平成18年版男女共同参画白書

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再就職して活躍する女性

北澤邦子氏

北澤邦子さんは,29歳の時アルバイトとして東京都に本社を置くベビーフードメーカー(従業員数565人)で働き始めてからパート,臨時員,嘱託社員,正社員,そして取締役を経験してきた。

北澤さんは,もとは研究者志望で,研究者を目指す夫の留学に伴って自身も渡米した。米国の大学院を修了した後,大学での研究職を経験し,29歳の時に帰国したが,研究を続けながらの子育ては難しいと考え,企業に勤めることとした。しかし,当時,30歳近い女性の求人は皆無であり,ようやく見つけたのが,海外の論文の抄録をまとめるこのメーカーのアルバイトだった。仕事自体はおもしろかったが,当時,女性の働きに対する期待はほとんど感じられなかった。そこで,北澤さんは,女性が働き続け実績を示すことがまず重要であると考え,仕事への取組姿勢や意欲を示しながら上司への交渉を続け,短期間契約のアルバイトから,パートに,更に嘱託社員にと実績を積み,6年後,35歳で正社員となった。以降,女性プロジェクトチームのトップを務めるなど幅広い仕事を体験し,2003年には会社初の女性取締役に抜擢された。1年間取締役を務めた後,2004年に,グループ企業である出版社の代表取締役に就任,現在に至っている。

北澤邦子氏
北澤邦子氏

宇野恵子氏

リフォームアドバイザーとして活躍する宇野恵子さんは,2人の子どもを抱え,再チャレンジを果たした女性である。

大学を卒業後メーカー企業に就職した宇野さんは,住まいに興味を持ちインテリアコーディネーターの資格を取得,リフォーム会社への転職を果たした。その後,31歳で結婚したのを機に会社を退職。専業主婦となり,32歳で長女を出産した。もともと仕事が好きだった宇野さんは,長女が1歳になったときには再就職したいと考えていたが,2人目を産むまでは再就職を待ってほしいとの夫の意見もあり,具体的に再就職活動を始めたのは3年後に産まれた長男が11か月となり,保育園に預けることができた時からだった。

再就職活動では,小さな子どもを抱えているというだけで門前払いする会社もあったというが,36歳の時に自宅の近所の工務店で職を得て働き始めた。その後,2005年2月,42歳の時に大阪府に本社を置くハウスメーカー(従業員数16,223人)のリフォームアドバイザーとして採用が決まった。リフォームの提案には「生活感覚」が重要であることから,この企業では育児等でいったん仕事から離れている主婦を含む女性の積極的な採用を実施しており,宇野さんはその第1期生として採用されたのだった。初めは契約社員としての入社であったが,仕事の実績が認められ,1年後には正社員として登用され,現在に至っている。

リフォームの顧客としては主婦層が多いため,自身が主婦となり子育てをした経験は,顧客の共感や信頼を得ることや,主婦の感覚からの提案などに役立っているという。「担当したリフォームが完成し,お客様に喜んでもらえるのが何よりのやりがい」と話す宇野さんは,仕事は忙しいものの,夫と協力して家庭と両立しつつ,今後も働き続けたいと考え,日々仕事に取り組んでいる。

宇野恵子氏
宇野恵子氏