「共同参画」2022年1月号

巻頭言

若者が希望を持てる男女共同参画社会を

2021年5月から、第5次男女共同参画基本計画に関する計画実行・監視実行専門調査会(以下、専門調査会)に委員として参加している。本稿執筆時点で8回の会議が開かれ、科学技術、政治・経済分野における女性活躍推進、ジェンダーに基づく無意識バイアス、性と生殖に関する健康と権利、選択的夫婦別姓など、日本の持続可能性に関わる重要課題や、世論の関心が高い分野を扱ってきた。

第5次計画は2020年12月25日に閣議決定され、その過程で5600件ものパブリックコメントが寄せられた。特に注目すべきは30代以下の女性を中心とする若者グループが自主勉強会を開いて政策文書を読み込んだ上で、若者視点の「提言」をまとめて橋本聖子大臣(当時)に直接手渡したことである。専門調査会においては、林伴子局長が「諸外国の女の子が当たり前に持っているのに日本にはないもの」について情報収集、分析し委員に伝えている。

若い世代は社会の未来を担う大事な存在だ。しかし日本の人口は高齢層が多く若者は少数派である。政府の審議会委員なども私を含め40代以上の中高年層で占められている。こうした中、若者の声を着実に受け止める、政官トップの動きは心強い。

大学生とジェンダーに関する話をすると「男/女だから●●しなさい」と言われた経験を多くの人が持っている。「性教育をもっときちんとやるべき」「選択的夫婦別姓はやらない理由が分からない」といった意見が男女ともに学生から出てくる。いずれも専門調査会で議論したテーマであり、次世代の求めに応える責任をあらためて感じた。

この専門調査会はオンライン会議システムZoomで行われている。新型コロナウイルスの感染拡大防止という本来の目的に加え、オンライン会議は多様性と包摂性を確保する上でも役立っている。名古屋、徳島、香川などから参加する委員の話は毎回勉強になっている。傍聴者も多い時は100名近く、首都圏外の県庁で男女共同参画に携わる人から「大変勉強になった」という声をいただくこともある。多忙なメディア関係者が業務の合間に参加することもできる。今後も性別、世代、地域など多様な人々を包摂し政策論議が進むように力を尽くしたい。

東京工業大学 リベラルアーツ研究教育院准教授 治部れんげ
東京工業大学 リベラルアーツ研究教育院准教授
治部れんげ

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