職員が活躍できる環境整備の一環として,ロールモデルとなる女性職員の経験談やメッセージなどを紹介するパンフレット「METI流 WOMAN STYLE」を作成し,職員への周知・理解促進に努めている。

2 国の審議会等委員への女性の参画の促進

国の審議会等における女性委員の割合については,平成18年4月に,男女共同参画推進本部決定により,審議会等の委員について,政府全体として,女性委員の割合が22年度末までに少なくとも33.3%,32年までに,男女のいずれかが10分の4未満とならない状態を達成するよう努めるという目標が設定されている。また,専門委員等についても,22年度末までに20%,32年までのできるだけ早い時期に,30%となるように努めることとされている。

平成21年9月末現在,女性委員の割合は33.2%となり,前年と比べて0.8ポイント,女性の専門委員等の割合については,16.5%となり,前年と比べて1.4ポイント増加した。審議会等の女性委員の割合が順調に上昇している一方,専門委員等については,目標に比べまだ低い状況にある。

内閣府では,各府省が国の審議会等の女性委員の人材情報を収集する際の参考とするため,女性人材データベースを運用するとともに,当該データベースの既登録内容の更新・新規登録情報の開拓,適切なセキュリティ対策に努め,女性の人材に関する効果的な情報提供が可能となるよう,利便性の向上を目指し,改善に取り組んでいる。