「共同参画」2020年1月号

巻頭言

「北京+25 日本の課題:性別役割意識の払拭」

2020年は男女共同参画推進の聖典ともいえる北京宣言及び北京行動綱領が採択された北京会議から25周年。同時に、国連設立75周年、安保理決議1325採択20周年、UN Women設立10周年、SDGs制定5周年で、メキシコシティーやパリで、世代を超えたジェンダー平等フォーラムが開催される。フォーラムへの日本の若い世代参加支援のため、ふるさと納税などを活用した工夫を望む。

この25年間に、女性の意思決定及び政策決定への参加は多くの国で伸びたが、日本は特に政治分野で遅れている。ジェンダーギャップ指数2019の全体順位121位の中で、政治参加は何と153ヶ国中144位!その直接要因は、調査時の女性閣僚数の少なさである。しかし、根本的要因は今でも根強い「男は仕事、女は家庭」という性別役割意識である。この考え方を払拭するために、男女共同参画社会基本法、DV防止法、女性活躍推進法、政治分野における男女共同参画推進法などが制定されており、取組が進んでいる。

女性の就業比率の高い事務職、サービス業はAI化で職を失う可能性が高いと予測されている。日本の理工系職における女性割合はOECD諸国で最低という実態を変えることも必要で、内閣府も理工チャレンジなどを推進しているが、AIに負けない女性人材の育成をこれまで以上に行うべきである。

性別役割意識の払拭には、メディアと教育が大きな役割を果たす。例えば、「おとう飯」、「イクメン」キャンペーンや、少女たちが将来に希望をもてるように、「女性が活躍している企業」、「女性首相や首長の特長」などをメディアが積極的に取り上げることが必要であり、その際SNS等の活用も不可欠である。また、幼児から成人まで、性別役割意識を払拭するための教育が行われるべきである。さらに、民法、刑法などの法制度の見直しも緊要であろう。

すべての世代、すべての性、企業・団体等における性別役割意識払拭の実践により、一人一人が住みやすい日本が実現できる。


十文字中学・高等学校長
橋本 ヒロ子

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