「共同参画」2021年8月号

巻頭言

「災害に強い社会の実現を目指して」

今年も、各地で大雨による災害が発生しております。静岡県熱海市では土石流が発生し、鹿児島県、宮崎県及び熊本県では大雨特別警報が発表されるとともに、山陰地方でも猛烈な雨が降りました。この大雨により、多数の人的被害や住家被害が確認されております。お亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げるとともに、被災されたすべての方々に心よりお見舞い申し上げます。避難者への支援や住まいの確保、ライフラインの復旧、土砂やがれきの撤去等、政府一体となって、災害応急対策を進めてまいります。

大規模災害の発生は、全ての人の生活を脅かしますが、女性と男性で受ける影響やニーズが異なり、きめ細かな対応が重要です。人口の51.3%を占める女性の声が災害対応に反映されないようでは、子供や若者、高齢者、障害者等の多様な方々の声に応えることは到底できません。

このため、災害に強い社会の実現には、女性が防災の意思決定過程や現場に主体的に参画し、女性と男性が災害から受ける影響の違いなどに十分に配慮された災害対応が行われることが必要です。災害から全ての人を守る第一歩として、女性の視点をしっかり踏まえた防災・減災を、覚悟をもって進めていかなければなりません。

女性の視点からの防災・復興の取組を促進するため、昨年12月に内閣府の政策統括官(防災担当)付と男女共同参画局の女性職員により「防災女子の会」が結成され、本年5月、「防災女子の会からの提言」が取りまとめられました。

提言では、避難所等における性暴力・DVの防止や女性用品の女性担当者からの配布、意思決定の場への女性の参画等、女性の視点に立った被災者支援の推進に加え、災害対策に女性の視点を組み込むための国及び地方公共団体の防災担当部局の体制強化が重要とされております。

提言を受け、内閣総理大臣を会長とする中央防災会議の女性委員の割合を高めるとともに、5月に開催された同会議において、防災基本計画が変更されました。また、地方公共団体においても、地方防災会議の女性委員の増加に向けた取組を進めていただいています。

今後も、「防災女子の会」と議論を重ね、女性の視点を踏まえた防災・減災の取組を一層推進し、災害に強い社会の実現を目指してまいります。

防災担当大臣 棚橋泰文
防災担当大臣
棚橋泰文

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