平成22年版男女共同参画白書

本編 > コラム8 【企業における女性リーダーの重要性】組織の上位役職への女性の参画が高い組織はパフォーマンスが高い-女性リーダーを増やす取組(非営利組織C(米国)・特定非営利活動法人J(日本)の取組,ノルウェーのクオータ制)

コラム8

【企業における女性リーダーの重要性】組織の上位役職への女性の参画が高い組織はパフォーマンスが高い-女性リーダーを増やす取組(非営利組織C(米国)・特定非営利活動法人J(日本)の取組,ノルウェーのクオータ制)


米国,カナダ,スイスに拠点を持つ非営利組織Cは,独自の調査を基にして,ビジネスにおける女性のキャリア開発支援と,女性の活躍を目指す企業に対する戦略的なコンサルティングを提供している。Cでは,2001年~2004年の間にフォーチュン500に掲載された企業について,役員会における女性比率の高い順に第1~第4四分位グループに分け,この間の各社の業績の平均値を分析している。最も女性比率が高かった第1のグループの自己資本利益率(ROE;Return On Equity19)は,最も女性比率の低かった第4のグループの値よりも53%高かった。同様に売上高利益率,投下資本利益率でも第1のグループの値が第4のグループの値を上回っており,女性役員比率の高い企業は,高い業績を上げているという(The Bottom Line,2007)。

19 当期純利益の企業の自己資本(株主資本)に対する比率。投資家が拠出した資本に対し,企業がどれだけの利潤を上げられるのかの指標であり,投資の際に重要視される財務指標の一つである。

Cと姉妹組織の関係にある日本の特定非営利活動法人Jは,Cが持つ調査データやコンサルティングのノウハウなどをいかしながら,日本の企業組織において女性リーダーを育成する独自の活動を展開している。日本の企業組織ではリーダーとして活躍する女性が少ないため,女性がキャリアを磨き続ける道筋が見えにくく,また,切磋琢磨しながら共に歩む仲間の少なさや周囲の理解の低さが,キャリアを発展させ続けようとする女性のモチベーションの維持を困難にしているという。特定非営利活動法人Jでは,企業組織を超えた女性同士の横のネットワーク化を図り,キャリア開発のノウハウを提供し,参加者自らが考え学ぶ場を提供することで,多くの女性リーダーを誕生させることを活動のねらいとしている。

女性リーダーを増やす方法として海外ではクオータ(割当)制の導入も行われている。ノルウェーでは2004年,国営企業の取締役会の男女構成比がそれぞれ40%以上であることが義務付けられ,2006年からは民間企業に対しても同様の義務付けが実施された。その結果,ノルウェーの取締役会における女性比率は2008年には40%まで上昇したと報告されている(注)

(注) 内閣府「諸外国における政策・方針決定過程への女性の参画に関する調査-オランダ王国・ノルウェー王国・シンガポール共和国・アメリカ合衆国-」(平成21年3月)

http://www.gender.go.jp/research/sekkyoku/h20shogaikoku.html