平成20年版男女共同参画白書

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第2節 配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護等の推進

1 関係機関の取組及び連携に関する基本的事項

関係府省では,配偶者暴力防止法及び同法に基づく「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策に関する基本的な方針」(平成16年内閣府,国家公安委員会,法務省,厚生労働省告示第1号)に沿って,配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策を積極的に推進している。平成20年1月には,保護命令制度の拡充並びに市町村による配偶者暴力相談支援センターの設置及び基本計画策定の努力義務化などを内容とする配偶者暴力防止法の一部改正法の施行等に伴い,この基本的な方針について,全面的な見直しを行った。

全国の都道府県等には,配偶者暴力防止法に基づいて,180か所(平成20年4月1日現在)の配偶者暴力相談支援センターが設置されており,配偶者からの暴力に係る相談,一時保護,自立支援等の業務を実施している。

内閣府では,配偶者からの暴力の被害者支援に役立つ法令,制度及び関係施設についての情報等を収集し,平成14年4月より,内閣府のホームページを通じ,外国語版も含め提供している。

法務省の人権擁護機関は,婦人相談所等の関係機関との情報及び意見の交換を活発に行い,被害女性の救済について,より一層積極的に取り組んでいる。

厚生労働省では,配偶者からの暴力被害者の保護及び自立支援について,婦人相談所と関係機関等との連携の強化を図っている。具体的には,各都道府県において,婦人相談所と福祉事務所,民間シェルター等関係機関との定期的な連絡会議や事例検討会議を開催するとともに,事例集や関係機関の情報を掲載したパンフレットを作成・配布している。

2 相談体制の充実

警察では,各都道府県警察の相談窓口の利便性を向上させたり,事情聴取に当たっては,被害者を夫・パートナーから引き離して別室で行うなどして,被害者が相談・申告しやすい環境の整備を図っている。

また,厚生労働省では,平成18年度より,婦人相談所において弁護士等による被害者への離婚や在留資格などの法的な援助や調整を行い相談体制の充実を図っている。

3 被害者の保護及び自立支援

厚生労働省では,婦人相談所が被害者及び同伴する家族の一時保護を自ら実施するとともに,厚生労働大臣が定める基準を満たす民間シェルター等に一時保護を委託している。平成19年度においては,婦人相談所一時保護所に被害者に同伴する児童の対応等を行う指導員を配置したり,婦人保護施設の心理療法担当職員の常勤化を図っている。また,婦人保護施設,母子生活支援施設等を退所する被害者が身元保証人を得られず,就職やアパートの賃借が困難とならないよう,身元保証人を確保するための事業を創設するなど,被害者に対する保護,自立支援の一層の強化を図っている。