平成17年版男女共同参画白書

コラム > 欧米における女性研究者・若年層のチャレンジ支援

世界各国で女性研究者・若年層のチャレンジ支援のための様々な取組が進められており,主に,能力発揮,就業支援,教育・育成及び基盤整備が行われている。

アメリカにおいては,女性・少数民族等の差別をなくすために,昭和39年(1964年)の公民権法に基づき「アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)」が進められている。また,昭和55年(1980年)に科学技術機会均等法を制定し,国立科学財団を中心に,小中学校における科学・数学の教育プログラムの開発,科学・技術分野における男女の処遇差等の分析,新たな就業機会獲得につながる科学教育等を行っている。国立科学財団の学部改革助成金を通じた女性教職員の職場環境の向上に関する学部単位の取組支援も行われている。

また,平成2年(1990年)に設立された「工学プログラムと推進ネットワークの女性の会(WEPAN)」は,これまでに教育省,国立科学財団等から75万ドル以上の活動資金を得て,科学技術分野の新人女性のためのプログラム情報等の提供,女子生徒にエンジニアの楽しさを伝える活動や奨励賞の授与等を行っている。このほか,米国アカデミーを始め,米国機械工学会,電気電子工学会,米国民生工学会等は,女性や少数者に対する委員会等を設け,種々の取組を進めている。

イギリスにおいては,貿易産業省科学技術庁に設置された女性のための科学・工学・技術推進ユニットの科学・工学・技術における多様化チームにおいて,科学・工学・技術分野の女性の参画割合を高めるための施策が講じられている。

同省は,平成15年(2003年)4月に「科学・工学・技術分野における女性のための戦略」をまとめ,人材センターの活用による女性研究者・技術者等及び関連団体に対する助言・支援,好事例ガイドの作成,相談体制やネットワーク形成の推進,再就職支援,統計的なモニタリング等を行っている。また,工学研究会議等により昭和59年(1984年)に設立されたWISE(Women into Science and Engineering)制度のもと,貿易産業省,英国王立アカデミー,大学,民間企業等の支援を得て,女子を対象にした実験教室の開催,女性研究者等のロールモデル情報の提供等が行われている。

また,ダフネ・ジャクソン財団により,物理科学研究会議,工学・自然科学研究会議,自然環境研究会議,英国王立協会等や企業の支援のもと,子育てや家庭の事情で2年以上研究活動から離れている英国在住の女性研究者等の復帰を助けるための助成が行われている。

カナダ国立研究機構(NRC)は,毎年,優れた若手女性研究者に対して「女性科学工学賞」の奨学金を授与している。この奨学制度は,工学,科学,数学関連領域における若手女性研究者の育成を目的として設立されたものである。また,カナダの工学及び科学技術の分野における7団体は,カナダ女性工学・科学技術連合(CCWEST)を設立するとともに,独自の取組を行い,女性研究者・技術者の地位向上と若年層の科学技術の理解増進のために活動している。

平成16年(2004年)が日加外交関係樹立75周年,日加通商関係樹立100周年に当たることを記念して,カナダ大使館は「科学技術とビジネスにおける女性」コンファレンスを主催した。これを契機に,日本学術会議,文部科学省,カナダ大使館,カナダ王立協会,カナダ保健研究機構,カナダ自然科学・工学研究審議会が協力して「日本・カナダ女性研究者交流事業」を創設し,両国の優れた女性研究者の相互訪問を通じて,幅広く科学技術・学術分野における女性の活躍を促進するための事業が実施されることとなった。

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