「共同参画」2020年2月号

巻頭言

社会を変えるために私たちができること

GGI(Gender Gap Index ;ジェンダーギャップ指数)のランキングで日本は153か国中121位でした。ほかの国々で急速に男女格差が縮小しているのに引き換え、日本の変化が遅いことが改めて明らかになりました。

この状況を変えるために私たちは何ができるか、やるべきことは多いのですが、その中でも現在社会の各方面で活躍している女性たちには大きな役割があると考えます。

ほかの国に比べ少ないとは言うものの日本でも最近は企業の経営者や役員、国会や地方議会で議員として活躍している女性は着実に増えています。その人たちがそれぞれの立場でキチンと仕事をし、実績を上げていることが何よりも女性の能力の証明になります。しかしそれだけでは社会の意識は変わりません。

学校では女性の学業成績が良いのは当たり前になっています。しかしまだ「女の子は学校の成績はいいけれど社会に出ると活躍できない、しない」と思っている人が男性だけではなく女性にもたくさんいます。共学の大学では成績では女性のほうが上位を占めているにもかかわらず、クラスやクラブでイニシアチブを男性が握っているという例は少なくありません。医学部の入試だけでなく、大企業の入社試験でも成績順にとると女性が多くなりすぎるので男性に下駄をはかせるという話もよく聞きます。成績が良いだけでなく人間的にも社会的にもしっかりしている女性たちが、もっと当たり前に採用され、機会が与えられ能力を発揮していくことが必要です。しかしそれだけでは十分ではありません。

活躍している女性たちが、仕事の成果を上げ個人としての成功を目指すだけでなく、社会的課題の解決に関心を持ち協力することが重要です。例えばSDG’sの課題の一つがジェンダー平等です。「私は能力がある(努力をした)から成功したのだ」「私は女性だということで優遇されたわけではない」と考えるのではなく、まだ差別的な慣行や思い込みに苦しむ女性たちを応援する、不公平な扱いに対してはノーという。それによって世界は少しずつ変わっていくのです。


出典:WEF『Global Gender Gap Report 2020』

ジェンダーギャップ指数の表
昭和女子大学 理事長・総長
坂東 眞理子

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